せっかくお気に入りのトレッキングシューズを手に入れたのに、「山を歩いていると足が痛くなる」「下り坂で爪先が当たってツラい」「何度も紐がほどけて結び直すのが面倒」なんて悩みを抱えていませんか?
実は、登山中の足のトラブルの多くは、靴の性能のせいではなく「靴紐の結び方」ひとつで解決できることがほとんどなんです。
トレッキングシューズは、普段履いているスニーカーとは作りが全く違います。険しい岩場や滑りやすい泥道から足を守るための特殊な構造をしているからこそ、その性能を引き出すための「正しい結び方」があるのです。
今回は、登山のプロも実践している、下り坂でも足が痛くならず、かつ絶対にほどけない靴紐の結び方のコツを徹底解説します。
トレッキングシューズの靴紐の結び方をマスターする前の「最重要準備」
正しい結び方を覚える前に、まずは靴の履き方から見直してみましょう。どれだけ完璧に紐を結んでも、土台となる足の位置がズレていては意味がありません。
まず、靴に足を入れたら、つま先を浮かせて「かかと」を地面にトントンと軽く打ち付けてください。これ、実はものすごく重要なんです。
登山の歩行では、かかとが靴のヒールカップにしっかり固定されていることが大前提です。かかとを合わせることで、靴の中で足が前後に動くのを防ぎ、結果として「下山中に爪先が当たって痛い」というトラブルを劇的に減らすことができます。
かかとを合わせたら、つま先側のハトメ(紐を通す穴)から順番に紐を引き締めていきます。このとき、一気に一番上まで引っ張るのではなく、一段ずつ、下から順番に緩みを取っていくのがコツです。
登りと下りで結び方を変えるのが「疲れない登山」の鉄則
意外と知られていないのが、「登り」と「下り」で靴紐の締め具合を変えるというテクニックです。山の斜面に合わせて足首の自由度を調整することで、驚くほど歩きやすさが変わります。
登りは「足首の可動域」を意識して少し余裕を
登り坂では、足首を前後に動かす動作が多くなります。もし足首までガチガチに固めてしまうと、一歩踏み出すたびにふくらはぎに余計な負荷がかかり、すぐにバテてしまいます。
登りの際は、足の甲の部分はしっかりとホールドしつつ、くるぶしから上のシャフト部分は、指が一本入るくらいの少しの余裕を持たせて結ぶのがベストです。これにより、急な斜面でも足首がスムーズに動き、自然な歩行をサポートしてくれます。
下りは「前滑り防止」のためにガッチリ固定
登山で最も足にトラブルが起きやすいのが下りです。重力で足が靴の中で前にズレようとするため、爪先が靴の先端に当たって「爪が黒くなる(爪下血腫)」原因になります。
下山を開始する前には、一度紐をすべて解いて、最初から締め直しましょう。特にかかとが浮かないよう、足首周りのフックは強めに締め上げます。こうすることで足が靴の中でしっかり固定され、膝への衝撃も和らげることができます。
絶対にほどけない!プロが教える最強の「2重巻き蝶々結び」
歩いている途中に靴紐がほどけるのは、単にストレスなだけでなく、紐を踏んで転倒するリスクがあるため非常に危険です。そこで、一般的な「蝶々結び」を一工夫した、強固な結び方をご紹介します。
やり方はとても簡単です。いつものように蝶々結びを作る際、輪っかに紐をくぐらせる動作を「1回」ではなく「2回」行うだけ。これだけで、紐同士の摩擦が劇的に増え、激しい動きをしても全く緩まなくなります。
この結び方は、プロのガイドやアスリートも愛用している手法で、見た目は普通の蝶々結びとほとんど変わりませんが、その強度は折り紙付きです。
また、トレッキングシューズ用靴紐を選ぶ際は、断面が丸い「丸紐」よりも、摩擦が起きやすい「平紐」の方が物理的にほどけにくいという性質もあります。もし今の紐がどうしても滑りやすいと感じるなら、紐自体を交換してみるのも一つの手です。
足が痛い時の救世主!部位別の「裏ワザ」結び
「特定の場所だけが痛い」という場合は、一律に締めるのではなく、部分的に締め方を変えるアレンジが必要です。
甲高・幅広で圧迫感が気になる場合
足の甲が高い方は、特定のハトメ部分で紐が食い込んで痛みが出ることがあります。その場合は、痛みが出る箇所のハトメをあえて「一段飛ばす」か、紐を交差させずに平行に通す「窓開け」という手法を試してみてください。ピンポイントの圧迫が解消され、驚くほど楽になります。
かかとが浮いてしまう場合
歩くたびにかかとがパカパカ浮いてしまうと、靴擦れの原因になります。そんな時は、一番上のフック付近で「ループ」を作り、そこに紐を通してから引き締める「ヒールロック」という技法が有効です。テコの原理でかかとをグッと後ろに押し込んでくれるため、フィット感が爆上がりします。
トレッキングシューズの性能を守るメンテナンスの心得
正しい結び方を実践するためには、靴紐の状態も大切です。
登山の後は、泥汚れをしっかり落として乾燥させていますか?紐に泥がついたままだと、繊維が摩耗しやすくなり、結び目が滑りやすくなる原因になります。また、紐が毛羽立ってきたり、芯が細くなってきたら交換のサインです。
万が一の断線に備えて、ザックの底に予備の登山用予備靴紐を忍ばせておくと、いざという時に安心です。
トレッキングシューズの靴紐の結び方ひとつで登山の楽しさは倍増する
ここまで、トレッキングシューズの靴紐の結び方について、シーン別の使い分けやトラブル対処法をお伝えしてきました。
最後におさらいしましょう。
- 靴を履くときは「かかと」をトントンして合わせる
- 登りは足首に少し余裕を、下りはガッチリ固定
- 「2重巻き蝶々結び」でほどけるストレスをゼロにする
- 痛い場所があるときは、ハトメの通し方を工夫する
たかが靴紐、されど靴紐。正しく結ばれたシューズは、もはや体の一部のように軽やかに感じられるはずです。足元の不安が消えれば、目の前に広がる景色や、山頂でのコーヒーの時間をより純粋に楽しめるようになります。
次回の山行では、ぜひ出発前や下山前に自分の足の声を聞きながら、最適な靴紐の結び方を実践してみてください。きっと、今までとは違う「疲れにくい歩き」を実感できるはずです。
安全で快適な登山ライフを楽しみましょう!
トレッキングシューズの靴紐の結び方!下りで痛くない・ほどけないプロ直伝のコツを最後までお読みいただきありがとうございました。あなたの足元を支える大切な技術として、ぜひ活用してください。


