近年のランニングシーンを語るうえで欠かせない存在になったのが「厚底ランニングシューズ」。クッション性と反発力を両立させた構造により、マラソン大会の上位選手から一般ランナーまで愛用者が急増しています。
ただし、「厚底=履くだけで速くなる」「疲れない」と思ってしまうのは少し危険。実は、厚底ランニングシューズの性能を引き出すには、独特の走り方やフォームのコツを理解しておく必要があります。
ここでは、初心者でもわかりやすく、厚底ランニングシューズの正しい走り方と、疲れにくいフォームづくりのポイントを解説します。
厚底ランニングシューズとは?まずは特徴を理解しよう
厚底ランニングシューズとは、ミッドソールが厚く設計され、衝撃吸収と反発力を両立したシューズのこと。ソールの厚みは3〜4センチほどあり、クッション性の高い素材やカーボンプレートを内蔵しているモデルもあります。
主な特徴は次のとおりです。
- クッション性が高く、衝撃を軽減
長距離を走る際に膝や足首にかかる負担をやわらげる効果が期待できます。 - 反発力(推進力)を生む構造
着地時に蓄えたエネルギーを、蹴り出し時に前方への推進力として返してくれます。 - ストライド(歩幅)が自然に広がる
シューズの反発を活かすことで、足を後ろへ大きく送る動きが生まれます。
つまり、厚底ランニングシューズは「体を守りながら効率よく進む」ことを助けてくれる道具。ただし、その性能を活かすには、体の使い方がポイントになります。
厚底ランニングシューズで意識したい「走り方」の基本
1. 着地は“足裏全体”で受け止める
厚底ランニングシューズを履くと、自然とかかとから着地しやすくなります。しかし、かかとだけで受け止めると衝撃が逃げにくく、シューズの反発力を十分に活かせません。
理想は「ミッドフット着地」または「フォアフット着地」。つまり、足裏全体を使って柔らかく着地し、反発を前方へつなげるイメージです。
慣れるまでは、短い距離で「トンッ」と軽く足を置く感覚を練習すると良いでしょう。
2. 蹴り出しは“後ろ方向”を意識
厚底ランニングシューズは、地面を押す力を反発として返してくれます。
そのため、「上に跳ねる」よりも「後ろへ押す」意識を持つことが大切です。
足を後ろに長く送ることで、ソールの反発を効率的に前進力へ変えることができます。
慣れてくると、力を入れすぎなくてもスッと前へ進む感覚がつかめるはずです。
3. 上体は軽く前傾、リラックスして走る
上半身が後ろに反ると、反発力をうまく使えません。
背筋を伸ばしたまま、ほんの少しだけ前に倒すような姿勢がベスト。
視線は遠くを見て、腕はリズムよく前後に振ります。
体幹をしっかり安定させることで、脚の動きがブレにくくなり、長時間走っても疲れにくくなります。
初心者がやりがちなNGフォームと修正のコツ
厚底ランニングシューズを履きこなすためには、「ありがちな間違い」を知っておくことも大事です。
かかと着地でドスンと走る
→ 衝撃を吸収できず、膝や腰に負担がかかります。
修正法: 足裏全体で地面を感じる。接地音をできるだけ小さくするよう意識してみましょう。
上体を起こしすぎる
→ シューズの反発を活かせず、前進力が途切れます。
修正法: 背筋を伸ばしながら、体重をやや前に預けるようにします。肩の力を抜くと自然な前傾になります。
蹴り出しで力みすぎる
→ 太ももやふくらはぎが早く疲れ、フォームが崩れます。
修正法: 地面を「蹴る」というより「押す」感覚を持ち、脚全体でスムーズに流れる動きを意識しましょう。
厚底ランニングシューズを履きこなすための準備とトレーニング
いきなり厚底ランニングシューズで長距離を走ると、かえって脚を痛めるリスクもあります。
シューズに慣れるまで、次のステップで段階的にトレーニングを進めるのがおすすめです。
- まずは短いジョグから
最初は10〜15分程度の軽いランニングからスタート。違和感がないかを確認します。 - フォームを動画でチェック
スマートフォンで自分の走りを撮影すると、着地位置や姿勢のクセが一目でわかります。 - 体幹トレーニングを取り入れる
厚底ランニングシューズの反発を受け止めるには、体幹の安定が重要。プランクやスクワット、ランジなどを習慣にしましょう。 - ストレッチで柔軟性を確保
アキレス腱や股関節周りをほぐしておくと、スムーズに足が運べます。
これらを継続することで、厚底ランニングシューズ特有の反発やクッション性を自然に使いこなせるようになります。
厚底ランニングシューズで“疲れにくく”走るための意識
長時間のランニングで疲れを溜めないためには、フォームと同じくらい「意識の持ち方」も大切です。
- 力を抜くことを恐れない
厚底ランニングシューズは反発を活かす設計。筋肉で無理に蹴るより、シューズに仕事をさせる感覚で走りましょう。 - 一定のリズムを保つ
ペースを上げ下げすると、クッションの反発が不安定になり疲労が増します。一定リズムで軽快に刻むことがポイント。 - 短めのストライドを意識
歩幅を無理に広げようとすると、脚への衝撃が増加します。自然な歩幅でリズムよく走る方が効率的です。 - 休養も練習のうち
厚底ランニングシューズは脚への負担を軽減しますが、ゼロではありません。疲労を感じたら1〜2日休む勇気を持ちましょう。
こうした意識を持つだけで、走りの質が変わり、より快適にランニングを続けられるようになります。
自分に合う厚底ランニングシューズを選ぶポイント
厚底ランニングシューズにもさまざまな種類があります。選び方を間違えると、せっかくの性能が十分に発揮されません。
- サイズは必ず実測で選ぶ
指先に5mmほどの余裕があるのが理想です。小さすぎると足指が圧迫され、大きすぎると靴内でブレます。 - 安定感のあるモデルを選ぶ
厚底は地面との距離があるため、ソールの安定性が重要。初心者は横ブレしにくい設計のものを選ぶと安心です。 - 走る目的を明確にする
レース向けの超軽量モデルは反発が強く、脚への負荷も大きめ。日常のジョグや練習用なら、クッション重視のタイプが快適です。
店頭で試し履きをして、実際に数歩走ってみるのがおすすめ。足裏の接地感や反発の方向を確かめると、自分に合うかどうかが分かります。
まとめ|厚底ランニングシューズの正しい走り方を身につけよう
厚底ランニングシューズは、単なる流行ではなく「走りの効率を高めるための進化したツール」です。
ただし、その恩恵を受けるには、正しいフォーム・姿勢・意識が欠かせません。
- 着地は足裏全体で柔らかく
- 蹴り出しは後方への推進を意識
- 上体は軽く前傾し、リズムよく腕を振る
- 徐々に慣らしながら筋力と体幹を育てる
こうした基本を守れば、初心者でも厚底ランニングシューズの性能をしっかり引き出し、よりラクに、より遠くまで走れるようになります。
正しい走り方を身につけて、厚底ランニングシューズと一緒に、自分の走りを進化させていきましょう。


