「登山の準備中、しゃがみ込んで靴紐を結ぶのが地味にツライ……」
「歩いている途中で紐がほどけて、何度も結び直すのがストレス」
「手袋をしていると紐の調整が難しくて、指先が凍えそうになる」
そんな悩み、実はトレッキングを楽しむ多くの人が抱えています。特にトレッキングシューズは紐が太くて長く、一度ほどけると足元の安全性が一気に損なわれるため、神経を使いますよね。
最近では、そんな煩わしさを解消するために「靴紐を結ばない」という選択をするハイカーが増えています。今回は、トレッキングシューズをより快適に、そして安全に使いこなすための「結ばない」テクニックとおすすめのアイテムを徹底解説します。
なぜトレッキングシューズの靴紐を結ばないという選択肢があるのか
そもそも、なぜ多くの人があえて「結ばない」方法を探しているのでしょうか。それには、山歩き特有の事情が深く関わっています。
一番の理由は「安全性の確保」です。登山道には木の根や岩がゴロゴロしており、もし解けた紐のループに反対側の足のフックを引っ掛けてしまったら、そのまま転倒して大怪我につながりかねません。結び目自体をなくしてしまえば、このリスクを物理的にゼロにできるのです。
次に「フィット感の持続」です。標準的なナイロン製の紐は、歩行中の振動や汗、湿気によって徐々に緩んでくることがあります。ストッパーで固定するタイプや特殊な構造の紐を使えば、最初から最後まで一定のホールド力を維持しやすくなります。
さらに「利便性」も無視できません。登山口での着替えや、山小屋の出入り、テント場での休憩など、靴を脱ぎ履きする機会は意外と多いもの。そのたびに紐を解いて結んで、という作業から解放されるのは、想像以上に快適な体験になります。
トレッキングシューズに導入できる「結ばない」3つのスタイル
「結ばない靴紐」と一口に言っても、その種類は様々です。トレッキングシューズの性能を損なわずに導入できる、主な3つのスタイルを見ていきましょう。
1. クイックシューレース型(ドローコード式)
トレイルランニングシューズなどでよく見られる、細くて強靭な紐をプラスチックのストッパーで締め上げるタイプです。
このタイプのメリットは、なんといっても調整の速さです。ストッパーをスライドさせるだけで足全体を均一に締め上げることができ、指の力が弱い方や、厚手の手袋をしている時でも簡単に操作できます。
本格的な登山靴に使うなら、サロモンのサロモン クイックレースなどが有名です。ケブラーという防弾チョッキにも使われるような非常に強い素材が使われているため、岩場で擦れても簡単に切れることはありません。
2. コブ付きのシリコン・ゴム紐型
紐自体にボコボコとした「コブ」が付いており、そのコブが靴の穴(ハトメ)に引っかかることで固定するタイプです。
代表的なものにはキャタピランやクールノットがあります。これらはゴムの適度な伸縮性があるため、足の動きに合わせて紐が伸び縮みし、血流を妨げにくいのが特徴です。
長い距離を歩くと足がむくんでくることがありますが、このタイプなら適度に圧を逃がしてくれるため、痛みが出にくいというメリットがあります。ただし、本格的なガレ場や急斜面では、ゴムの伸びが「足の遊び」につながり、不安定さを感じることもあるので、ハイキング程度の低山から試してみるのがおすすめです。
3. コードストッパー後付け型
今使っているお気に入りの靴紐をそのままに、末端にストッパーを取り付ける方法です。
コードストッパーを100円ショップや手芸店、あるいはアウトドアショップで購入し、結び目の代わりに装着します。これにより、紐を物理的に結ぶ必要がなくなります。既存の紐の剛性を活かしつつ、着脱をスムーズにしたい場合に最もコストパフォーマンスが高い方法です。
トレッキングシューズで結ばない紐を使う際の注意点
便利な「結ばない靴紐」ですが、山という特殊な環境で使う以上、いくつか注意しておかなければならないポイントがあります。
まず、トレッキングシューズ特有の「足首のフック」との相性です。多くの登山靴は足首の部分がフック状になっています。ゴム紐タイプの場合、フックに引っ掛けてもテンションが一定になりすぎてしまい、下り坂で足が前にズレてしまうことがあります。下山前にはストッパーを少しきつめに設定し直すなどの微調整が必要です。
次に「余った紐の処理」です。結ばない紐は、ストッパーで留めた後に余った部分が長くなる傾向があります。これをそのままにしていると、枝に引っかかったり、アイゼンに絡まったりして非常に危険です。余った紐は必ずシュータン(ベロ)の裏側にあるポケットに収納するか、他の紐の下にくぐらせて、ブラブラしないように徹底してください。
最後に、強度の確認です。街履き用の安価なゴム紐は、登山の過酷な環境(紫外線、泥、摩擦)に耐えられないことがあります。必ずアウトドア用靴紐や、耐久性を謳っているメーカー品を選ぶようにしましょう。
おすすめの結ばない靴紐アイテム
ここで、実際に多くの登山者が愛用している信頼性の高いアイテムを紹介します。自分の歩くスタイルに合わせて選んでみてください。
圧倒的な操作性:サロモン クイックレースキット
もともとはトレイルランニング向けに開発されたものですが、多くのハイカーに支持されています。細い紐ながら強度は抜群で、泥詰まりにも強いのが特徴です。サロモン クイックレースは、交換用キットとしても販売されているため、他メーカーの靴に装着してカスタマイズする人も多い逸品です。
フィット感重視:キャタピラン
「結ばない、解けない」の代名詞的存在です。紐を通すだけでコブが固定してくれるため、部分的に締め具合を変えることができるのが最大の強み。例えば「甲の部分は緩めに、足首周りはしっかり締めたい」といった細かな要望にも応えてくれます。キャタピラン 結ばない靴紐はカラーバリエーションも豊富なので、シューズのアクセントとしても楽しめます。
究極のホールド感:クールノット
キャタピランに似ていますが、コブの形状や伸縮率が微妙に異なります。よりスポーティーなフィット感を求めるならクールノットがおすすめです。医療用にも使われるスパンデックス素材を使用しており、耐久性も折り紙付きです。
山行をもっと快適にするためのプラスアルファ
靴紐を「結ばない」仕様にアップデートしたら、あわせてチェックしておきたいのが靴の中の環境です。
どれだけ紐を完璧にセットしても、靴の中で足が滑ってしまうと意味がありません。滑り止め機能の高い登山用ソックスや、自分の足裏にフィットするアウトドア用インソールを組み合わせることで、結ばない靴紐のメリットを最大限に引き出すことができます。
特にインソールを交換すると、土踏まずのアーチがしっかりサポートされ、紐をきつく締めなくても足と靴が一体化するような感覚が得られます。これにより、ゴム紐タイプの「結ばない紐」でも、安定した歩行が可能になります。
また、長期の縦走や厳しい岩場に行く際は、万が一の紐切れに備えて、標準の替えの靴紐を1セットザックに忍ばせておくのが、ベテランハイカーのたしなみです。
まとめ:自分に合ったスタイルで安全な山歩きを
トレッキングシューズの靴紐を結ばないという選択は、単なる手抜きではありません。それは「リスクの軽減」と「快適性の向上」を両立させるための、賢いカスタマイズの一つです。
もちろん、伝統的な結び方(イアンノットなど)を習得するのも素晴らしいことですが、現代の便利なアイテムを賢く取り入れることで、山登りの楽しさはさらに広がります。
特に「いつも紐のことで足元が気になっていた」という方は、一度ご紹介したようなアイテムを試してみてください。登山口でサッと靴を履き、軽快に一歩を踏み出した瞬間の解放感は、きっとあなたの登山体験をアップデートしてくれるはずです。
最後に、トレッキングシューズの靴紐を結ばない!快適でほどけないおすすめアイテムと活用術を参考に、あなたにとって最適な足元のパートナーを見つけてくださいね。次回の山行が、より自由で、安全なものになることを願っています。


