ニューバランスのスニーカーを選ぶときに、「373と996の違いって何?」と迷う人は多い。どちらも定番の人気モデルで、見た目もよく似ているからこそ、選び分けのポイントがわかりにくい。でも実際には、デザインや履き心地、機能面にしっかりとした違いがある。この記事では、その差をできるだけわかりやすく、体感に近い言葉で解説していく。
ニューバランス373とニューバランス996、それぞれの立ち位置
まずは両モデルの基本的な位置づけを押さえておこう。
「373」はニューバランスの中でもエントリーモデルにあたるシリーズ。カジュアルで合わせやすく、価格も控えめ。普段使いのスニーカーとして手に取りやすい存在だ。素材やクッション構造をシンプルにすることでコストを抑えつつ、デザインやカラー展開の豊富さで人気を集めている。
一方で「996」は、クラシックランニングシューズの流れをくむ定番モデル。もともとは1988年に誕生した名作で、上位モデルの流れを引き継ぎながらも日常に馴染むデザインと機能性を両立している。ニューバランスの「99X」シリーズの一角として、より上質で履き心地の良い仕様が特徴だ。
つまり、373は“親しみやすく手軽なモデル”、996は“クラシックで上質な定番モデル”という位置づけになる。
見た目の違い:デザインとシルエットの印象差
ぱっと見ではよく似ている2足だが、細かく見るとデザインの方向性が異なる。
996は、全体的にシャープでスリムな印象。つま先がやや長く見えるシルエットで、足元をすっきり見せたい人に向いている。アッパーはスエードとメッシュのコンビ素材が多く、ベーシックなグレーやネイビーなど、落ち着いたカラー展開が中心だ。街履きにもジャケットスタイルにもなじむ「きれいめ」な雰囲気がある。
一方の373は、より丸みを帯びたフォルムで、カジュアルな印象が強い。スニーカーらしいボリューム感があり、デニムやスウェットなどラフな服装に合わせやすい。カラー展開もポップで明るい色が多く、日常使いに取り入れやすいモデルだ。
ソールデザインにも違いがある。373のアウトソールは溝が深く、グリップ力を意識した構造。996はよりフラットで、都会的な印象のソールパターンになっている。見た目のバランスだけでなく、使用するシーンによっても好みが分かれるポイントだ。
履き心地の違い:幅・クッション・フィット感を比較
デザイン以上に違いが出るのが、履き心地の部分。
まず足幅(ワイズ)に注目すると、996は比較的細身に作られている。足にしっかりとフィットするホールド感があり、ランニングシューズの系譜らしい安定感を感じられる。一方で、373は少しゆったりめのつくり。幅広や甲高の人でも締め付け感が少なく、履きやすいと感じる人が多い。
ミッドソールの構造も異なる。996にはニューバランス独自の「C-CAP」や「ENCAP」などのクッション素材が採用されており、踏み込みの衝撃を和らげてくれる。足裏全体が自然に沈み込むような感覚で、長時間歩いても疲れにくいという声が多い。
対して373は、軽量なEVA素材を使ったシンプルなミッドソール構造。柔らかさは感じるが、996ほどの反発性や安定性はない。その分軽く、気軽に履けるメリットがある。街歩きや通勤・通学など、日常シーン中心なら十分な性能だ。
ヒール部分の安定感も996のほうが上。ヒールカップの形状がしっかりしており、足首まわりを固定してくれる。373は軽快さ重視で、ソフトな履き心地を求める人に合う。
機能性の違い:ソール構造と素材のクオリティ
ニューバランスの魅力は、見た目以上に細部の作り込みにある。373と996では、採用されている技術や素材のグレードが異なる。
996に使われている「C-CAP」や「ENCAP」は、ニューバランスの代表的なクッショニングシステム。圧縮成型されたEVA素材がミッドソールに内蔵されており、弾力と安定性を両立している。特にENCAPは、外側にポリウレタンカプセルを組み合わせることで、へたりにくく長く履ける構造になっている。
373のミッドソールは、軽量EVA単層構造。シンプルだが、十分なクッション性を持ち、タウンユースでは快適。機能性という点では996に一歩譲るが、その分価格が抑えられている点が魅力だ。
また素材面でも違いがある。996はスエードやヌバックなど質感の高い素材を使い、仕上げも上品。373はスエード風の人工皮革や合成素材を組み合わせることが多く、軽量で扱いやすい。触ったときの質感や見た目の高級感では996に軍配が上がる。
価格の違い:コスパ重視か、品質重視か
価格帯で比較すると、373はニューバランスの中でも手に取りやすいモデル。1万円を切ることも多く、初めてニューバランスを試す人にも人気だ。対して996は、1万5,000円前後から2万円台前半が主流。素材や製造国によってはさらに高額なラインもある。
ただ、価格差=単純な優劣ではない。373は軽快でカジュアル、996は上質で安定感重視。どちらを選ぶかは「使うシーン」と「求める履き心地」によって決まる。たとえば、通勤や休日の街歩きには996、ちょっとしたお出かけや普段履きには373が合う。
「毎日履くからこそ、履き心地を重視したい」という人には996が向いているし、「トレンドに合わせて気軽に履き替えたい」という人には373がぴったりだ。
どっちが自分に合う?選び方のヒント
選ぶときに意識したいのは、足の形と使用シーン。
足幅が広め・甲が高いタイプなら、373の方がストレスが少ない。ゆったりとしたつくりなので、長時間履いても圧迫感が少ない。反対に、足幅が細めでフィット感を重視するなら996を選ぶとよい。ホールド感が高く、歩くときの安定感も優れている。
デザインの好みも分かれやすいポイントだ。カジュアルで親しみやすい雰囲気を求めるなら373。上品で大人っぽく見せたいなら996。特に996のグレーやネイビーは、ビジカジスタイルにも合わせやすい万能カラーだ。
また、アウトソールの違いにも注目。373は溝が深く、雨の日やアウトドアでもグリップが効きやすい。996はフラットで、舗装された道を軽快に歩けるタイプ。歩く場所や環境によっても選び方が変わってくる。
実際の使用感と口コミで見るリアルな違い
レビューや口コミを見ても、両者の特徴がよく表れている。
373を履いている人からは「軽くて歩きやすい」「普段使いにちょうどいい」という声が多い。長時間歩いても疲れにくく、ちょっとしたお出かけにも使いやすいという意見が目立つ。一方で、「クッション性はやや控えめ」「長距離を歩くと少し足裏が疲れる」という声も。
996のレビューでは、「ホールド感が心地いい」「履き込むほど足になじむ」「クッションがしっかりしていて疲れにくい」といった感想が多い。特に立ち仕事や通勤・旅行など、長時間歩く場面での評価が高い。
つまり、「軽さと気軽さなら373」「安定感と快適さなら996」と覚えておくとわかりやすい。
ニューバランス373とニューバランス996の違いまとめ
最後に、それぞれの特徴を整理してみよう。
373は、軽くてゆったり、カジュアルに履ける万能スニーカー。価格も控えめで、ニューバランスを初めて選ぶ人や、気軽に履ける1足を探している人にぴったりだ。
996は、上質で履き心地がよく、足にしっかりフィットする定番モデル。少し価格は上がるが、デザイン・素材・機能のバランスが取れており、長く愛用できる。
「どちらが優れているか」ではなく、「どちらが自分に合っているか」。これが選び方のポイントだ。街歩き・通勤・カジュアルスタイルなど、あなたのライフスタイルに合わせて選べば、ニューバランスの魅力をより深く楽しめるだろう。
ニューバランス373とニューバランス996の違い、最後にもう一度
ニューバランス373と996の違いは、見た目のわずかな差以上に、履き心地や機能性の方向性にある。軽やかでラフに履ける373、上質で安定感のある996。それぞれの個性を理解して選ぶことで、あなたの足元はより快適に、そして自分らしく整うはずだ。


