スニーカー好きなら一度は耳にするブランド「ニューバランス」。その履き心地やデザインの魅力はもちろんですが、「本社はどこにあるの?」「どんな歴史があるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ニューバランスの本社の場所、ブランド誕生のストーリー、そして最新のオフィス情報までをまとめて紹介します。
ニューバランス本社はどこにある?
ニューバランスの本社は、アメリカ・マサチューセッツ州ボストン市のブライトン地区にあります。
正式な住所は「100 Guest Street, Boston, Massachusetts, 02135」。2015年に現在の地に移転し、ボストン・ランディング(Boston Landing)と呼ばれる新しいエリアの一角に本社キャンパスを構えています。
この新本社は「最先端のワークプレイス」として設計されており、ガラス張りの外観と開放的な室内が印象的です。中には社員用のカフェテリア、ジム、ショールーム、室内ウォーキングトラックなどが備わり、まさに“動く人のためのブランド”を象徴する環境になっています。
さらに、このキャンパスは公共交通のアクセスも良く、ボストン市中心部から電車で10分ほど。社員だけでなく、地域住民にも開かれたスペースとして設計されており、近隣にはスポーツアリーナやショップも並びます。
創業は1906年、原点は「足のバランスを整える器具」から
ニューバランスの歴史は、今から100年以上前の1906年にさかのぼります。創業者はイギリス出身のウィリアム・J・ライリー。彼は当時、足の疲れに悩む労働者向けに「アーチサポート」と呼ばれるインソールを開発しました。
その製品が「新しいバランス(New Balance)」をもたらすことから、ブランド名の由来になったといわれています。
ライリーは鶏の足の3本の爪のバランスからインスピレーションを受け、「足が本来持つ安定性」をシューズ作りに活かしました。この「バランス」という概念こそ、ニューバランスが今日まで大切にしてきた核心的な価値観です。
1930年代には販売員アーサー・ホールが加わり、後に彼の娘エレノアと夫ポール・キッド夫妻へと事業が引き継がれました。小さな家族経営の会社が、のちに世界的なブランドへと成長する基盤がここで築かれたのです。
世界初の「ワイズ展開」を実現したランニングシューズ「Trackster」
1960年代、ニューバランスは本格的なランニングシューズメーカーへと進化します。
1961年に登場した「Trackster(トラックスター)」は、世界で初めて複数のワイズ(足幅)を用意したランニングシューズとして話題になりました。
当時のスポーツシューズはサイズこそ選べても、幅までは考慮されていませんでした。
しかしニューバランスは「すべての足にフィットする靴を作る」という信念のもと、細幅から幅広までの展開を行い、多くのアスリートや医療関係者から高い評価を得ます。
このワイズ展開の思想は、現代のニューバランスにも受け継がれています。
D、2E、4Eといった豊富な幅の選択肢があるのは、このブランドならではのこだわりです。
ジム・デービスの買収と急成長の70年代
現在のニューバランスの姿を作り上げたのが、1972年に会社を買収したジム・デービス氏です。
彼はボストンマラソン開催日のわずか6人の社員しかいない小さな会社を引き継ぎ、ランニングブームを追い風に一気にブランドを拡大しました。
1976年にはモデル「320」がランニング専門誌で「ベストランニングシューズ」に選ばれ、世界的に注目を集めます。
この頃からニューバランスは、性能と品質の両立を象徴する存在としてランナーの支持を獲得していきました。
さらに1980年代以降は、ライフスタイルシューズとしても人気が高まり、「990」「574」「996」などの名作モデルが次々と誕生。スポーツだけでなく、街中でも履けるファッションスニーカーとしての地位を確立していきます。
「メイド・イン・USA」と「メイド・イン・UK」へのこだわり
グローバルブランドに成長しても、ニューバランスは他社と異なるポリシーを守り続けています。
それが「国内生産へのこだわり」です。
多くのブランドがコストを抑えるために生産拠点を海外へ移す中、ニューバランスはアメリカ国内やイギリス国内での製造を継続しています。
「Made in USA」や「Made in UK」と刻まれたモデルは、クラフトマンシップの象徴であり、限られた工場で熟練職人の手によって作られています。
この生産哲学は、本社のあるボストン・ブライトンの文化や精神と深く結びついています。
地域との共生や雇用創出を重視する企業姿勢が、ブランドの信頼をより一層高めています。
ボストン・ブライトン本社の最新キャンパス
2015年に完成したボストン・ランディングの本社キャンパスは、ニューバランスの「今」を象徴する空間です。
自然光が差し込むオフィス、ショールーム、研究開発施設、社員用のトレーニングスペースなどが一体となり、まさにブランドの“動的な文化”を体現しています。
このキャンパスは単なるオフィスではなく、地域コミュニティとの関係を重視する設計になっており、近隣にはアリーナ、ホテル、ショップ、レストランが立ち並びます。
また、最新のサステナビリティ基準を満たす設計が施され、環境配慮型企業としての側面も強く打ち出されています。
ニューバランス本社が象徴するブランドの哲学
ニューバランス本社を語るうえで外せないのが、「人を中心にしたブランド哲学」です。
創業当初から掲げる“Fit(フィット)”へのこだわりは、製品づくりだけでなく、働く環境や地域社会への姿勢にも現れています。
「人が心地よく動ける環境をつくる」という考え方は、オフィスデザインから社員支援制度、地域との協働まで一貫しています。
たとえば社内には従業員用のスポーツ施設があり、従業員が健康的に働けるよう配慮されています。
ブランド名の“New Balance=新しいバランス”は、仕事と生活、個人と社会の調和を意味しているともいえるでしょう。
日本市場での展開と今後の展望
日本においてもニューバランスは高い人気を誇り、ランニングシューズからライフスタイルスニーカーまで幅広く展開しています。
特に「990」「996」「574」などの定番モデルは、街履きとして男女問わず支持されています。
また、日本限定カラーや国内コラボモデルなど、独自の展開も多く見られます。
今後は、本社を中心としたグローバル開発体制のもと、より環境配慮型の素材やデジタル製造技術の導入が進むとみられます。
ブランドの核にある「フィット」や「クラフトマンシップ」を守りつつ、次の100年へ向けて新しいバランスを探し続ける姿勢は変わりません。
まとめ:ニューバランス本社の場所とブランドの未来
ニューバランス本社は、アメリカ・ボストン市ブライトン地区のボストン・ランディングにあります。
1906年の創業以来、「バランス」「フィット」「クラフトマンシップ」を軸に歩んできたブランドの集大成が、この本社キャンパスに凝縮されています。
一人ひとりの足に合う靴を追求し続けた結果、世界中の人々から愛されるブランドへと成長したニューバランス。
その原点と未来を象徴するのが、ボストンの地に立つこの本社なのです。


