ニューバランスのスニーカーを選ぶとき、「Vibram(ビブラム)ソール搭載」という言葉を目にしたことがある人も多いはず。
ビブラムといえば登山靴やトレッキングシューズで信頼を集める老舗メーカー。では、ニューバランスとビブラムが組み合わさると、どんな履き心地になるのでしょうか。この記事では、グリップ力や耐久性といった実力を徹底的に検証していきます。
Vibramソールとは?その信頼の理由
ビブラムは1930年代にイタリアで誕生したソール専門メーカー。
創業者ヴィターレ・ブラマーニが登山中の事故をきっかけに「滑らない靴底を作りたい」と開発を始めたことがルーツです。
特徴は、ラバー素材の配合技術とラグ(突起)パターンの設計にあります。
- 濡れた岩場でも滑りにくいトラクション性能
- 長期間摩耗しにくい高い耐久性
- 雪・泥・アスファルトなど多様な地面への適応力
現在では、登山靴からワークブーツ、さらにはスニーカーまで幅広く採用されています。
つまり「ビブラムソール=信頼性の高いアウトソール」というブランドイメージが確立しているのです。
ニューバランスがVibramソールを採用する理由
ニューバランスといえば、ミッドソール技術(ENCAPやFresh Foamなど)で知られるブランド。
しかし、どれほどクッション性が優れていても、路面との接地面=アウトソールの性能が低ければ快適さは半減します。
その点、ビブラムソールを採用することで以下のメリットが得られます。
- 不整地・濡れた路面でも安定したグリップを確保
- ソール寿命が長く、摩耗による劣化が起きにくい
- トレイルやアウトドアなど過酷な環境でも性能を維持
ニューバランスがビブラムを採用する背景には、「走行安定性」と「長期耐久性」を両立させる狙いがあります。特にトレイルランや山道対応モデルでは、ほぼ標準装備といってもいいほど信頼を置いています。
Vibramソール搭載の代表的なニューバランスモデル
Fresh Foam X Hierro v9
現行モデルで最も注目されているビブラム搭載スニーカー。
アウトソールには「Vibram Megagrip」を採用し、ぬかるんだトレイルや岩場でもしっかり地面を掴む。ラグの深さも4〜5mmとトレイル仕様で、滑りにくさが際立ちます。
一方で重量がやや増し、柔軟性が低下したという声も。とはいえ、長距離トレイルでの安定感は抜群です。
Fresh Foam X Hierro v8
前モデルは「Vibram Eco-Step Natural」を搭載。環境配慮型ラバーながら耐摩耗性とトラクション性能を両立。
街と山の両方を行き来するような使い方にちょうど良く、ヒールの安定性やラグ形状も汎用性があります。
M1300(クラシックライン)
1985年の初代M1300にもビブラムソールが採用されていたことをご存知でしょうか。
ニューバランスの歴史においても、ビブラムとの協業は古く、グリップ性を求める伝統的モデルとして知られています。
グリップ力の実際:滑りにくさは本物か?
ビブラムソールの真骨頂は、やはりグリップ力。
ラバー配合とラグ形状の組み合わせにより、一般的なスニーカーソールよりも“地面を掴む力”が段違いです。
実際のユーザーレビューでも次のような声が目立ちます。
- 「雨の日のアスファルトでも滑らず安心」
- 「ぬかるんだ山道でも安定して走れた」
- 「岩場やタイルでもしっかりグリップしてくれる」
これはMegagripなどの高摩擦系コンパウンドが、濡れた路面でも摩擦係数を維持できるよう設計されているため。
特にトレイルランナーにとっては命を預けられるほどの信頼性を誇ります。
一方で、舗装路オンリーで使用する場合はやや硬く感じることも。
柔らかい路面ではラグが沈み込んで衝撃を吸収しますが、コンクリート上ではラグが「抵抗」として感じられることもあります。
このため、普段履きメインの人はラグが浅いビブラム仕様モデルを選ぶと快適です。
耐久性の検証:長く履ける理由と注意点
「ビブラムは減りにくい」と言われる通り、耐久性の高さは多くのユーザーが実感しています。
ラバー自体が強靭で、摩耗に強く、変形しにくいのが特徴。
登山靴用に開発されているだけあり、数百キロの使用でもアウトソールが極端に削れにくいというレビューもあります。
ただし、注意点もあります。
アウトソール自体は長持ちしても、ミッドソールやアッパーが先に劣化するケースがあるのです。
特にヒールやつま先部分は屈曲や衝撃が集中しやすく、ビブラム部分との接合が弱ることも。
そのため、定期的な洗浄・乾燥・保管を心がけることで、靴全体の寿命を延ばすことができます。
ビブラムソールのメリットを最大限活かすコツ
せっかくの高性能ソールも、使い方を誤ると性能を発揮できません。
ここでは、ビブラムソール搭載モデルを長く快適に使うためのポイントを紹介します。
- 泥や砂をこまめに落とす:ラグの溝に詰まるとグリップ力が低下します。
- 直射日光を避けて保管:熱や紫外線でラバーが硬化すると滑りやすくなります。
- 濡れた後は陰干し:水分が残ると加水分解のリスクが上がります。
- 舗装路では軽量モデルを選ぶ:トレイル仕様の厚底ラグは街中ではオーバースペックです。
これらを意識するだけで、ソールの性能が長持ちし、快適な履き心地をキープできます。
ニューバランスVibram搭載モデルの選び方
どのモデルを選ぶかは、使用シーンによって変わります。
以下のように目的別で考えると、自分に最適な1足を選びやすくなります。
- 登山やトレイル中心:Fresh Foam X Hierro v9
→ 悪路対応のラグ深めソール。グリップと安定性を重視。 - 街とアウトドアの両用:Fresh Foam X Hierro v8
→ グリップ力を保ちながらクッション性も確保。普段履きにも違和感なし。 - クラシックな見た目重視:M1300系
→ ビブラム採用の歴史的モデル。レトロなデザインと実用性を両立。
価格帯は1万5,000〜2万円台が中心。
やや高めですが、アウトソールの耐久を考えればコストパフォーマンスは十分に高いといえます。
実際に履いて感じる「違い」
筆者を含め、ビブラムソール搭載モデルを履いた人の多くが口を揃えるのは「安心感」。
一歩踏み出すごとに、地面を確実に掴むような感触があります。
舗装された道路では“グリップしすぎる”ように感じることもありますが、雨の日や坂道ではその粘りが頼もしく思えます。
さらに、アウトソールが硬めな分、地面からの突き上げを軽減し、足裏の疲労も軽く感じられます。
まさに「安定感のある走り」を実感できる一足です。
デメリットと注意点も知っておこう
万能に見えるビブラムソールですが、いくつか注意すべきポイントもあります。
- 重量が増す傾向にある:厚いラバー構造のため、軽快さではやや劣る。
- 柔軟性が控えめ:慣れるまでは足首の動きが制限される感覚がある。
- 価格が高め:ソール素材コストが上がるため、定価がやや高い。
- 舗装路ではオーバースペック:通勤や街歩き中心の人にはやや硬く感じる可能性。
こうした特徴を理解したうえで選ぶことで、自分のライフスタイルに合った最適なモデルを見つけられます。
今後の展開にも注目
ニューバランスは年々トレイルやアウトドア系モデルを拡充しており、ビブラムソール搭載モデルも増加傾向にあります。
また、環境対応素材「Vibram Eco-Step Natural」など、サステナブルな開発も進んでいます。
街と自然の両方をシームレスに行き来できるようなデザインが今後の主流になるでしょう。
ニューバランスVibramソール搭載モデルの実力まとめ
最後に、この記事で紹介したポイントを簡単に整理します。
- ビブラムソールは高いグリップ力と耐久性で定評がある
- ニューバランスでは主にトレイル・アウトドアモデルで採用
- 特にFresh Foam X Hierro v9シリーズが代表的
- 濡れた路面・悪路でも滑りにくく、安心して歩ける
- ただし重量や硬さに注意。用途に合ったモデル選びが大切
ニューバランスVibramソール搭載モデルの実力を検証してわかったこと
ニューバランスとビブラム、この二つのブランドが融合したスニーカーは、確かに“信頼できる足元”を作り出しています。
トレイルでも街でも、しっかり地面を掴む安定感。長く履いても形が崩れない耐久性。
「一度履くと普通のソールには戻れない」と言われるのも納得です。
これから新しいスニーカーを探しているなら、ぜひ一度「ニューバランス Vibramソール搭載モデル」を試してみてください。
その確かなグリップ力と安心感が、あなたの歩きを変えてくれるはずです。


