ニューバランスのスニーカーの中でも、長い歴史を誇る名作として知られるのが「ニューバランス990シリーズ」です。
1982年に初代モデルが登場して以来、常に「最高の履き心地」と「クラフトマンシップ」を追求し続けてきたこのシリーズは、単なるランニングシューズを超えて、ファッションシーンでも不動の地位を築いてきました。
ここでは、ニューバランス990シリーズの歴代モデルの進化、履き心地の違い、そして今選ぶならどのモデルが最適かを、わかりやすく紹介します。
ニューバランス990シリーズの誕生と背景
ニューバランス990シリーズが誕生したのは1982年。当時のランニングシューズとしては異例の「100ドル」という高価格で発売され、「1000点満点中990点の完成度」というキャッチコピーが話題を呼びました。
このモデルは、アメリカ・ボストンでの国内生産にこだわり、素材や縫製、フィット感などあらゆる面で徹底的に品質を追求。価格よりも性能と信頼を重視するニューバランスの哲学が凝縮されていました。
ニューバランス990は当初、トップアスリートのための高性能ランニングシューズとして開発されましたが、その快適さやデザイン性から一般ユーザーにも人気が広がり、やがてファッションの定番へと進化していきます。
進化の軌跡:v1からv6までの変遷
ニューバランス990シリーズは、40年以上の歴史の中でたびたびアップデートされてきました。ここでは、各世代の特徴をざっと振り返ってみましょう。
ニューバランス990v1(1982年)
初代990は、グレーのスエードとメッシュを組み合わせた上品なデザインが印象的でした。
軽量でクッション性の高いミッドソール、安定感のあるラスト(靴型)など、当時の技術の粋を集めたモデルとして注目されました。
クラシックながらも完成度の高いデザインは、現在でも復刻版が人気を集めています。
ニューバランス990v2(1998年)
16年の時を経て登場したv2は、「ABZORB(アブゾーブ)」という衝撃吸収素材を採用。
より柔らかく、着地の衝撃をしっかりと吸収する履き心地へと進化しました。
デザインもより洗練され、重厚感のあるシルエットに。スポーティさと上品さが共存するモデルとして評価されています。
ニューバランス990v3(2012年)
シリーズ30周年を記念して登場したv3は、メッシュ素材の比率が増え、通気性と軽量性が向上。
ランニングにも日常使いにも適したバランスの良いモデルで、ファッションシーンにも多く登場しました。
この頃から「ニューバランス990=ライフスタイルスニーカー」というイメージが定着していきます。
ニューバランス990v4(2016年)
“ダッドシューズ”ブームの中で登場したv4は、クラシックな雰囲気を残しつつ、さらに履きやすくアップデート。
反射素材や大きめのNロゴがアクセントになり、街履きでも存在感を放つデザインが人気を呼びました。
スエードとメッシュの組み合わせによる質感の良さ、安定したソール構造も評価が高い一足です。
ニューバランス990v5(2019年)
v5ではTPUパワーストラップを搭載し、よりホールド感のある履き心地を実現。
360度反射素材の採用で夜間の視認性も向上し、機能性とデザインの両立が図られています。
クラシックさを残しながらも、洗練されたモダンな印象を持つモデルです。
ニューバランス990v6(2022年)
最新モデルとなるv6は、ニューバランスのアメリカ製ラインを監修するTeddy Santisのもとで開発されました。
「FuelCellフォーム」と「ENCAPミッドソール」を組み合わせた最新構造により、反発性とクッション性を大幅に向上。
さらに、Nロゴをメッシュ上に配置するなど、デザイン面でも大きな刷新が行われています。
過去の伝統を受け継ぎながらも、現代的な履き心地を実現した、まさに“集大成”的な一足です。
履き心地とテクノロジーの進化
ニューバランス990シリーズの最大の魅力は、何と言ってもその履き心地の良さです。
モデルごとに改良が加えられ、進化のたびに快適性と安定性が高まっています。
- ABZORBクッション(v2)
衝撃吸収性を高め、長時間歩いても疲れにくい設計。 - ENCAPミッドソール(v3以降)
ポリウレタン素材で包み込むことで、反発性と安定性を両立。 - FuelCellフォーム(v6)
ランニングシューズにも使われる最新フォームで、弾むような履き心地を実現。
また、ニューバランス990シリーズは全モデルで幅広(Wide)サイズの展開があり、足の形に合わせたフィット感を選べるのも大きな特徴です。
この「履く人を選ばない設計」が、幅広い層に支持される理由の一つとなっています。
ファッションとしての990 ― 「Made in USA」の象徴
ニューバランス990シリーズは単なるスニーカーではなく、アメリカ製スニーカーの象徴でもあります。
「Made in USA」の刻印は、クラフトマンシップと品質への誇りを表しています。
グレーを基調とした上品な配色、ミニマルで普遍的なデザインは、どんなファッションにも馴染みます。
ジーンズやチノパンはもちろん、スラックスやスカートにも合わせやすく、“大人の足元”を演出する一足として人気です。
また、近年ではファッションブランドとのコラボレーションも盛んに行われており、Aimé Leon Dore や Stüssy との別注モデルが話題になりました。
ストリートカルチャーとクラシックデザインが融合したことで、ニューバランス990は再び若い世代の注目を集めています。
各モデルの選び方とおすすめポイント
ニューバランス990シリーズはどのモデルも完成度が高く、どれを選んでも満足度は高いですが、目的や好みによって最適なモデルは異なります。
- クラシックな見た目を重視するなら
→ ニューバランス990v1・ニューバランス990v2・ニューバランス990v4。グレーのスエードが映える定番デザイン。 - 軽さと履きやすさを求めるなら
→ ニューバランス990v3・ニューバランス990v5。通気性が高く、長時間歩いても快適。 - 最新のクッション性と安定感を求めるなら
→ ニューバランス990v6。FuelCellフォーム搭載で、シリーズ最高の反発力を誇る。
実際のユーザーレビューでも、「v6は最も快適」「v4はバランスが良い」「v5はルックスが一番好き」など、それぞれに根強いファンがいます。
自分のライフスタイルに合ったモデルを選ぶことで、ニューバランス990シリーズの魅力を最大限に感じられるでしょう。
ニューバランス990シリーズの魅力を改めて
1982年に登場した初代990から、2022年のv6まで、40年以上にわたって進化を続けてきたニューバランス990シリーズ。
技術革新を重ねながらも、「快適さ」と「誠実なものづくり」という軸は一切ぶれていません。
クラシックとモダン、機能とデザイン、ランニングとファッション。
そのすべてを両立させてきた990は、まさにニューバランスの哲学を象徴する存在です。
履き心地を求める人にも、スタイルを重視する人にも。
ニューバランス990シリーズは、今なお「最高の一足」と呼ぶにふさわしいスニーカーといえるでしょう。


