ランナーの間で注目が高まっている「ニューバランスFuelCell Pvlse v1」。FuelCellシリーズの中でも特に軽量で、地面を蹴る感覚を重視したこのモデルは、「スピード練習用」「短距離レース向け」として話題になっています。ここでは、実際のスペックや履き心地、他モデルとの違いを踏まえながら、その魅力を丁寧に紹介します。
FuelCell Pvlse v1とは?シリーズ内での立ち位置
FuelCell Pvlse v1(フューエルセル パルス v1)は、ニューバランスの高反発ランニングシューズシリーズ「FuelCell」の中でも、特に薄底・軽量設計を特徴とするモデルです。
「自分の足でしっかり地面を蹴り出したい」「厚底シューズに頼らず、脚力を鍛えたい」というランナーに向けて開発されました。
近年は厚底シューズ全盛期ですが、Pvlse v1はその流れとは対照的な“薄底レーシングフラット”。地面を感じる感覚を重視し、ランニングの基礎力を高めるための一足といえます。
FuelCellフォームが生み出す推進力と反発性
ニューバランスが誇る「FuelCellフォーム」は、シリーズ共通のミッドソール素材。軽さと反発性を兼ね備え、蹴り出し時に自然な推進力を与えてくれます。
Pvlse v1では、このFuelCellフォームをより硬めに調整し、反発弾性を高めた「FuelCellコンパウンド」を採用。これにより、クッションに頼る走りではなく、自分の脚で地面を押し出す感覚をしっかり感じられます。
厚底モデルのように“跳ねる”感覚ではなく、“地面を蹴る”感覚に近い反発。脚のバネを使ってスピードを出したいランナーには、この感触が心地よく感じられるでしょう。
軽量で薄底。スピード練習に最適な設計
Pvlse v1の最大の特徴は、薄底かつ軽量な構造です。
ソール厚は前足部約15mm、かかと約17mmという超ロープロファイル設計。ドロップ(つま先とかかとの高低差)はわずか2mmで、自然な体重移動を促します。
重量はおよそ180〜200g前後(サイズにより異なる)。ニューバランスの中でもトップクラスの軽さです。実際に履いてみると、足を上げた瞬間に「軽い!」と感じるレベル。
その軽さが、ピッチ走法や短距離スピード練習において抜群の快適さをもたらします。
この薄底構造は、世界陸上連盟(WA)のレギュレーションである“ソール厚20mm以下”にも対応。公式トラックレースにも使用できる仕様です。
通気性とホールド感を両立したアッパー構造
アッパーには、通気性の高いメッシュ素材を採用。長時間のスピード練習でも蒸れにくく、快適な履き心地を保ちます。
さらに、ニューバランス独自の「FANTOMFIT(ファントムフィット)」構造により、軽量ながらも足をしっかり包み込むフィット感を実現。特に中足部のサポートがしっかりしており、薄底ながらも安定感を感じられます。
ただし、足首まわりのカットは浅め。ホールド感よりも軽さと解放感を優先しているため、ここは好みが分かれるポイントです。
軽快なフィット感を求めるランナーにはベストマッチですが、包み込まれるような安定性を好む人にはやや物足りないかもしれません。
実際の使用感:地面を感じる“蹴る走り”が魅力
レビューや試走レポートを見ると、Pvlse v1の履き心地は「地面をしっかり感じる」「脚で走っている感覚がある」といった声が多く見られます。
地面との距離が近い分、着地から蹴り出しまでの反応が非常に速い。足裏の感覚を使いながらテンポ良く走れるため、スピード練習や短距離のペース走に向いています。
また、軽量な分だけ脚の回転を上げやすく、ピッチを高めたいランナーにも適しています。
「厚底だと反発が強すぎてリズムが合わない」「もう少し自分の力で走りたい」という人には、この“ナチュラルな反発感”が絶妙にハマるでしょう。
注意したい点とおすすめの使い方
もちろん、Pvlse v1は万能型ではありません。
ソールが薄いぶん、クッション性や衝撃吸収力は控えめ。フルマラソンなどの長距離走や、衝撃を減らしたいジョグ用途にはあまり向いていません。
また、路面からの刺激が強いので、筋力やフォームが安定していない初心者には少し負担に感じることもあるでしょう。
おすすめの使い方は以下の通りです。
- 5km〜10kmのスピード練習
- トラックでのインターバル走
- スピードを意識したショートレース
- 厚底シューズに頼らないフォームづくりのトレーニング
Pvlse v1は「脚を鍛える」「フォームを磨く」ためのシューズとして非常に有効です。使いどころを明確にすれば、練習の質を一段上げる相棒になるでしょう。
他モデルとの比較:FuelCellシリーズ内でのポジション
FuelCellシリーズには、FuelCell Rebel(リベル)やFuelCell Propel(プロペル)といった人気モデルがあります。
それらが厚底で柔らかく、クッションと反発を両立した「万能型」だとすれば、Pvlse v1は“純粋なスピード特化型”。
- FuelCell Rebel:クッション性と反発性をバランス良く兼ね備え、テンポ走やフルマラソンにも対応。
- FuelCell Propel:日常練習にも使える安定系モデル。
- FuelCell Pvlse v1:薄底で軽く、蹴り出し重視のレーシングフラット。
このように、Pvlse v1はFuelCellシリーズの中で“原点回帰的”な位置づけ。
「厚底シューズに慣れすぎて脚力が落ちてきた」「地面を感じる練習を取り入れたい」というランナーにとって、フォームの再調整にも役立ちます。
実際のレビューから見る評価
複数のランナーから寄せられたレビューをまとめると、以下のような傾向があります。
- 「軽くてピッチを上げやすい」
- 「厚底に慣れていたけど、久々に地面を蹴る感覚を思い出せた」
- 「ふくらはぎに効くが、脚作りに最適」
- 「反発は強すぎず、ナチュラルで扱いやすい」
一方で、「長距離には向かない」「クッションが薄く、疲労がたまりやすい」という意見もありました。
総じて、「脚を使って速く走る」ことを目的とした上級者・中級者ランナーから高評価を得ています。
デザイン・価格・カラー展開
デザインはFuelCellシリーズらしく、シャープでスピード感のあるフォルム。
軽量モデルながらも細部の造形はスタイリッシュで、普段履きとしても違和感のない洗練されたデザインです。
価格は定価でおよそ14,000円台(税込)。通販サイトでは8,000円前後から購入できることもあり、コストパフォーマンスは高めです。
カラーはブラック系やホワイト系を中心に複数展開されており、トレーニング用・レース用のどちらでも合わせやすい配色です。
どんなランナーにおすすめか
FuelCell Pvlse v1は、以下のようなランナーに特におすすめです。
- 厚底シューズに頼らず、脚でしっかり走りたい人
- トラック練習や5〜10kmのスピード練習を重視する人
- 軽量で反応の良いシューズを求める人
- フォーム改善や脚づくりを目的とした中〜上級者
逆に、クッション性を重視したい人や、長距離・ジョグ中心のランナーには他モデル(FuelCell Rebelやニューバランス 1080など)のほうが快適です。
自分の目的に合った使い分けをすることで、トレーニング効果を最大限に引き出せます。
ニューバランスFuelCell Pvlse v1の魅力を改めてまとめる
ニューバランスFuelCell Pvlse v1は、軽量性・反発性・薄底構造という三拍子を揃えたスピード特化型モデルです。
足裏感覚を重視するランナーにとって、まるで素足で走っているような自然な接地感と、自分の脚で走る喜びを再確認できる一足といえます。
厚底シューズが主流の今だからこそ、こうした“薄底レーシング”の価値が見直されています。
スピード練習や短距離レースで、自分の脚の力を引き出したい。そんな目的を持つランナーには、FuelCell Pvlse v1がきっと強力な武器になるでしょう。


