ナイキの中でもひときわ異彩を放つ「スペースヒッピー（Space Hippie）」。
このシリーズは“ごみから生まれたスニーカー”とも呼ばれ、リサイクル素材を使ったサステナブルなモデルとして注目を集めています。
では、その履き心地は実際どうなのか？ 軽さやクッション性、通気性など、リアルな感覚をもとに徹底的に掘り下げていきます。
スペースヒッピーとは？ナイキが挑む“ごみからの再生”プロジェクト
スペースヒッピーは、ナイキが掲げる「Move to Zero」構想の中で生まれた実験的なシリーズ。
火星のような“資源の限られた環境で靴を作るなら？”という発想からスタートしています。
使用されている素材の多くは、工場の端材、古着、ペットボトルなどを再利用したもの。
たとえばアッパーには「Space Waste Yarn」と呼ばれるリサイクル糸を採用し、85〜90％が再生素材で構成されています。
ミッドソールには、ナイキの高反発フォーム「ZoomX」の製造過程で出たスクラップを再利用。
さらにアウトソールには、使い終わったスニーカーを粉砕して再利用する「Nike Grind」が混ざった「Crater Foam（クレーター・フォーム）」が採用されています。
つまり、見た目の未来感だけでなく、構造のすべてに“再生”の思想が息づいているモデルなのです。
軽さを感じる理由――廃材とは思えない快適な履き心地
まず一番の特徴は「軽さ」です。
箱から取り出した瞬間、そして足を入れた瞬間、その軽量感に驚く人が多いはず。
理由は、アッパーがニット状で非常に薄く、通気性が高いこと。
足全体を柔らかく包み込みつつも、締め付け感が少なく、スリッポンに近い軽快さを感じます。
また、ミッドソールに使われている「Crater Foam」が軽量かつ反発性に優れているため、歩くたびにふわっとした浮遊感があります。
硬すぎず、柔らかすぎず、ちょうどいい“弾み感”がある。
長時間歩いても疲れにくいという声が多いのも、この絶妙なバランスによるものです。
ナイキの中でも特に軽量なシリーズに位置づけられており、普段履き・通勤・街歩きなど、日常生活での快適性は非常に高いレベルです。
アッパーのフィット感と通気性――包み込まれるような軽い履き心地
アッパーに使われている「Space Waste Yarn」は、見た目はざっくりした編み込み構造ですが、肌触りは柔らかく、足に優しくフィットします。
素材そのものが伸縮性を持ち、靴下のように足の形に沿ってくれるため、履き始めの“慣らし期間”もほとんど必要ありません。
また、通気性が非常に高く、蒸れにくいのも大きな特徴。
夏場でも快適に履けるスニーカーで、素足で履いても不快感が少ないほどです。
ただし、パッドが少ない分、足首周りのホールド感は控えめ。
がっちり固定される感じを好む人よりも、軽やかに歩きたい人向けの設計といえます。
ミッドソールとクッション性――廃材フォームでも侮れない安定感
スペースヒッピーの履き心地を語るうえで外せないのが、ミッドソールの「Crater Foam」です。
これはZoomXフォームのスクラップを再構成して作られた素材で、見た目にも独特な“まだら模様”が特徴。
このフォームは、軽量でありながらも、着地時にしっかり衝撃を吸収してくれます。
歩いたときの“コツコツ感”がなく、地面を蹴るときの反発力も感じられる。
通勤や買い物などの街歩きでは、かなり快適なクッション性です。
ランニングシューズのような弾む感覚ではなく、「自然体で長時間歩ける柔らかさ」という方向性。
軽さを損なわずに安定感も確保しているのは、ナイキならではの技術力を感じる部分です。
サイズ感とフィット性――幅広の人は注意が必要かも
履き心地全体は高評価が多いものの、サイズ感については意見が分かれます。
ナイキ特有のややタイトな設計がそのまま反映されており、特に幅広の足の人には少し窮屈に感じる可能性があります。
通常のナイキスニーカーと同じサイズを選ぶのが基本ですが、甲高・幅広の人はハーフサイズアップを検討しても良いでしょう。
一方で、細身の足には心地よくフィットし、軽快な履き心地を楽しめます。
また、足を入れるときに少しコツが必要です。
アッパーが一体型ニット構造のため、最初は足をぐっと押し込むように履く感覚になりますが、慣れると伸縮してスムーズになります。
耐久性と使用シーン――日常使いなら十分すぎるパフォーマンス
サステナブル素材というと「耐久性が心配」と思う人もいるかもしれません。
しかし、実際に履いてみると意外なほどしっかりしています。
アウトソールにはNike Grindの再利用ラバーが混ざっており、滑りにくくグリップ力も十分。
街歩きや立ち仕事など、日常的な使用には全く問題ありません。
ただし、アウトドアやハードな運動にはやや不向き。
アッパーが柔らかく、保護性が高くないため、荒れた路面や雨天での使用では注意が必要です。
日常生活・移動・軽い運動に特化したモデルと考えるのがベストです。
スペースヒッピーがもたらす「サステナブル×快適性」の新しい基準
スペースヒッピーの魅力は、ただの“エコスニーカー”にとどまりません。
素材を再利用しながらも、デザイン・履き心地・軽量性を高い次元で両立させている点にあります。
リサイクル糸で作られたアッパーは柔らかく、足に自然に馴染む。
再生フォームを使ったソールは軽く、それでいて程よい弾力を持つ。
こうした一つ一つの要素が、“サステナブル＝我慢するもの”というイメージを覆しています。
むしろ、軽くて快適、見た目もスタイリッシュ。
それが「スペースヒッピーの履き心地」の最大の価値といえるでしょう。
まとめ：ナイキスペースヒッピーの履き心地は「軽くて快適、そして新しい」
ナイキスペースヒッピーの履き心地は、まさに“サステナブルが生む快適さ”の象徴。
アッパーの柔らかさと通気性、ソールの軽さと反発力、そして何よりも足全体を包む心地よさ。
幅広の人はサイズ調整が必要かもしれませんが、軽快で疲れにくい履き心地を求める人にはぴったりです。
街歩き、通勤、ちょっとした外出など、日常のどんなシーンでも快適に使えます。
“エコ＝性能を犠牲にする”という時代はもう終わり。
ナイキスペースヒッピーは、その考えを覆す一足です。
廃材から生まれたとは思えないほど軽く、履くたびに心地よさを実感できる――それが、このスニーカーの本質です。
