「登山靴は重くて硬いもの」という常識を覆し、世界中で愛されているメレルのモアブシリーズ。その中でも、ひときわ異彩を放つモデルがメレル モアブ フライトです。
「ハイキングシューズの王様」の血統を受け継ぎながら、トレイルランニングの軽快さを手に入れたこの一足。実際のところ、山道での履き心地はどうなのか?厚底ソールのクッション性は膝に優しいのか?そして、ネットで時折見かける「滑る」という噂の真相は?
今回は、メレル モアブ フライトを徹底的にレビューし、サイズ選びのコツから登山での実力まで、余すことなくお伝えします。
モアブの皮を被った「浮遊する」トレランシューズ
メレルの代名詞といえば、累計2,800万足以上を売り上げたモンスターヒット作「モアブ」ですよね。ガッシリとした安定感と、箱から出してすぐに足に馴染む快適さが売りです。
そのモアブの木型(ラスト)をベースに、最新のランニングテクノロジーを流し込んだのがメレル モアブ フライト。手にとった瞬間に驚くのが、その圧倒的な軽さです。
メンズで約270g、ウィメンズなら約230g。一般的な登山靴の半分近い重量しかありません。名前の「フライト(飛行)」が示す通り、まさに空を飛ぶような軽やかな足取りを約束してくれる一足なんです。
衝撃のクッション性!FloatProミッドソールの実力
メレル モアブ フライトの最大の特徴は、何といってもその分厚いミッドソールにあります。採用されているのは、メレル独自の「FloatPro(フロートプロ)」という軽量で耐久性の高いフォーム材です。
このソール、見た目通りかなり「モチモチ」しています。着地した瞬間に足裏を優しく包み込み、地面からの突き上げを完璧に近いレベルでいなしてくれます。
- 膝や腰への負担が劇的に減る長距離のハイキングや下り坂では、自分の体重の数倍の衝撃が関節にかかります。FloatProはその衝撃を効率よく吸収してくれるので、山行後半の「足の売り切れ」を防いでくれます。
- エネルギーリターンがあるただ柔らかいだけでなく、適度な反発力もあります。踏み出した力を次の一歩へ繋げてくれる感覚があり、自然と足が前に出るリズムを作ってくれます。
「登山靴の硬さが苦手」「歩いた翌日に膝が痛くなる」という方にとって、このクッション性は救世主になるはずです。
気になる「滑る」という噂の真相を検証
トレイルランニングシューズやハイキングシューズを選ぶ際、最も気になるのがソールのグリップ力ですよね。一部で「メレル モアブ フライトは滑る」という声を聞くことがあります。
結論から言うと、これは「路面との相性」によるものです。
このモデルには、環境に配慮した「Vibram EcoStep」というアウトソールが採用されています。ラグ(突起)の深さは3mm。これはトレイルランニングシューズとしては比較的浅めの設計です。
- 得意な路面整備された登山道、乾いた土、林道、アスファルト。こういった場所では、広い接地面積を活かして吸い付くような安定感を発揮します。
- 苦手な路面深くぬかるんだ泥道、濡れた苔の生えた岩場、急斜面のガレ場。ラグが浅いため、泥を噛みきれなかったり、岩の表面でエッジを効かせにくかったりする場面があります。
つまり、メレル モアブ フライトは「ライトなトレイルを快適に速く動く」ための設計なんです。本格的な岩稜帯やバリエーションルートに行くなら物足りませんが、一般的なハイキングコースであれば十分すぎる性能を持っています。
失敗しないサイズ感とフィット感の選び方
メレル モアブ フライトのサイズ選びで迷っているなら、「いつものサイズ」を基準にするのが正解です。
メレルのシューズは、もともと日本人の足型に近い、つま先周りにゆとりのある設計になっています。
- 幅広・甲高の人でも安心「モアブラスト」を継承しているため、足先が扇状に広がる人でも指が圧迫されにくいのが特徴です。
- ホールド感の調整アッパーが柔らかいリサイクルメッシュ素材なので、紐を締めれば足全体が心地よく包み込まれます。ガチガチに固定される感じではなく、足の動きに追従してくる柔軟なフィット感です。
- ソックスとの相性厚手の登山用ソックスを履く場合は、0.5cmアップを検討してください。逆に、薄手のランニングソックスで軽快に走りたいなら、ジャストサイズが最もその性能を引き出せます。
試着の際は、踵を合わせた状態でつま先に1cm程度の余裕があるかを確認しましょう。下り坂で指先が当たって痛くなるのを防ぐための鉄則です。
登山で実際に使って感じたメリットとデメリット
メレル モアブ フライトを山へ連れ出すと、そのキャラクターがはっきりと見えてきます。
メリット:とにかく歩くのが楽しくなる
これまでの重い登山靴が「一歩一歩踏みしめる」感覚だとしたら、フライトは「ポンポンと跳ねるように進む」感覚です。通気性が抜群に良いため、夏場の低山でも足が蒸れにくく、不快感がありません。
また、キャンプサイトでのリラックスシューズとしても優秀です。踵周りが柔らかいので脱ぎ履きしやすく、テント周辺を歩くときもスリッパ感覚で使えてしまいます。
デメリット:横方向のサポートは控えめ
ローカットかつアッパーが柔らかいため、大きな石がゴロゴロしているような場所では足首を捻らないよう注意が必要です。また、防水機能(ゴアテックスなど)は備わっていないため、雨の日や渡渉があるルートでは靴下まで濡れることを覚悟しなければなりません。
ただし、濡れても乾きが早いという利点もあるので、あえて「非防水」を選んで夏山を軽快に歩くというスタイルには最適です。
どんな人にメレル モアブ フライトはおすすめ?
このシューズが最高のパートナーになるのは、以下のような方々です。
- 「ファストパッキング」に挑戦したい人荷物を軽量化し、コースタイムよりも早く、あるいは長い距離を歩きたいハイカーにぴったりです。
- 膝や関節に不安がある人FloatProのクッション性は、長距離歩行でのダメージを最小限に抑えてくれます。
- 普段履きと兼用したい人デザインが洗練されており、街中でも全く違和感がありません。むしろ、クッション性の高いスニーカーとして日常使いする人が増えているほどです。
- 初めてのトレランシューズを探している人本格的なレース用モデルよりも安定感があり、歩きやすいため、登山からランへ移行する方の最初の一足として非常に優秀です。
まとめ:メレル モアブ フライトをレビュー!サイズ感や登山での履き心地、滑るという噂は本当?
さて、ここまでメレル モアブ フライトの魅力を深掘りしてきました。
伝統の「モアブ」の安心感と、最新の「フライト」の軽やかさ。これらが絶妙なバランスで融合したこのシューズは、山歩きをより自由で、より身近なものに変えてくれます。
「滑る」という不安については、自分の行くフィールドをしっかりと見極めることで解消できます。整備されたトレイルや、心地よい土の道をメインにするなら、これほど頼もしい相棒はいません。
サイズ感に迷ったら、まずはいつものサイズから試してみてください。その包み込まれるようなフィット感と、雲の上を歩くようなクッションを体感すれば、きっと次の週末が待ち遠しくなるはずです。
山を歩く喜びを、もっと軽やかに、もっと遠くまで。メレル モアブ フライトと一緒に、新しいトレイルの景色を見に行きませんか?



