足の内側がズキズキ痛む、歩くたびに土踏まずやくるぶしの下あたりが気になる——そんな症状に悩まされていませんか？
その原因のひとつが「後脛骨筋腱炎（こうけいこつきんけんえん）」です。
足のアーチを支える重要な腱が炎症を起こし、歩行や立ち仕事がつらくなるこの症状。放置すると扁平足の進行や変形を招くこともあります。
この記事では、後脛骨筋腱炎の原因と仕組み、そして症状を和らげるためのインソール選びのポイント、さらにおすすめのモデルまでを、わかりやすく解説します。
後脛骨筋腱炎とは？——足のアーチを支える腱の炎症
後脛骨筋は、ふくらはぎの奥にある筋肉で、足首の内側を通って土踏まずを支えています。
この腱が疲労や負担の蓄積で炎症を起こすのが「後脛骨筋腱炎」です。
主な原因には以下のようなものがあります。
- 長時間の立ち仕事や歩行、ランニングなどの使いすぎ
- 偏平足や足のアーチが崩れている
- 足が内側に倒れ込みやすい（過回内）歩行
- サポート性の低い靴を履いている
- 加齢や筋力の低下による腱の弱化
初期は「内くるぶしの下が痛む」「土踏まずが重だるい」などの軽い違和感から始まります。
進行するとアーチが落ち、足全体が内側に傾いて歩行バランスが崩れ、慢性的な痛みを伴うこともあります。
なぜインソールが有効なのか
後脛骨筋腱炎は、炎症自体を直接“治す”ことは難しいですが、腱にかかる負担を減らすことで回復を助けることができます。
ここで大きな役割を果たすのが「インソール」です。
インソールには以下のような効果があります。
- アーチのサポート：土踏まずの崩れを防ぎ、後脛骨筋の働きをサポート
- 過回内の抑制：足が内側に倒れ込みすぎるのを防ぎ、腱へのストレスを軽減
- 衝撃吸収：歩行やランニング時の負荷を和らげ、痛みを抑える
- バランス補正：足首・膝・腰までつながる姿勢の安定化
つまり、インソールは「腱を休ませる環境をつくる道具」です。
正しく選べば、炎症の悪化を防ぎ、再発を防ぐ手助けになります。
インソール選びのポイント
後脛骨筋腱炎向けのインソールは、「足の構造」と「使用シーン」に合っていることが最重要です。
以下のポイントを押さえて選ぶと失敗しにくくなります。
1. 内側アーチをしっかり支える
アーチが下がると、後脛骨筋が常に引っ張られて疲弊します。
しっかりと内側を支える形状のインソールを選びましょう。
「アーチサポートタイプ」「扁平足対応」と明記されたものが目安です。
2. 過回内（オーバープロネーション）対策がある
足の内側が沈み込むような歩き方をしている人は、内側ウェッジや踵の補強が入ったタイプがおすすめ。
これにより足首の倒れ込みを防ぎ、腱の負担を減らします。
3. クッション性と安定性のバランス
柔らかすぎる素材は一見快適ですが、アーチを支えきれず逆効果になることも。
歩行中の衝撃を吸収しつつ、しっかりと形を保てる素材が理想です。
4. 靴との相性を確認
インソールを入れることで靴が窮屈になったり、かえって姿勢が崩れる場合もあります。
靴のサイズに余裕があるか、サポート性があるかを必ずチェックしましょう。
5. 症状が強い場合は専門店や整形外科で相談
既製品が合わない場合や痛みが長引く場合は、オーダーメイドの足底板（オーソティックインソール）を検討するのも選択肢です。
足型や歩行を測定し、最適なサポート形状に調整してもらえます。
市販で試しやすいおすすめインソール
ここでは、後脛骨筋腱炎の軽症〜中等度に向けて、サポート性が高い市販インソールを紹介します。
※個人差があるため、あくまで「負担軽減の一例」としてご覧ください。
● ドクターショール ジェルアクティブ エブリデイ
衝撃吸収性に優れたジェル素材を使用。立ち仕事や日常使いに適しています。
アーチをやさしく支えながら足全体の疲労を軽減してくれます。
● インソールプロ 扁平足対策タイプ
日本人の足型に合わせた医療設計のインソールシリーズ。
内側アーチを持ち上げる構造で、過回内による腱の引っ張りを抑制します。
市販品の中ではバランス補正に優れ、整形外科でも推奨されることがあります。
● DynWalker アーチサポートインソール
硬めのアーチパッドが足底をしっかり支え、歩行中のブレを抑える設計。
通勤や通学など、長時間歩く場面で安定感を求める人におすすめです。
● Plantar Fasciitis Relief インソール
扁平足や足底筋膜炎にも対応する汎用モデル。
軽度の後脛骨筋腱炎にも応用でき、コスパ重視の人に向いています。
● ドクターショール ジェルアクティブ アクティブプラス
スポーツ向けモデルで、ランニングやウォーキング時の衝撃を吸収。
土踏まず部分の盛り上がりが強く、アーチをしっかり支えます。
これらのインソールはAmazonやドラッグストアなどでも入手しやすく、まず「お試し」で使ってみたい人におすすめです。
オーダーメイドインソールという選択肢
既製品で効果を感じにくい場合や、足の形に癖がある人にはオーダーメイドインソールが適しています。
整形外科や義肢装具士のいる店舗で、足型や歩行のクセを測定し、一人ひとりに合わせた形で作製されます。
メリットとしては以下の通りです。
- 足のアライメント（骨格バランス）を正確に補正できる
- 歩行・ランニング時の動きを考慮して調整できる
- 長期的に症状の再発を防ぎやすい
デメリットは費用と時間。作製費が1〜5万円前後かかり、完成まで数週間かかることもあります。
それでも慢性的な痛みに悩む人には、一度検討する価値のある選択肢です。
インソールと併用したいケア・トレーニング
後脛骨筋腱炎の改善には、インソールだけでなく「使い方」「動かし方」も大切です。
以下のセルフケアを取り入れると、より効果的に回復を促せます。
- ふくらはぎと足首のストレッチ：アキレス腱や後脛骨筋を柔らかく保ち、負担を減らす
- タオルギャザー運動：タオルを足指でたぐり寄せて、足裏筋群を強化
- かかと上げトレーニング：後脛骨筋の筋力を鍛え、アーチ維持力を高める
- アイシング：痛みや腫れがあるときは、1日数回冷却して炎症を抑える
- 靴の見直し：かかとがしっかり固定される安定した靴を選ぶ
症状が強い時期は無理をせず、医療機関の指導を受けながら段階的に進めましょう。
後脛骨筋腱炎に効果的なインソールで快適な一歩を
後脛骨筋腱炎は、単なる「足の疲れ」ではなく、腱の炎症とアーチ崩れが関係する症状です。
痛みを和らげるためには、まず「負担を減らすこと」が大切。
その点で、アーチを正しく支えるインソールは、再発防止にも役立つ心強いサポートアイテムです。
自分の足型に合ったものを選び、靴とのフィット感を確認しながら使っていきましょう。
そして、インソールだけに頼らず、日常的なストレッチや靴選び、姿勢の意識をセットで取り入れることで、足の健康を長く保てます。
足元のケアを見直すことが、快適に歩き続けるための第一歩です。
