ニューバランスの定番スニーカーといえば、やっぱり「ニューバランス996」と「ニューバランス574」。どちらも街中でよく見かける人気モデルですが、実際に履いてみると「形が違う」「フィット感が違う」「価格も少し違う」と気づく人が多いと思います。
この記事では、ニューバランス996とニューバランス574の違いを、デザイン・履き心地・サイズ感という3つの視点から、分かりやすく掘り下げていきます。
996と574、そもそもどんなモデル?
まずは、それぞれの誕生背景を簡単に整理しましょう。
「ニューバランス996」は1988年に登場した900番台シリーズの3代目。もともと本格ランニングシューズとして開発され、当時のニューバランス技術を詰め込んだ“フラッグシップ的存在”でした。洗練されたフォルムと機能性が評価され、今ではライフスタイルモデルとしても定番化しています。
一方の「ニューバランス574」は、トレイルランニング用の「ニューバランス576」をベースに、タウンユース向けにアレンジされたモデル。90年代のカジュアルシーンを象徴するスニーカーとして人気を広げ、「ニューバランスの顔」と呼ばれるほど定番化しました。
つまり、996は“オンロード(舗装路)での走りを意識したシャープなモデル”、574は“オフロード(不整地)での安定感を重視したカジュアルモデル”という違いがあります。
デザインの違い:シャープな996、丸みの574
見た目の印象で最も分かりやすいのが、シルエットの違いです。
996は全体的に細身でスタイリッシュ。足の甲からつま先にかけて流れるようなラインを描き、スマートな印象を与えます。使用されている木型(ラスト)は「SL-1」と呼ばれる細身設計で、シルエットの美しさに定評があります。スラックスや細めのデニムにも相性が良く、上品なスタイリングにも溶け込みやすいのが魅力です。
対して574は、やや丸みのあるフォルムが特徴。足の甲からつま先までのボリューム感があり、「SL-2」という幅広設計のラストを採用しています。そのため、見た目にも安定感があり、カジュアルファッションやストリートスタイルによく馴染みます。ワイドパンツやスウェットにも合いやすく、全体に“かわいらしさ”や“柔らかさ”を感じる人も多いでしょう。
また、アウトソールの形状にも違いがあり、996はフラットで滑らかな形状、574は凹凸のあるトレイル仕様。こうした設計の差が、履き心地にも直結しています。
履き心地の違い:軽快な996と安定感の574
実際に履いたときに感じる違いは、クッションの硬さや反発の仕方にあります。
996はランニング由来のモデルだけあって、軽快な履き心地が特徴。ミッドソールには「C-CAP」という圧縮成型EVA素材を使用し、適度な反発力と安定感を両立しています。地面との距離が近く、足運びがスムーズに感じられるタイプです。歩くと“コツコツ”とした感触があり、しっかり支えてくれる印象を持つ人が多いでしょう。
一方の574は、「ENCAP」というEVAをポリウレタンで包み込んだ構造を採用。996よりも柔らかく、ふかふかしたクッション感があります。長時間の歩行や立ち仕事でも疲れにくく、安定感重視の構造です。舗装された道よりも、やや凹凸のある路面でその強みを発揮します。
総じて、996は“スマートな走り心地”、574は“包み込むような安心感”といった違いです。どちらが良いというよりも、使用シーンや好みに合わせて選ぶのがポイントです。
サイズ感の違い:996は細め、574はゆったり
ニューバランスを選ぶうえでよく話題になるのが「サイズ感」。この2モデルも例外ではありません。
996はラストが細めに作られているため、標準的な足幅の人でもややタイトに感じることがあります。特に甲が高い、もしくは足幅が広い人は、通常より0.5cm大きめを選ぶとフィットしやすいという声が多いです。
574は逆に、幅に余裕のある設計。D(標準)や2E(広め)など、複数のウィズ展開があるモデルも多く、幅広足の人でも安心して選べます。甲の高さや指先まわりにも空間があり、ゆったりとした履き心地を好む人に向いています。
また、つま先が丸いため、指先にストレスがかかりにくく、厚めの靴下を履く冬場でも快適に過ごせます。
試着してみると「996はぴったり感が強い」「574はリラックスして履ける」という違いをはっきり感じるはずです。
素材と作りの違い:質感の996、耐久の574
素材面でも、実は小さな違いが多く見られます。
996はスエードやメッシュを組み合わせた上質な素材使いが多く、軽さと高級感のバランスを取っています。特にグレーやネイビーなどの定番カラーでは、毛足の短いスエードが採用されており、光の当たり方で表情が変わるのも魅力です。
574はスエード×ナイロンメッシュなど、ややタフな素材使いが特徴。アウトドアを意識した仕様なので、多少の汚れや雨にも強く、日常使いに適しています。素材感がマットでラフに見えるぶん、デニムやカーゴパンツとの相性が抜群です。
耐久性・安定性を重視するなら574、見た目の洗練度を重視するなら996という住み分けが自然にできます。
価格の違い:574はエントリー、996は上位ライン
価格帯にも明確な差があります。
一般的に574は1万円台前半で購入できることが多く、ニューバランス初心者にも手が届きやすい価格設定。一方996は1万5千円〜1万8千円ほどと、やや高めです。
ただし、996はクッションや素材、縫製の精度などにこだわっており、単純な“高い・安い”ではなく「仕立ての違い」と捉えるのが正確でしょう。
また、574には「ML574」「WS574」など幅広い派生モデルがあり、限定カラーやコラボ版も豊富。996にも「CM996」「M996」など複数バリエーションがあり、生産国によって価格差があります。アジア製は手頃、USA製は2万円台後半といった形で階層化されているのも特徴です。
どちらを選ぶ?目的別おすすめの考え方
どちらを選ぶべきか迷う人に向けて、簡単な指針をまとめると次のようになります。
- スマートで細身のデザインが好き → 996
- ゆったりした履き心地を求める → 574
- 長時間歩く・旅行などに使いたい → 574
- 通勤や街歩きなどで軽快に履きたい → 996
- 幅広足・甲高 → 574
- 細め・標準足幅 → 996
また、ファッション的な観点から見ると、996は上品な印象が出しやすく、きれいめコーデやオフィスカジュアルにも使いやすい一足。574はボリューム感があり、カジュアル・ストリート寄りの服装とバランスが取りやすい傾向です。
ニューバランス996とニューバランス574の違いを理解して、自分に合った一足を
ニューバランス996とニューバランス574は、見た目こそ似ていても、その性格はまるで兄弟のように異なります。996は細身で軽快、574は丸みがあり安定感重視。履き心地の好み、使うシーン、足の形によって、どちらが“正解”かは変わります。
もし迷ったら、まずは574でニューバランスらしい履き心地を体感し、次に996でフィット感の違いを楽しむのがおすすめです。どちらも長く愛されてきた理由が、実際に履いてみるときっと分かるはず。
そして最後にもう一度――ニューバランス996とニューバランス574の違いは、「デザイン」「履き心地」「サイズ感」。自分のライフスタイルに合った一足を選んで、毎日の足元をもっと快適にしてみましょう。


