大切な方とのお別れの場である葬儀や法事。「急なことで準備が間に合わない」「足腰が悪くてパンプスや革靴が履けない」といった理由で、喪服にスニーカーを合わせてもいいのか悩んでしまうことはありませんか?
結論から申し上げますと、大人の場合、喪服にスニーカーを合わせるのは原則としてマナー違反とされています。しかし、状況や選び方によっては、失礼にあたらない「妥協点」を見つけられるケースもあるのです。
今回は、喪服にスニーカーを履く際の注意点や、マナー違反に見えない選び方、そしてどうしても靴が必要なときのおすすめアイテムについて詳しく解説していきます。
喪服にスニーカーを合わせるのは基本的にマナー違反
葬儀や法要は、故人を偲び、ご遺族に敬意を表すための厳粛な儀式です。そのため、服装は「正装」や「準喪服」といったフォーマルな装いが求められます。
スニーカーはもともと運動やレジャーを目的としたカジュアルな靴です。フォーマルな喪服との相性は「格」の面で大きく乖離しており、周囲からは「場を軽んじている」と受け取られてしまうリスクがあります。
特に、光沢のある素材、ロゴが目立つデザイン、カラフルな配色のスニーカーは、どんなに高価なブランド品であっても、葬儀の場では避けるべきとされています。
例外的にスニーカーが認められるケース
基本はNGとお伝えしましたが、以下のような特定の事情がある場合には、スニーカーやそれに準ずる歩きやすい靴での参列が許容される傾向にあります。
体調や身体的な事情がある場合
怪我をしている、足が不自由で補助が必要、外反母趾などの持病があり革靴では激痛が走る、といったケースです。また、妊娠中の方は転倒のリスクを避けるために、ヒールのあるパンプスではなく、履き慣れた安定感のある靴を選ぶことが推奨されます。
子供の参列
未就学児や小中学生の場合、大人ほど厳格なマナーは求められません。学校の制服がある場合は、制服に合わせる靴(黒や紺の地味なもの)で問題ありません。制服がない場合でも、子供に無理をさせて履きなれない革靴を履かせるよりは、清潔で地味な色のスニーカーを選ぶのが一般的です。
急なお通夜への駆けつけ
「訃報を聞いて仕事先から直接駆けつけた」というお通夜の場合、取り急ぎ参列することが供養になると考えられています。そのため、ビジネスシーンで履いている黒いスニーカーや、落ち着いた色のウォーキングシューズであれば、そのまま参列しても大きな失礼にはならないとされています。ただし、翌日の告別式には適切な靴を準備するのが望ましいでしょう。
喪服に合わせても違和感の少ないスニーカー選びの条件
どうしてもスニーカーを選ばざるを得ないとき、どのような基準で選べば「マナー違反」の印象を抑えられるのでしょうか。ポイントは「スニーカーに見えないこと」です。
カラーは「オールブラック」が絶対条件
色は黒一択です。ここで重要なのは、アッパー(表面)だけでなく、ソールの側面、靴紐、ロゴの刺繍まで全てが黒であることです。ソールが白いものや、側面にブランドのラインが入っているものは、遠目から見てもカジュアルさが際立ってしまいます。
素材は布製よりも合皮や本革を選ぶ
キャンバス地(帆布)のスニーカーは、どうしても普段着の印象が強くなります。合成皮革や、ツヤを抑えた本革素材のものを選ぶと、一見するとビジネスシューズやコンフォートシューズのように見え、喪服の質感にも馴染みやすくなります。
フォルムは細身でシンプルなものを
ボリュームのあるハイテクスニーカーや、厚底のものは避けましょう。足首がしっかり出るローカットで、全体のシルエットが細身のものを選ぶと、スラックスやワンピースの裾からのぞいても違和感が少なくなります。
子供が喪服で履くスニーカーの注意点
お子様の場合、動きやすさを重視しても構いませんが、最低限の配慮は必要です。
まず、蛍光色や派手な原色のスニーカーは避けましょう。たとえ子供であっても、葬儀の場では目立ちすぎてしまいます。また、歩くたびにピカピカ光るものや、音が鳴るタイプ、ローラー付きの靴も厳禁です。
おすすめは、無地の黒や紺のスリッポンタイプや、マジックテープ式の黒スニーカーです。これなら脱ぎ履きもスムーズで、儀式の場でも落ち着いて見えます。
突然の事態に備えて持っておきたいアイテム
「普段はスニーカー派だけど、いざという時のために一足持っておきたい」という方や、「足が痛くなりにくい靴を探している」という方には、フォーマルな見た目とスニーカーの履き心地を両立したアイテムがおすすめです。
1. 冠婚葬祭用ウォーキングシューズ
見た目は完全に紳士用の革靴(プレーントゥやストレートチップ)でありながら、ソールに衝撃吸収材が使われており、スニーカー感覚で歩ける靴が増えています。テクシーリュクスのようなビジネス向けウォーキングシューズは、一足あると法事だけでなく、長距離を歩く仕事の日にも重宝します。
2. 走れるパンプス(コンフォートパンプス)
女性の場合、無理にスニーカーを履くよりも、クッション性が高く設計されたワコール サクセスウォークのようなパンプスを選ぶのが、マナーと快適さを両立させる近道です。
3. 子供用のフォーマルシューズ
成長の早いお子様には、本格的な革靴を用意してもすぐにサイズアウトしてしまいます。普段使いもできる黒のシンプルなスニーカー、例えばニューバランス 313 ブラックなどを、お出かけ用として用意しておくと安心です。
現場で慌てないための工夫とマナーの補足
もし、どうしても派手なスニーカーしか持っていない状況で、お通夜に駆けつけなければならない場合は、以下のような対策を検討してみてください。
- 靴紐を黒に替える: 白い靴紐を黒い紐に替えるだけで、スニーカーの主張をかなり抑えることができます。
- 汚れを徹底的に落とす: マナー違反以上に失礼なのは「汚れ」です。使い古したスニーカーであっても、泥汚れを落とし、綺麗に拭き上げることで、敬意を示すことができます。
- 会場で履き替える: 移動中は足に優しいスニーカーを履き、会場の入り口や車内でフォーマルな靴に履き替えるのが、マナーを重視する大人の振る舞いとして最もスマートです。
また、靴だけでなく靴下にも注意が必要です。男性は黒の無地のビジネスソックス、女性は黒の薄手のタイツまたはストッキングを合わせるのが基本です。スニーカーに合わせるような短いスポーツソックスや、くるぶし丈の靴下は、喪服の裾から肌が見えてしまうため避けましょう。
喪服にスニーカーはあり?マナー違反にならない履き方とおすすめカラーのまとめ
「喪服にスニーカーはありか?」という問いに対しては、大人は「原則NGだが、黒一色のシンプルなものであれば、健康上の理由や緊急時に限り許容される」というのが現実的な答えです。
大切なのは、服装のルールを守ることそのものよりも、「故人を敬い、遺族を傷つけないための気遣い」があるかどうかです。派手な色を避け、清潔感を保ち、可能な限りフォーマルに近づける努力をすることが、何よりの供養になります。
最近では、見た目は革靴で中身はスニーカーのような高機能なシューズも手軽に手に入ります。もしもの時に慌てないよう、ご自身の足の健康状態に合わせて、一足「黒くて歩きやすい靴」を用意してみてはいかがでしょうか。
次に、こうした靴に合わせるべき「正しい靴下の選び方」や、意外と見落としがちな「バッグのマナー」についても、併せてチェックしておくことをおすすめします。


