「アウトドア専用のトレッキングシューズを履いているから、雪の日も安心!」そう思って外に出た瞬間、ツルッと滑ってヒヤッとした経験はありませんか?実は、登山靴なら雪でも滑らないというのは大きな誤解なんです。
この記事では、トレッキングシューズが雪道で滑る意外な理由から、今すぐできる転倒対策、そして本当に滑らない冬靴の選び方まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
なぜ最強のはずのトレッキングシューズが雪道で滑るのか
「あんなにゴツゴツしたソール(靴底)なのに、なぜ滑るの?」と疑問に思うのは当然ですよね。実は、トレッキングシューズの設計そのものが、雪道に特化していないケースが多いからです。
ラバーソールの「硬化」が最大の原因
一般的なトレッキングシューズのソールは、岩場や泥道を歩くために適度な硬さを持っています。しかし、気温が氷点下近くなると、このゴムがさらにカチカチに硬くなってしまうんです。
硬くなったソールは、氷の表面に密着することができません。スタッドレスタイヤが柔らかいゴムでできているのと同じ理屈で、靴も柔らかさがなければ氷の上でグリップを発揮できないのです。
雪が溝に詰まる「目詰まり」現象
トレッキングシューズの深い溝は、泥を掻き出すのには向いていますが、粘り気のある雪には弱いことがあります。溝に雪がびっしり詰まってしまうと、靴底が真っ平らな状態になり、まるでスキー板を履いているかのように滑ってしまいます。
氷の表面に浮く「水膜」の罠
雪や氷の上を歩くと、靴の圧力や体温によって、表面の氷がごくわずかに溶けます。このとき発生する薄い「水膜」が、オイルのような役割を果たして足を滑らせます。この水膜をいかに除去するか、あるいは切り裂くかが、滑らないための鍵となります。
手持ちの靴を雪道仕様に!おすすめの滑り止め対策
「雪のためだけに新しい靴を買うのはちょっと……」という方も多いはず。そんな時は、今持っているトレッキングシューズに後付けできる「滑り止めギア」を活用しましょう。シーンに合わせて選ぶのがポイントです。
街歩きや通勤には「簡易滑り止め」
駅までの道のりや、都市部の積雪を歩くなら、ゴムバンドで装着するタイプの簡易滑り止めが便利です。靴用滑り止めのような、つま先とかかとに小さな金属ピンがついたタイプなら、凍結した路面でもしっかり地面を捉えてくれます。軽量なので、建物内に入るときは外してバッグにしまえるのも魅力です。
緩やかな雪道や林道には「チェーンスパイク」
少し本格的な雪道を歩くなら、チェーンスパイクが最強の味方になります。チェーンスパイクは、靴底全体を鎖と小さな爪で覆うタイプです。アイゼンほど重くなく、かつ簡易滑り止めよりも圧倒的なグリップ力があります。登山靴との相性も抜群で、冬の低山ハイクから積雪期のキャンプまで幅広く活躍します。
急な斜面や本格登山には「軽アイゼン」
もし傾斜のある山道を歩く予定があるなら、軽アイゼン 6本爪を検討してください。土踏まずのあたりに鋭い爪が配置されており、雪の斜面にグサッと刺さって体を支えてくれます。ただし、平坦なアスファルトの上では歩きにくく、足首をひねる原因にもなるので、使う場所を選びましょう。
本当に滑らない!冬用トレッキングシューズとスノーブーツの選び方
これから冬用の靴を新調しようと考えているなら、チェックすべきポイントがいくつかあります。単に「見た目が冬っぽい」だけで選ぶと、現場で後悔することになりかねません。
ソールの「素材」に注目する
最近の冬用シューズには、氷の上でも滑らないための特殊な素材が使われています。
代表的なのが「Vibram(ヴィブラム)アークティックグリップ」です。これはマイナス20度でも硬くならない特殊なラバーに、氷を掴むための素材を配合したもので、濡れた氷の上でも驚くほどのグリップ力を発揮します。
また、日本メーカーの技術では「ハイドロストッパー」も有名です。ゴムの中に無数のガラス繊維を垂直に配置しており、それがスパイクのように氷に刺さる仕組みです。
防水性と透湿性は必須
雪道で靴が濡れると、足が冷えて感覚がなくなります。これは転倒リスクを高める大きな要因です。
ゴアテックス トレッキングシューズのように、外からの水は通さず、中の蒸れだけを逃がす素材を選びましょう。足元をドライに保つことが、結果として安定した歩行に繋がります。
保温性能(中綿)の有無
冬専用のモデル(ウィンターブーツやスノーシューズ)には、中綿が入っているものが多いです。ノースフェイス ヌプシブーティなどはその代表格。雪道でのグリップ性能に加えて、サーモライトなどの断熱材が入っているものを選ぶと、長時間の雪上歩行でも快適さが持続します。
雪道で転ばないための「歩き方」の極意
どんなに良い靴を履いていても、歩き方が悪いと滑ります。雪国の人たちが無意識にやっている「滑らない歩き方」をマスターしましょう。
1. ベタ足で歩く(フラットフィッティング)
普段の歩き方のように「かかとから着地してつま先で蹴る」のは、雪道では厳禁です。足裏全体を地面に同時に下ろすイメージで、垂直に足を置いてください。
2. 歩幅を小さくする
歩幅を大きく取ると、片足で立っている時間が長くなり、重心が不安定になります。ペンギンのような小刻みな歩幅(ペンギン歩き)を意識すると、重心が常に足元に集中し、滑っても立て直しやすくなります。
3. 重心をやや前方に置く
後ろに重心がかかると、滑った時に後頭部を強打する危険があります。わずかに前傾姿勢を保ち、もし滑っても前に手をつけるような姿勢で歩くのが安全です。
人気ブランドの雪道対応モデルをチェック
ここでは、雪道での信頼性が高いブランドと、代表的なモデルを紹介します。自分のライフスタイルに合うものを選んでみてください。
メレル(MERRELL)のサーモシリーズ
メレルの冬靴は、前述したアークティックグリップを搭載しているモデルが多く、雪道に非常に強いです。メレル サーモ オーロラなどは、スタイリッシュながら本格的な氷上グリップを誇ります。
コロンビア(Columbia)のサップランド
「札幌」と「ポートランド」から名付けられた、冬の都市生活に特化したシリーズです。氷の上でも滑りにくいソールを採用しており、見た目はスニーカーに近いので、普段着にも合わせやすいのが特徴です。コロンビア サップランドは、雪国でも愛用者が多い名作です。
モンベル(mont-bell)の雪山対応シューズ
日本ブランドのモンベルは、日本特有の湿った雪や凍結路面をよく研究しています。独自の「トレールグリッパー」というソールは、濡れた面で驚異的な粘りを発揮します。モンベル スノーブーツは、コストパフォーマンスも高く、最初の1足として非常におすすめです。
トレッキングシューズは雪道で滑る?転倒を防ぐ対策と滑らない冬靴の選び方まとめ
結論として、夏用のトレッキングシューズをそのまま雪道で履くのは、かなりのリスクを伴います。ソールの硬化や目詰まりによって、思わぬ場面で足元をすくわれてしまうからです。
雪道を安全に歩くためのポイントを振り返りましょう。
- 今ある靴にはチェーンスパイクや簡易滑り止めを追加する
- 新しく買うなら「アークティックグリップ」などの防滑ソールを選ぶ
- 歩き方は「小股でベタ足」を徹底する
正しい知識と装備があれば、雪道は決して怖い場所ではありません。冬の美しい景色を安全に楽しむために、まずは自分の足元の装備を見直すことから始めてみてください。しっかりと対策を立てて、冬のアウトドアや雪の日の外出を快適に過ごしましょう!


