「ランニングシューズ」と聞くと、まず思い浮かぶのはシューレース(靴ひも)を結ぶタイプではないでしょうか。でも、最近はひもを結ばずに「ダイヤルを回してフィット感を調整する」タイプのシューズが増えてきています。
一度履いたら手放せないという声も多い、ダイヤル式ランニングシューズ。中でも代表的なのが「Boaフィットシステム」を搭載したモデルです。この記事では、その仕組みや特徴、選び方のポイントをわかりやすく紹介します。
ダイヤル式ランニングシューズとは?
ダイヤル式ランニングシューズは、ひもではなく「ダイヤル」と「ワイヤー」でフィット感を調整する仕組みを採用しています。
靴の上部や側面にあるダイヤルを「カチカチ」と回すだけで締め付けを変えられ、ワンタッチで緩めることも可能です。
この構造の最大の特徴は、走行中でも簡単に微調整できること。
たとえば、走り出してから「もう少し締めたい」「少し緩めたい」と思ったとき、わざわざ止まって靴ひもを結び直す必要がありません。
特にマラソンやトレイルランのように長時間走るシーンでは、足のむくみや路面状況に合わせてすぐに調整できる点が大きな魅力です。
さらに、靴ひもがほどける心配がないのも安心。走行中に紐が解けて集中力を切らす心配がなく、最後まで自分の走りに集中できます。
Boaフィットシステムの仕組みと特徴
ダイヤル式の中でも特に人気なのが「Boaフィットシステム(Boa® Fit System)」です。
アメリカのBoa Technology社が開発したこのシステムは、「ダイヤル」「ワイヤーレース」「ガイド」の3つの要素で構成されています。
- ダイヤル(リール)
手で回して締め、引いて緩めるシンプルな操作。1クリック単位で細かい調整ができるのが特徴です。 - ワイヤーレース
軽量で強度の高い特殊ワイヤーを採用。均一な締め付けを可能にし、部分的な締めムラを防ぎます。 - ガイド
ワイヤーを通すパーツで、靴の形に沿って力を均等に分散。足全体を包み込むようなフィット感を生み出します。
Boaフィットシステムはもともとスノーボードブーツやゴルフシューズなどに採用されていましたが、近年はランニング分野でも急速に普及。
「走行中の調整がしやすい」「ホールド感が高い」「軽量で見た目もスマート」といった理由で、トレイルランナーや長距離ランナーからも支持されています。
ダイヤル式ランニングシューズのメリット
実際にダイヤル式ランニングシューズを使っているランナーたちは、どんな点に魅力を感じているのでしょうか?
主なメリットをいくつか挙げてみましょう。
1. 走行中でも素早くフィット調整できる
ダイヤルを数クリック回すだけで、瞬時に締め付けを調整できます。
気温や距離によって足の状態が変わっても、手軽にベストなフィット感をキープ可能。
マラソン後半やアップダウンの激しいトレイルでも、「少し締めたい」「緩めたい」と思った瞬間に対応できるのは大きな強みです。
2. 均一なホールド感でブレを防ぐ
ひも靴のように「結び目の部分だけきつい」「甲の上だけ緩い」といったムラが起こりにくく、足全体がしっかり包み込まれるようにフィットします。
そのため、シューズ内で足が滑ることが少なく、着地の安定性が増します。
3. 靴ひもが解ける心配がない
長距離ランやスピード練習中に靴ひもが解けると、集中力が途切れてしまいます。
ダイヤル式ならそうしたストレスとは無縁。レースの途中でも安定したホールドを維持できます。
4. 着脱がとても簡単
走る前に靴ひもを結んだり、走り終えた後に解いたりする手間がなくなります。
特に冬場や手袋をしているとき、またはトレーニング中に何度も靴を脱ぎ履きする場面では、この便利さを実感します。
注意点・デメリットも知っておこう
もちろん、ダイヤル式ランニングシューズにも注意すべき点があります。
まず、価格が少し高めになる傾向があります。
ダイヤルやワイヤーなどの機構が追加されているため、構造が複雑でコストが上がるのです。
次に、部品のメンテナンスが必要になることもあります。
Boa社では無償交換保証が用意されていますが、ワイヤーが切れたりダイヤルが破損した場合は修理対応が必要です。
普段のランニングで使う分には問題ないものの、定期的に状態をチェックしておくと安心です。
また、締め付けの感覚には慣れが必要です。
最初はつい強く締めすぎてしまう人も多いですが、数回使ううちに「自分に合うフィット感」を見つけられるようになります。
Boaフィットシステム搭載モデルのおすすめシーン
Boaフィットシステムを搭載したランニングシューズは、特に以下のようなシーンでその実力を発揮します。
- トレイルランニング
上り坂や下り坂、岩場やぬかるみなど、路面の変化が激しいトレイルでは、フィット感をその都度変えられるのが非常に便利。
下りではきつく締め、平坦では少し緩めることで、足への負担を軽減できます。 - 長距離マラソン・ウルトラマラソン
長時間走ると足がむくみ、靴の中が窮屈に感じることがあります。そんな時、ワンタッチで緩めることができるBoaフィットシステムは頼れる存在。
特に後半の疲労対策としても有効です。 - 冬場や雨の日のランニング
手袋をしていてもダイヤル操作がしやすく、濡れても滑りにくい設計になっているため、悪天候時にも快適に使えます。
ダイヤル式ランニングシューズの選び方
実際に購入を考える際は、次のポイントを押さえておくと失敗しにくくなります。
1. ダイヤルの位置と操作感をチェック
ダイヤルはシューズの甲上・サイド・かかとなど、モデルによって位置が異なります。
自分が最も操作しやすい位置にあるかを確認しましょう。
走りながらでも回しやすい構造かどうかも重要です。
2. 用途に合ったタイプを選ぶ
「ロード用」「トレイル用」「スピードトレーニング用」など、目的に応じて選ぶのがポイントです。
Boaフィットシステムが搭載されていても、ソールやアッパーの設計が用途に合わなければ、本来の性能を発揮できません。
3. 試着してフィット感を確かめる
ブランドやモデルによって、足幅・甲の高さのフィット感は微妙に異なります。
店舗で試着し、ダイヤルを回して締めたときの感触や圧迫感をチェックしておきましょう。
締めすぎず、軽くホールドされる程度が理想です。
4. 保証やメンテナンスサポートを確認
Boa社のパーツは基本的にライフタイム保証があり、万一の破損にも対応しています。
ただし販売店やブランドによって手続きが異なるため、購入前に確認しておくと安心です。
人気が高まる理由と今後のトレンド
ここ数年、Boaフィットシステムを搭載したランニングシューズは各ブランドから続々と登場しています。
もともとはサイクリングシューズやゴルフシューズで普及していましたが、ランニング市場でも「手軽で快適」というニーズにマッチした結果、採用が広がりました。
最近では、ダイヤルの位置やワイヤーの配置を工夫して、より自然なフィット感を追求したモデルも登場。
アッパーの素材やソール構造との相性を最適化した設計が進み、軽量化や通気性の面でも進化しています。
今後はロード用のみならず、トレーニングシューズやウォーキングモデルにも広がっていくと予想されます。
「靴ひもを結ばない快適さ」は、一度体験すると戻れないという声も多く、ランニングギアの新しい標準になる可能性もあります。
ダイヤル式ランニングシューズの魅力とは?Boaフィットシステム搭載モデルの選び方まとめ
ダイヤル式ランニングシューズは、単なる「ひもなしの便利シューズ」ではありません。
足との一体感を高め、走行中でも簡単にフィットを調整できる――それがこの仕組みの本質です。
Boaフィットシステム搭載モデルなら、均一なホールドと微調整性を両立し、より快適で安定したランニングをサポートしてくれます。
もちろん価格や慣れといったハードルもありますが、それ以上に得られるメリットは大きいはず。
もし次の一足を探しているなら、ぜひ一度「ダイヤル式ランニングシューズ」を試してみてください。
走りながらフィット感を変えられる自由さが、きっと新しいランニング体験をもたらしてくれるでしょう。


