安全靴を選ぶとき、「デザイン」や「価格」ばかりに目が行きがちですが、実は最も大切なのが“サイズ”です。ほんの少しの違いで、快適さも安全性も大きく変わります。この記事では、失敗しない安全靴のサイズ選びについて、測り方のコツやブランドごとの特徴をわかりやすく解説していきます。
なぜ安全靴のサイズ選びはそんなに重要なのか
安全靴は、つま先を守る先芯や厚めのソールなど、特殊な構造を持っています。普通のスニーカーと違い、保護性を優先した設計のため、少しでもサイズが合っていないと足に大きな負担がかかります。
サイズが合わない靴を履き続けると、
- 足の指が圧迫されて痛くなる
- 靴ずれやマメができやすくなる
- つま先や踵がずれて転倒リスクが上がる
- 長時間の作業で疲労やむくみが強くなる
といったトラブルが起きがちです。
安全靴は足を守るためのものですが、サイズを間違えると逆に体を痛める原因にもなるのです。
自分の足を正確に測る方法
正しいサイズ選びは、まず「足の実寸」を知るところから始まります。
測るのは「足長(あしなが)」と「足囲(そくい)」の2つです。
足長(あしなが)の測り方
- 紙の上にかかとをつけて立ち、体重を均等にかける。
- 一番長い指(親指または人差し指)まで線を引く。
- かかとからその線までの距離をメジャーで測る。
ポイントは「立った状態で測ること」と「夕方に測ること」。
足は日中むくむので、朝よりも夕方のほうが実際の作業時に近いサイズが出ます。
足囲(そくい)の測り方
- 親指と小指の付け根をぐるっとメジャーで一周する。
- その長さが足囲です。
足囲の数値をもとに、ウィズ(E・EE・EEE・4Eなど)の目安を確認します。
足幅が広い人は3E〜4E、細めの人はE〜EEが合うことが多いです。
左右でサイズが違う人も少なくないので、必ず両足を測り、大きい方に合わせましょう。
安全靴ならではのサイズ感に注意
安全靴は普通のスニーカーより「硬い」「重い」「つま先が狭い」構造です。
そのため、普段履いている靴と同じサイズでも、きつく感じることがあります。
特に注意すべきポイントは以下の通りです。
- 先芯があるため、つま先に余裕が必要。
先芯が指に当たると痛みの原因になります。つま先に1cmほど余裕を持つのが理想です。 - 厚手の靴下を履く前提で選ぶ。
現場では厚めの靴下を履くことが多く、それだけで0.5cm近くサイズ感が変わることがあります。 - 長時間立つ作業が多い人は少し余裕を持つ。
足がむくみやすい方や立ち仕事中心の方は、ジャストサイズより0.5cm大きめが快適です。 - 逆に小さめを我慢して履くのはNG。
小さすぎる靴は血流を妨げ、疲労や冷え、さらには腰痛の原因にもなります。
試し履きでチェックすべきポイント
測ったサイズをもとに候補を絞ったら、必ず試し履きをしましょう。
通販で購入する場合も、返品・交換できるショップを選んでおくと安心です。
チェックするのは次の5点です。
- かかとに人差し指が軽く入る余裕があるか
- 甲の部分に強い圧迫感がないか
- 歩いたときに足が前に滑らないか
- つま先が先芯に当たらないか
- 足の一番広い部分と靴の一番広い部分が一致しているか
これらをクリアしていれば、フィット感の良いサイズです。
もし「少し大きいかな」と感じたら、中敷きや厚手の靴下で微調整できます。
サイズ選びでよくある失敗とその回避法
安全靴選びでありがちな失敗をまとめると、次のようになります。
- 普段のスニーカーと同じサイズで買ってしまう
- 足長しか見ずに足囲(幅)を無視している
- 朝に測定してサイズを決めてしまう
- 試し履きをしないまま通販で購入する
- 小さめを「そのうち伸びる」と思って我慢する
これらを防ぐには、「正確な測定」「試し履き」「ブランドごとの特徴確認」の3つを意識すること。
特に安全靴はメーカーごとにラスト(靴型)が違い、同じ26.0cmでもフィット感が全く異なる場合があります。
ブランド別のサイズ感と選び方のコツ
ミドリ安全
老舗の安全靴メーカー。JIS規格対応モデルが多く、足長・足囲に合わせたサイズ表を公式に公開しています。
ワイズ展開も豊富で、幅広・甲高の方にも選びやすいのが特徴です。
目安として、足長25.3cm・足囲25.7cmなら25.5cmのEEE(3E)が適正サイズとされています。
アシックス
スポーツシューズで培ったフィット技術を生かしたブランド。
ウィズ(NARROW/STANDARD/WIDE/EXTRA WIDE)ごとに設計が異なり、特に履き心地重視の方に人気です。
スポーティーで軽量なモデルが多く、「安全靴も快適に履きたい」という方におすすめ。
その他のブランド
プーマ、ディアドラ、タルテックスなども人気があります。
海外ブランドはやや細身、日本メーカーはゆったりめが多い傾向です。
購入前にレビューやサイズ表記(EU表記・JPN表記)を確認しましょう。
サイズと用途のバランスを考える
現場環境や作業内容によっても、最適なサイズ感は変わります。
- 立ち仕事中心ならゆとりを重視
- 高所作業や機械操作ならフィット重視
- 寒冷地や屋外では厚手靴下を前提に選ぶ
用途に合わせて「動きやすさ」「疲れにくさ」「安全性」のバランスを取るのが理想です。
また、足の形は加齢や体重変化でも変わるため、半年〜1年に一度は再測定することをおすすめします。
サイズが合わないときの調整法
「少し大きい」「かかとが浮く」と感じたときは、次のように調整できます。
- 中敷きを入れて高さを調整する
- 厚めの靴下を履く
- かかとパッドやクッションを使う
- 紐やベルトの締め具合を調整する
ただし、「小さすぎる靴」は調整が難しいので、迷ったら大きめを選ぶのが基本です。
サイズが合わないまま履き続けると、靴自体の変形や足の変調につながるので早めに見直しましょう。
安全靴のサイズ選びで失敗しないまとめ
安全靴は、足を守るための道具であり、作業効率や体への負担にも直結します。
そのためには「足長」「足囲」を正確に測り、ブランドのサイズ表に当てはめ、実際に履いて確認することが欠かせません。
最後に、サイズ選びのチェックポイントをおさらいします。
- 足長・足囲を正確に測る
- 測定は夕方・立った状態で行う
- つま先に1cmほどの余裕を持つ
- 甲・幅に圧迫感がないか確認
- 試し履きで踵の浮き・前滑りをチェック
- 小さい靴は避け、必要なら中敷きで調整
自分の足にぴったり合う安全靴を見つければ、毎日の仕事がもっと快適になります。
ぜひこのガイドを参考に、「安全靴のサイズ選び」で失敗しない一足を見つけてください。


