「今持っているトレッキングシューズで、雪道や冬の山を歩いても大丈夫かな?」
冬の気配が近づくと、そんな疑問を抱く方は多いはずです。雪景色の中を歩くスノーハイクは幻想的で魅力的ですが、一歩間違えれば足元の冷えや転倒、さらには重大な事故につながるリスクも潜んでいます。
結論からお伝えすると、一般的なトレッキングシューズで雪道を歩けるかどうかは「雪の状態」と「靴のスペック」の組み合わせ次第です。
この記事では、手持ちの靴が雪道に耐えられるかのチェックポイントから、安全に歩くための必須装備、そして過酷な環境でも快適に過ごすための裏技まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
雪道をトレッキングシューズで歩くための「3つの絶対条件」
雪道を歩く際、普段のハイキング以上にシビアにチェックしなければならないポイントがあります。もし以下の条件を一つでも満たしていない場合は、無理をせず専用のブーツを検討するか、行き先を変更することをおすすめします。
まず、何よりも大切なのが「完全防水性」です。
雪の上を歩くと、体温によって靴の表面についた雪が溶け出します。安価な撥水加工だけの靴や、メッシュ素材が多い靴だと、数十分も歩けば中までびしょ濡れになってしまいます。雪山で足が濡れることは、単に不快なだけでなく「凍傷」のリスクに直結します。ゴアテックス 登山靴に代表されるような、高い防水透湿性を持つメンブレンが内蔵されていることが大前提です。
次に「カットの高さ」に注目してください。
足首を覆わないローカットのシューズは、雪道には向きません。どんなに防水性が高くても、足首の隙間から雪が侵入してしまうからです。最低でもミッドカット、できればハイカットのモデルを選びましょう。
そして3つ目が「ソールの溝の深さ」です。
ソールの裏を見て、ラグ(溝)がしっかり深く、泥や雪を排出するように設計されているかを確認してください。溝が浅いと、雪が詰まって靴底が平らになり、まるでスケート靴のように滑ってしまいます。
「3シーズン用」と「冬用登山靴」の違いを理解しよう
トレッキングシューズには、大きく分けて「3シーズン用」と「冬専用」があります。この違いを理解しておかないと、現地で足の感覚がなくなるほどの寒さに襲われるかもしれません。
3シーズン用(春・夏・秋)のトレッキングシューズは、歩きやすさを重視してソールが適度に曲がるように作られています。また、通気性を確保するために断熱材が入っていないことがほとんどです。
一方で、本格的な冬用登山靴(アルパインブーツ)は、全く別物です。
まず、靴の中に「プリマロフト」などの断熱材が封入されており、マイナス10度以下の環境でも体温を逃がさない構造になっています。さらに、アイゼン(金属の爪)をしっかり固定するために、ソールが岩のようにカチカチに硬く、曲がらないようになっています。
「近所の公園の雪道を散歩する」「積雪数センチの平坦な道を歩く」程度であれば3シーズン用でも対応可能ですが、本格的な雪山登山を目指すなら、迷わず冬専用のブーツを手に入れましょう。
滑り止め対策の決定版!チェーンスパイクとアイゼンの使い分け
トレッキングシューズそのもののグリップ力だけで雪道を歩くのは、実はかなり危険です。雪の下が凍っていたり、斜面になっていたりする場合、登山靴のラバーだけでは太刀打ちできません。そこで必要になるのが「外付けの滑り止め」です。
初心者の方に最もおすすめなのが、チェーンスパイクです。
これは靴の底に金属の短い爪を張り巡らせる装備で、ゴムを伸ばして靴に被せるだけで装着できます。スニーカー感覚で歩けるため、平坦な雪道や凍結した林道では最強の味方になります。
一方で、より傾斜のある場所や、雪が深く踏み固められた場所に行くなら「軽アイゼン(4本〜6本爪)」の出番です。
土踏まずの部分に鋭い爪がくるタイプで、しっかりと雪に食い込んでくれます。ただし、爪がある分、岩場やアスファルトでは歩きにくくなるため、雪の状況に合わせて着脱する手間が必要です。
もし本格的な10本爪や12本爪のアイゼンを使いたい場合は、靴側に「コバ」と呼ばれる固定用の溝があるかを確認してください。一般的な柔らかいトレッキングシューズに本格的なアイゼンをつけると、歩いている最中に外れて滑落する恐れがあるため、自分の靴との相性を必ず登山用品店で確認しましょう。
雪道での「足元の濡れと冷え」を防ぐ便利アイテム
雪道トレッキングで、靴と同じくらい重要なのが周辺のアクセサリーです。これがあるかないかで、快適度は天と地ほど変わります。
一つ目は「ゲイター(スパッツ)」です。
靴の履き口からズボンの裾までを覆う防水のカバーです。これがないと、深い雪に足を踏み入れた瞬間に、靴の中に雪がドサッと入り込みます。雪道に行くなら必須中の必須アイテムと言えるでしょう。
二つ目は「厚手のウールソックス」です。
スマートウール ソックスのようなメリノウール素材の靴下は、保温性が高いだけでなく、万が一濡れても冷たくなりにくいという特性を持っています。冬の雪道では、夏用よりも一回り厚手のものを選んでください。
三つ目の裏技は「防水ソックス」の活用です。
もし今持っている靴の防水性に少し不安があるなら、デクシェル 防水靴下を履いてみてください。靴下自体に防水膜が入っているため、靴が濡れても足そのものはドライに保たれます。手持ちの装備を活かして雪道を歩きたい方には、非常にコストパフォーマンスの良い対策です。
雪道を歩く前のメンテナンスと注意点
最後に、安全のために必ずチェックしてほしいことがあります。
それは「ソールの寿命」です。
しばらく履いていなかったトレッキングシューズを引っ張り出してきた場合、ソールのゴムが「加水分解」を起こしていないか確認してください。見た目は大丈夫そうでも、歩き始めた途端にソールがペリッと剥がれるトラブルは雪山で頻発しています。手でソールを強く押したり、少し引っ張ってみたりして、違和感がないか確かめましょう。
また、出発前には必ず防水スプレーをこれでもかというほど吹きかけておきましょう。
新品のゴアテックスシューズであっても、表面の撥水力が落ちていると雪が付着しやすくなり、その雪が溶けることで靴の表面温度を奪い、内部の冷えにつながります。「水を弾く」状態をキープすることが、保温への近道です。
さらに、歩き方にもコツがあります。
雪道では、足を高く上げすぎず、足裏全体で地面を踏みしめる「フラットフッティング」を意識してください。かかとから着地すると、そのままツルッと滑る原因になります。歩幅を小さくし、重心を常に足の真上に置くイメージで歩くのがコツです。
トレッキングシューズで雪道を歩ける?失敗しない選び方と滑り止め対策を徹底解説のまとめ
雪道は、適切な準備さえ整えれば、他の季節では味わえない素晴らしい景色を見せてくれます。
「今持っているトレッキングシューズで行けるかな?」と迷ったら、まずはその靴が「完全防水」で「ミッドカット以上」であることを確認してください。その上で、チェーンスパイクやゲイターといった補助アイテムを組み合わせることで、低山のスノーハイクや雪国での散策はぐっと安全で楽しいものになります。
ただし、冷え込みが厳しい環境や、本格的な急斜面がある山に挑戦する場合は、迷わず冬専用の登山靴を選んでください。自分の体力と、行く先の雪の状況を冷静に判断することが、冬のアウトドアを楽しむ最大の秘訣です。
しっかりとした装備を整えて、真っ白に輝く雪の世界へ一歩踏み出してみませんか?足元さえ安心なら、そこには最高の感動が待っているはずです。


