「いい靴を履くと、その靴が素敵な場所へ連れて行ってくれる」という言葉がありますが、日本のビジネスパーソンにとって、その「いい靴」の最適解は、実は身近な「日本製」にあることをご存じでしょうか。
欧米の高級ブランドも魅力的ですが、日本人の足型を徹底的に研究し、職人が一針ずつ丁寧に縫い上げた国産靴には、海外ブランドにはない圧倒的なフィット感と、驚くほどのコストパフォーマンスが詰まっています。
今回は、2026年の最新トレンドを踏まえ、ビジネスからカジュアルまで一生付き合える日本の革靴メーカーを厳選してご紹介します。
なぜ今、あえて「日本メーカー」の革靴を選ぶべきなのか
日本製の革靴を選ぶ最大のメリットは、何と言っても「木型(ラスト)」の適合性です。欧米人と比較して、日本人の足は一般的に「甲高幅広」で、かかとが小さい傾向にあります。海外ブランドの靴を履いて「幅は合うけれど、かかとが抜ける」「小指が当たって痛い」と感じたことがある方は多いはずです。
国産メーカーは、数十年、あるいは100年以上にわたって日本人の足データを蓄積してきました。そのため、足を入れた瞬間に包み込まれるような感覚を味わえるのが特徴です。
また、関税や輸送費がかからない分、同価格帯の海外靴よりも1ランク、あるいは2ランク上の上質なレザーを使用しているケースがほとんど。3万円〜5万円も出せば、修理をしながら10年以上履き続けられる本格的な「グッドイヤーウェルト製法」の靴が手に入るのです。
迷ったらここから。信頼と実績の老舗トップ3
まずは、日本の靴文化を支えてきた「間違いのない」3大メーカーから見ていきましょう。
REGAL(リーガル)
日本で最も有名な革靴ブランドといえば、やはりREGALでしょう。アメリカの伝統的な靴作りを日本に持ち込み、頑丈で質実剛健な靴を量産する体制を整えました。
リーガルの強みは、その圧倒的な耐久性と全国どこでもメンテナンスが受けられる安心感です。特に、ガラスレザーを使用したモデルは雨にも強く、忙しいビジネスマンの強い味方。迷ったときは、リーガルの定番モデルを選べば、ビジネスの場で恥をかくことはまずありません。
SCOTCH GRAIN(スコッチグレイン)
東京・墨田区の職人集団が作るSCOTCH GRAINは、本物志向のユーザーから絶大な支持を得ています。特筆すべきは、世界中から厳選された高品質なレザーを使っている点。
「一貫してグッドイヤーウェルト製法」というこだわりがあり、ソールを交換しながら長く履くことが前提で作られています。また、プラスチック製のシューキーパーが標準で付属する点など、靴を大切に扱う心を育んでくれるブランドでもあります。
三陽山長(さんようやまちょう)
「日本の最高峰既製靴」と称されるのが、三陽山長です。熟練の職人による繊細な仕上げは、もはや芸術品の域。10万円前後の価格帯が中心ですが、そのクオリティは海外の20万円クラスの靴と比較しても遜色ありません。
特に、ブランドを象徴するストレートチップ「友二郎」は、端正な顔立ちと日本人の足への適合性が完璧に融合した名作中の名作です。勝負靴としての一足を探しているなら、これ以上の選択肢はありません。
驚異のコストパフォーマンスを誇る実力派メーカー
「予算は抑えたいけれど、質には妥協したくない」というワガママに応えてくれるのが、以下のメーカーです。
RAYMAR(レイマー)
現在、靴好きの間で最も注目されているのがRAYMARです。静岡県に拠点を置くこのブランドは、店舗を持たずオンライン販売に特化することで、驚異的な価格を実現しました。
通常なら5万円以上するような「ハンドソーンウェルテッド製法」や、アノネイ社などの超一流タンナーの革を使用した靴が、2万円〜3万円台で手に入ります。販売開始と同時に完売することも珍しくないため、常にチェックが必要です。
Union Imperial(ユニオンインペリアル)
イタリアの靴作りに学んだUnion Imperialは、スタイリッシュなデザインと「足なり」の木型が特徴です。
特にかかとのカーブや土踏まずの絞り込みが非常に立体的で、既製靴とは思えないほどのホールド感があります。スマートに見せたいけれど、履き心地も譲れないという現代的なビジネスマンに最適です。
個性が光る。独自のこだわりを持つ地方の銘靴
東京以外にも、日本各地には素晴らしい技術を持ったメーカーが点在しています。
宮城興業(みやぎこうぎょう)
山形県にあるこのメーカーは、多くの有名ブランドのOEM(受託製造)を手掛けてきた実力派です。「伝承」という自社ブランドを展開しており、非常に堅実で丁寧な作りが魅力。ふるさと納税の返礼品としても人気があり、自分だけの一足をオーダー感覚で手に入れたい層に選ばれています。
Oriental(オリエンタル)
奈良県のオリエンタルシューズが手掛けるブランド。伝統的な製法を守りつつ、ヨーロッパの高級靴のような色気のあるデザインを取り入れています。ベベルドウエストのような高度な意匠を施したモデルもあり、ファッション感度の高い層から高く評価されています。
専門特化の強み。特定のシーンで輝くブランド
大塚製靴(おおつかせいか)
明治5年創業、皇室御用達の歴史を持つ日本最古のシューメーカー。フォーマルな場での信頼感は群を抜いています。また、長年の研究から生まれた「ボタンブーツ」や、歩きやすさを追求したコンフォートラインなど、技術の幅が非常に広いのが特徴です。
HARUTA(ハルタ)
学生靴のイメージが強いHARUTAですが、実は大人のローファー選びにおいて非常に優秀な選択肢です。特に近年は「スポックシューズ」などのカジュアルラインが再評価されており、リーズナブルに日本製の良さを体感できるブランドとして注目されています。
革靴を長く愛用するための賢い選び方とケア
日本製の良い靴を手に入れたら、次に考えるべきは「どう長く履くか」です。
- 製法を確認する長く履きたいなら「グッドイヤーウェルト製法」一択です。ソールを何度も張り替えられるため、アッパーの革を育てながら10年、20年と愛用できます。逆に、軽く柔らかい履き心地を優先するなら「マッケイ製法」が適しています。
- 2〜3足をローテーションする1日履いた靴は、コップ1杯分の汗を吸っています。最低でも2日は休ませ、湿気を飛ばすことが寿命を延ばす最大のコツです。
- シューキーパーを使う脱いだ後にシューキーパーを入れるだけで、履きジワが伸び、型崩れを防げます。木製のものを選べば吸湿効果も期待できます。
日本製の革靴メーカーで、自分史上最高の一足を見つける
日本の革靴には、職人の矜持と、履く人への思いやりが細部にまで宿っています。
海外の高級ブランドを追いかけるのも一つの楽しみですが、私たちの足を知り尽くした日本メーカーの靴を履いてみると、そのストレスのなさと、歩くことの楽しさに改めて気づかされるはずです。
2万円台のコスパモデルから、10万円を超える芸術品のような一足まで。今回ご紹介したメーカーは、どれも自信を持っておすすめできるものばかりです。
まずは気になる一足を手に取ってみてください。きっと、その丁寧な作りと履き心地に、日本のものづくりの底力を感じるはずです。あなたの足元を支え、共に歩んでくれる最高の相棒が、日本製の革靴メーカーの中から見つかることを願っています。


