せっかくの登山、景色を楽しみにしていたのに「足が痛くてそれどころじゃなかった……」なんて経験、絶対にしたくないですよね。実は、トレッキングシューズ選びで最も重要で、かつ最も失敗しやすいのが「サイズ感」なんです。
普段履いているスニーカーと同じ感覚で選んでしまうと、山道では思わぬトラブルに見舞われることも。この記事では、初心者の方が絶対に押さえておくべきトレッキングシューズのサイズ感の正解と、失敗しないための選び方のコツを詳しくお話ししていきます。
なぜトレッキングシューズのサイズ感は「大きめ」が鉄則なのか
登山靴を探しに行くと、店員さんから「少し大きめがいいですよ」とアドバイスされることが多いはず。これには、過酷な山道を安全に歩くための明確な理由が3つあります。
まず1つ目は、履く靴下の厚みです。登山では、足への衝撃を和らげ、汗冷えを防ぐために厚手のウールソックスを履くのが基本。これだけで普段の靴下より数ミリから1センチ近く足のボリュームが増します。
2つ目は、長時間の歩行による足の「むくみ」です。山を何時間も歩き続けると、血流の影響で足は確実に膨らみます。朝はジャストサイズでも、午後にはパンパンになって靴擦れを起こす、というのはよくある失敗談です。
そして最も重要な3つ目が、下山時のつま先の保護です。急な下り坂では、一歩ごとに足が靴の中で前方へ滑り込もうとします。このとき、つま先に「捨て寸」と呼ばれる十分な余裕がないと、指先が靴の先端に激しく当たり続け、爪が内出血して剥がれてしまう「爪死に」を招いてしまうのです。
失敗しないための「サイズ確認」3ステップ
理想的なサイズ感を見極めるには、ただ履いてみるだけでは不十分です。以下の3つのステップで、自分の足に合っているか厳密にチェックしましょう。
1. 中敷き(インソール)を出して足を乗せる
まず、靴からインソールを取り出してください。その上に、登山用の厚手の靴下を履いた状態で立ちます。かかとをインソールの後端に合わせたとき、つま先に1.0cmから1.5cm程度の余白があるのがベストです。この余白が、下り坂で足を救ってくれる命綱になります。
2. かかとに指が1本入るか確認する
次に、靴に足を入れ、紐を締めない状態でつま先をグッと先端まで押し込みます。その状態で、かかと側に人差し指がスッと1本入るくらいの隙間があれば、長さのサイズ感としては合格です。
3. 足の幅(ワイズ)と甲のフィット感を見る
長さが合っていても、横幅がキツすぎたり、逆にガバガバだったりしてはいけません。特に日本人に多い「幅広・甲高」の足の方は、海外ブランドの細身のモデルだと側面に痛みが出やすいです。紐を締めたときに、足の甲全体が優しく包み込まれるような感覚があるかを確認しましょう。
国内外の人気メーカー別・サイズ感の傾向
メーカーによって、靴のベースとなる「木型(ラスト)」の形は驚くほど異なります。自分の足型に合いやすいブランドを知っておくことが、近道になります。
キャラバン(Caravan)
日本の老舗ブランドであるキャラバン トレッキングシューズは、まさに日本人のための設計。ワイズが3Eや4Eと広めに作られているモデルが多く、幅広・甲高で悩んでいる方にはまず試してほしいブランドです。入門者向けのモデルも豊富で、安心感のある履き心地が特徴です。
モンベル(mont-bell)
日本が誇る総合アウトドアブランドモンベル 登山靴も、日本人の足型を徹底研究しています。全体的に標準からやや広めの設計で、サイズ展開も細かいため、自分にぴったりの一足を見つけやすいのが魅力。コストパフォーマンスも非常に高く、最初の1足に選ぶ人が非常に多いです。
サロモン(Salomon)
フランス発のサロモン トレッキングシューズは、トレイルランニングの技術を応用した軽量で機動性の高いモデルが人気です。海外ブランドらしく、やや細身から標準的なシルエットが多め。足全体をタイトにホールドしてくれるため、岩場などでの安定感を求める方に支持されています。
ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)
ノースフェイス 登山靴は、スニーカーに近い感覚で履けるモデルが多く、初心者でも違和感なく馴染みやすいのが特徴です。サイズ感は比較的標準的ですが、デザイン性が高いだけでなく、独自の防水透湿素材など機能面もしっかりしています。
ラ・スポルティバ(LA SPORTIVA)
イタリアの本格派スポルティバ 登山靴は、どちらかといえば細身で、かかとのホールド力が非常に強いのが特徴。プロの登山家にも愛用者が多く、足との一体感は抜群です。ただし、幅広の足の方には少しタイトに感じることが多いため、必ず試着して確認することをおすすめします。
試着の際に注意すべき「盲点」
お店で試着する際、ただ店内を数歩歩くだけでは本当のサイズ感は分かりません。
まず、試着は必ず「午後」に行いましょう。朝の足と夕方の足ではサイズが異なります。最も足が大きくなっている状態で合わせるのが、山でのトラブルを防ぐコツです。
また、ショップにあるスロープ(傾斜台)を必ず利用してください。特に下りの斜面を歩いたとき、つま先が靴の先端に当たらないか、逆にかかとが浮きすぎてしまわないかをチェックします。紐をしっかり締めているのに、歩くたびにかかとがパカパカ浮くようなら、その靴はあなたの足型に合っていない可能性があります。
まとめ:トレッキングシューズのサイズ感ガイド|失敗しない選び方とメーカー別特徴を徹底解説
トレッキングシューズのサイズ選びは、単なる数字選びではなく「山での自分の足を想像すること」から始まります。
「実寸+1.0〜1.5cm」の余裕を持ち、厚手の靴下を履いて、むくんだ足でも快適に歩けるか。そして下り坂でつま先を守れるスペースがあるか。このポイントさえ外さなければ、登山中の足の痛みという最大のストレスから解放されます。
トレッキングシューズを新調したら、まずは近所の公園や低い山で、紐の締め具合を調整しながら「慣らし履き」をしてみてください。自分の足に完璧に馴染んだ一足は、あなたをより遠く、より高い素晴らしい景色へと連れて行ってくれるはずです。
もし「自分の足が幅広なのか細身なのか分からない」という場合は、一度アウトドアショップで正確に計測してもらうのも手ですよ。自分にぴったりのサイズ感を見つけて、安全で快適な山歩きを楽しんでくださいね。


