ランニングを始めようとすると、「トレーニングシューズとランニングシューズって何が違うの？」と疑問に思う方が多いと思います。見た目は似ていても、実は構造も目的もまったく違うんです。この記事では、両者の違いや選び方、シーン別のおすすめをわかりやすく解説します。
ランニングシューズとは？「走る」ために作られた一足
ランニングシューズは、その名の通り「走ること」に特化したシューズ。ジョギングからマラソンまで、前方への動きをスムーズにするための構造になっています。
最大の特徴は、前後の動きに最適化されたソール構造。着地の衝撃を吸収し、蹴り出しを助けるために、ミッドソールに厚みがあり、かかとが少し高く設計されています。これを「ヒールドロップ」と呼び、ランニングシューズでは一般的に10mm前後とやや高めです。
さらに、軽量でクッション性の高い素材を使うことで、長距離でも脚への負担を減らし、効率的なランニングフォームをサポートしてくれます。長時間走っても疲れにくく、安定して前に進めるのが特徴です。
トレーニングシューズとは？「多方向の動き」に強い万能タイプ
一方、トレーニングシューズは「走る」だけでなく、さまざまな方向への動きに対応できるように設計されています。ジムでの筋トレ、HIIT（高強度インターバルトレーニング）、サーキット、ジャンプ、横移動など、多彩な動作をサポートします。
ソールはランニングシューズに比べてフラットで広いのが特徴。横方向の動きや重心移動でも安定しやすく、滑りにくいグリップ構造になっています。ドロップは小さめ（0〜5mm程度）で、地面をしっかり捉えられるため、スクワットやデッドリフトなど「踏ん張り」が重要なトレーニングに最適です。
素材も耐久性重視で、クッションよりも安定性・支えを優先。見た目が似ていても、ランニング用とは設計思想がまったく異なります。
トレーニングシューズとランニングシューズの構造的な違い
両者の違いを簡単にまとめると、次のようになります。
- ソール構造：ランニングシューズは前方への推進を助けるために厚みがあり、転がるような「ロッカー構造」。トレーニングシューズはフラットで安定性重視。
- クッション性：ランニングシューズは衝撃吸収重視。トレーニングシューズはやや硬めで、地面を感じやすい。
- 重量：ランニングシューズは軽量、トレーニングシューズはやや重め。
- 耐久性：トレーニングシューズは横方向の負荷や摩擦に強く、ジム床などでも長持ちしやすい。
- 安定性：トレーニングシューズのほうが横ブレしにくく、足首の安定感が高い。
このように、設計段階から目的が明確に分かれており、使い分けることで怪我の予防やパフォーマンス向上につながります。
どちらを選ぶべき？用途別のおすすめ
ランニング・ジョギング中心の人
週に数回ランニングをする、マラソンや長距離走がメインという方は、ランニングシューズ一択です。
クッション性と軽さが重要なので、反発性の高いモデルや疲れにくいフォーム素材を選びましょう。ナイキやアシックス、ニューバランスなど各社から豊富にラインアップされています。
ジムトレーニング中心の人
筋トレやHIIT、サーキットトレーニングなどがメインなら、**トレーニングシューズ**がおすすめです。
ソールの安定感と横方向へのグリップ力が重要。重りを扱う動作でもブレにくく、スクワットなどで力をしっかり伝えられます。
両方やる人（ラン＋ジム）
どちらも定期的に行うなら、使い分けるのが理想です。
走る日はランニングシューズ、ジムではトレーニングシューズ。これが最も快適で安全な組み合わせです。
ただし、「1足で済ませたい」という人は、比較的バランス型のトレーニングシューズを選ぶとよいでしょう。
ただし長距離ランには不向きなので、走行距離が増える場合はランニングシューズ専用を追加するのがベターです。
間違った選び方をするとどうなる？
間違った靴を選ぶと、体への負担が大きくなります。
- ランニングシューズで筋トレをすると、ソールが柔らかすぎてバランスを崩しやすく、足首や膝を痛めることがあります。
- トレーニングシューズで長距離を走ると、クッション性が足りず、脚への衝撃がダイレクトに伝わり疲労が蓄積します。
一見「同じ運動靴」で代用できそうに見えても、設計の方向性が違うため、使い分けはとても大事です。
どちらかをメインに使い、もう一方を補助として考えると失敗しにくいでしょう。
シューズ選びのチェックポイント
- 運動内容を整理する
走る時間が多いか、筋トレ中心かを明確にします。 - ソールの形状を確認する
かかととつま先の高さ差（ドロップ）が大きいほどランニングシューズ向き。フラットに近いほどトレーニングシューズ向き。 - 足の安定感をチェック
履いたときにぐらつかないか、横方向に動いたときのフィット感を確かめましょう。 - 重量と通気性も意識
軽さを求めるならランニングシューズ、安定性重視ならトレーニングシューズ。 - 見た目だけで選ばない
デザインよりも、自分の運動習慣に合っているかを優先するのが大切です。
シューズの寿命と買い替えタイミング
ランニングシューズは、一般的に約500〜800kmが寿命の目安。ソールのクッションがへたってきたり、アウトソールのグリップが摩耗してきたら交換時期です。
トレーニングシューズも、ソールの平らな部分が削れたり、安定感が落ちてきたら買い替えを検討しましょう。
特に重いウェイトを扱う人は、少しの劣化でもパフォーマンスや安全性に関わるため、早めのチェックが重要です。
まとめ：ランニングシューズとトレーニングシューズの違いを理解して使い分けよう
「ランニングシューズ」と「トレーニングシューズ」は似て非なる存在。
前者は「走る動き」に、後者は「多方向の動きや安定性」に特化しています。
ランナーはランニングシューズ、ジムユーザーはトレーニングシューズ、そして両方を行う人はシーン別で使い分けるのがベストです。
正しいシューズを選ぶことで、疲労軽減や怪我の予防、そしてトレーニング効果の最大化につながります。
目的に合わせて、自分の足と動きにぴったりの一足を見つけてください。
