この記事ではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。

建築家ヴォーリズの代表作と特徴まとめ|メンソレータムとの意外な関係も解説!

滋賀県の琵琶湖畔を歩いていると、ふと目に飛び込んでくる赤い屋根の洋館。あるいは、大阪の繁華街で圧倒的な存在感を放つクラシックな百貨店。私たちが日常の中で「あ、この建物、なんだか落ち着くな」と感じる場所の多くに、一人のアメリカ人の影があります。

その人の名は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ。

彼は戦前・戦後の日本で1,600件以上もの設計を手がけた建築家でありながら、実はあの「メンソレータム(現・メンターム)」を日本に広めた実業家でもありました。なぜ、一人の建築家が薬を売り、そしてこれほどまでに日本人に愛される建物を遺したのでしょうか。

今回は、建築家ヴォーリズの知られざる生涯と、今すぐ訪れたくなる代表作、そして彼が建物に込めた「心地よさの魔法」について詳しく紐解いていきます。


建築家ヴォーリズとは?「神の伝道師」がペンを執った理由

ウィリアム・メレル・ヴォーリズは、1880年にアメリカで生まれました。彼が初めて日本の地を踏んだのは1905年。建築家としてではなく、滋賀県立商業学校(現在の八幡商業高校)の英語教師として来日したのが始まりです。

彼の本来の目的はキリスト教の布教でした。しかし、熱心な宗教活動が当時の教育現場で問題視され、わずか2年で教師の職を解雇されてしまいます。「日本に留まりたい、でも資金がない」。そんな窮地に立たされた彼が、活動資金を得るために設立したのが建築設計事務所でした。

ヴォーリズにとって建築は、単なる金稼ぎの手段ではありませんでした。彼は「建築は主義の表現である」と考え、建物を通じて人々に豊かな暮らしと精神を伝えようとしたのです。

その後、彼は日本女性の一柳満喜子と結婚し、日本に帰化。「一柳 米来留(ひとつやなぎ めれる)」という日本名を持ち、生涯を日本の社会奉仕に捧げました。


ヴォーリズ建築の最大の特徴「住む人の健康と使い勝手」

ヴォーリズの建物には、当時の建築家が陥りがちだった「見た目の豪華さ」への執着がありません。彼が最も大切にしたのは「そこに住む人が健康で、幸せになれるか」という一点でした。

太陽と風を味方につける設計

当時の日本は結核などの伝染病が猛威を振るっていた時代です。ヴォーリズは衛生面を非常に重視し、どの部屋にもたっぷりとした太陽光が入り、風が通り抜けるように窓を配置しました。

階段一段へのこだわり

彼の優しさが最も現れているのが「階段」です。ヴォーリズ建築の階段は、一般的なものよりも段差(蹴上げ)が低く、足を乗せる面(踏み面)が広く作られています。これは、子供や高齢者が転ばないように、そしてドレスを着た女性が優雅に歩けるようにという配慮からでした。

生活動線の革命

今の住宅では当たり前の「廊下」や「ダイニングキッチン」の概念も、ヴォーリズがいち早く日本に持ち込んだものです。家事をする人が効率よく動けるように、台所と食堂を隣接させ、プライバシーを守るために各部屋を独立させる。彼の設計は、現代日本の住宅のプロトタイプ(原型)になったと言っても過言ではありません。


メンソレータム(メンターム)と近江兄弟社の深い絆

ヴォーリズの名前を聞いて、真っ先に「メンソレータム」や「メンターム」を思い浮かべる方も多いでしょう。実はこれ、偶然ではありません。

建築設計だけでは伝道活動の資金が足りなかったため、ヴォーリズは1920年に「近江セールズ株式会社(後の近江兄弟社)」を設立します。そこでアメリカから輸入販売を始めたのが、家庭用常備薬のメンソレータムでした。

「利益はすべて社会のために」。この理念のもと、薬の販売で得た利益は、病院の建設や学校の運営、そして良質な建築の普及へと還元されました。現在、近江兄弟社から発売されているメンターム 薬用スティックなどの製品には、今もヴォーリズの奉仕の精神が宿っています。

あの看護師の少女「リトルナース」のマークを見るたびに、ヴォーリズが夢見た「健康で文化的な暮らし」を思い出すファンも少なくありません。


一度は訪れたい!ヴォーリズの代表作5選

全国に点在するヴォーリズ建築の中から、特に歴史的価値が高く、その美しさに圧倒される名建築を厳選してご紹介します。

1. 旧豊郷小学校(滋賀県)

「東洋一の小学校」と称えられた、ヴォーリズ建築の最高傑作の一つです。白亜の校舎が青空に映える様子は圧巻。廊下の手すりには、イソップ寓話の「ウサギとカメ」をモチーフにした真鍮の彫像が飾られています。

一歩ずつ着実に進むカメと、途中で居眠りをするウサギ。子供たちに「努力の大切さ」を伝えようとしたヴォーリズの遊び心と教育的視点が光るスポットです。

2. 大丸心斎橋店 本館(大阪府)

大阪のメインストリート、御堂筋に立つこのビルは、ヴォーリズの商業建築の代表格です。ネオ・ルネサンス様式の外観もさることながら、内部のアール・デコ装飾は目を見張る美しさ。

特にエレベーターホールの幾何学模様や、孔雀が羽を広げたようなステンドグラスは、買い物という日常を特別な体験に変えてくれます。一部建て替えが行われましたが、その意匠は大切に継承されています。

3. 関西学院大学 西宮上ケ原キャンパス(兵庫県)

「日本一美しいキャンパス」と評されることも多いこの場所は、ヴォーリズが全体のマスタープランを手がけました。

赤い瓦屋根とクリーム色の外壁、そして美しいアーチが特徴の「スパニッシュ・ミッション様式」で統一されています。背後にそびえる甲山との調和は完璧で、時計台を望む芝生広場に立つと、ここが日本であることを忘れてしまいそうな異国情緒に包まれます。

4. 山の上ホテル(東京都)

多くの文豪に愛された「文化人の宿」としても有名です。アール・デコ調の直線的なデザインと、こぢんまりとした温かみのある空間。

ヴォーリズは、ホテルを単なる宿泊施設ではなく「第二の我が家」のように感じられる場所にするため、細部にまで家庭的な温もりを詰め込みました。

5. 東華菜館(京都府)

京都・鴨川のほとりに立つ、スパニッシュ・バロック様式の風格ある建物。現在は本格的な北京料理店として親しまれています。

ここでの注目は、日本最古のエレベーター。格子状の扉を係員が手動で開閉するスタイルで、今も現役で動いています。ヴォーリズが手掛けた装飾に囲まれながら、歴史を肌で感じることができる貴重な場所です。


ヴォーリズが遺した「豊かな暮らし」のヒント

ヴォーリズの建築を巡っていると、共通して感じるのは「優しさ」です。それは、単に古いから懐かしいのではなく、そこに住む人、使う人への思いやりが100年後の私たちにも伝わってくるからでしょう。

もし、あなたが自分の家を建てたり、インテリアを選んだりする機会があれば、ヴォーリズが大切にした以下のポイントを参考にしてみてはいかがでしょうか。

  • 風の通り道を考える: 部屋の二方向に窓を作るだけで、空気は劇的に入れ替わります。
  • 「触れる場所」を心地よく: ドアノブや階段の手すりなど、毎日手が触れる場所にこだわってみる。
  • 光の陰影を楽しむ: 均一な明るさではなく、あえて影を作ることで、心は落ち着きます。

ヴォーリズの建築本を片手に、彼の設計した空間を体験しに行くのもおすすめです。写真だけでは伝わらない、空気の密度や光の柔らかさを感じることができるはずです。


まとめ:建築家ヴォーリズの代表作と特徴を巡る旅へ

ウィリアム・メレル・ヴォーリズが日本に遺したのは、1,600件の建物だけではありませんでした。それは、「誠実に生きること」「他者に奉仕すること」、そして「日々の暮らしを慈しむこと」という、時代を超えて普遍的なメッセージです。

メンソレータムの香りに包まれながら、理想の社会を夢見た一人の建築家。彼が設計した窓から差し込む光は、今も私たちの心を温かく照らしてくれます。

今回ご紹介した代表作の数々は、その多くが今も大切に保管され、一般公開されているものも少なくありません。週末に少し足を伸ばして、ヴォーリズの魔法にかかった空間で、自分にとっての「本当の豊かさ」を見つける旅に出かけてみませんか。

**建築家ヴォーリズの代表作と特徴まとめ|メンソレータムとの意外な関係も解説!**を最後までお読みいただきありがとうございました。彼の遺した美しい風景が、あなたの日常に新しいインスピレーションを与えてくれることを願っています。

タイトルとURLをコピーしました