スニーカーを履いていると「かかとが痛い」「歩くと擦れる」「長時間履くとズキズキする」と感じた経験はありませんか?
お気に入りのスニーカーなのに痛くて履けない――そんな悩みを抱える人は少なくありません。実は、かかとの痛みには明確な原因があり、ちょっとした工夫で改善できるケースが多いのです。ここでは、スニーカーのかかとが痛くなる原因と、快適に履き続けるための選び方・調整法を詳しく解説します。
かかとが痛いときに考えられる主な原因
スニーカーを履いたときのかかとの痛みには、大きく分けて靴由来の原因と身体的な原因があります。
まず靴の要因として多いのが、サイズや形が合っていないこと。
サイズが大きすぎると足が前後に動いてかかとが擦れ、靴擦れのような痛みを起こします。逆に小さすぎると、かかとが強く圧迫され、皮膚や腱に負担がかかります。
また、靴の素材や構造にも注意が必要です。かかと周りにクッションが少ない、履き口が硬い、ヒールカップ(かかとを包む部分)が固すぎると、歩くたびに摩擦や圧力が生じて痛みを感じやすくなります。
一方、身体側の原因としては「足底筋膜炎」や「アキレス腱炎」が代表的。これらは足裏やかかと後部に炎症が起こる症状で、長時間の立ち仕事や歩行、運動での衝撃の積み重ねなどが引き金になります。特に足底筋膜炎は朝の一歩目に鋭い痛みを感じることが特徴で、慢性的に続く場合は整形外科での診断が推奨されます。
サイズ選びのミスがかかと痛を招く
スニーカー選びで最も多い失敗は、「サイズが合っていない」こと。
日本人の多くは「自分のサイズはこのくらい」と思い込んで同じサイズを選び続けがちですが、ブランドやモデルによって木型(ラスト)が異なり、同じ表記サイズでもフィット感が大きく変わります。
かかとが抜けやすい場合は、靴の中で足が前に滑り、摩擦が増えます。特に靴下の厚さや素材によってもフィット感が変化するため、購入時には普段履いている靴下を合わせて試着するのが理想です。
また、足の長さだけでなく、足幅(ワイズ)や甲の高さも重要です。幅が広い人が細身のモデルを選ぶと、足が押しつぶされてかかとまで圧迫されることがあります。逆に幅が狭い足にワイド設計のスニーカーを履くと、かかとが浮いて不安定になりがちです。
素材と構造が与える影響
スニーカーの構造を見直すと、かかと痛の原因が見えてくることがあります。
例えば、ヒールカウンターがしっかりしていない靴は、かかとを固定できずにブレやすく、長時間の歩行で摩擦を生じやすいです。反対に、硬すぎるヒールカウンターも当たりやすく痛みの原因になります。
内側の素材にも注目しましょう。
合成皮革や硬めのメッシュ素材は耐久性に優れていますが、柔軟性に欠けるため肌との摩擦が強くなります。一方、ライニングに柔らかいパッドやフォームが入っているモデルは足あたりが優しく、靴擦れの防止にも効果的です。
ソールの硬さも重要です。ソールが薄く硬いスニーカーは、かかとへの衝撃がダイレクトに伝わりやすい傾向があります。クッション性の高いソールや、衝撃吸収性に優れたミッドソール素材(例:EVA、PU、Gelなど)が使われているモデルを選ぶことで、痛みを軽減できることがあります。
歩き方や姿勢も関係している
かかとの痛みは、靴だけでなく歩き方の癖や姿勢の歪みが影響していることもあります。
かかとから強く着地する「ヒールストライク型」の歩き方をしている人は、毎歩ごとに衝撃がかかとに集中し、炎症や痛みを招きやすい傾向があります。
また、猫背や骨盤の傾きなど、身体全体のバランスが崩れていると重心が後ろ寄りになり、自然とかかとへの負担が増します。
運動時だけでなく、普段の通勤や買い物の歩行時にも「姿勢をまっすぐに保ち、足全体で体重を受ける」ことを意識することで、痛みの軽減につながります。
自宅でできる調整とケア方法
軽度のかかと痛であれば、靴の中を少し調整するだけで大きく改善する場合があります。
次のような方法を試してみましょう。
- かかとパッドを入れる
市販のヒールクッションやジェルパッドを使うと、摩擦を軽減し衝撃を吸収できます。
特に歩くと擦れるタイプの痛みには即効性があり、履き心地が柔らかくなります。 - インソールを交換する
標準の中敷きを取り外して、アーチサポートやクッション性の高いものに変えるのも有効です。
足の位置が安定し、かかとが浮きにくくなります。 - 靴紐を調整する
かかとが抜けやすい人は「ヒールロック」と呼ばれる結び方を試してみてください。
足首部分のホールド力を高めることで、かかとのフィット感が向上します。 - 靴下を見直す
薄手の靴下は摩擦が増えやすく、靴擦れの原因になることも。クッション性のある厚めの靴下を選ぶと、かかとが安定しやすくなります。
買う前に確認したいポイント
スニーカーを購入する際は、次の3つのポイントをチェックしましょう。
- かかとが浮かないか
履いた状態でかかとを軽く上下させ、抜けるような感覚がないか確認します。 - 履き口の当たり具合
アキレス腱周辺に硬い部分が当たらないかをチェック。違和感があると長時間で痛みに変わります。 - 夕方に試着する
足は午後から夕方にかけてむくみやすいため、日中より大きくなります。
最も自然なサイズ感を確認するなら、夕方に試着するのがベストです。
それでも痛いときは医療機関へ
靴を変えても痛みが続く場合、単なる靴擦れではなく、足底筋膜炎やアキレス腱周囲炎などの可能性があります。
これらは放置すると慢性化し、歩行時に強い痛みを伴うようになることも。
数日休んでも治らない場合や、朝起きた直後に強く痛む場合は、整形外科や足の専門外来で診てもらいましょう。早期に原因を特定すれば、適切な治療やリハビリで改善できます。
スニーカーのかかと痛を防ぐためにできること
日常的にできる予防としては、以下のような習慣が役立ちます。
- スニーカーを定期的に見直す(ソールのすり減りやクッションの劣化をチェック)
- 同じ靴を毎日履かず、2~3足をローテーションする
- 履く前に靴紐をしっかり締め、足を安定させる
- 足裏のストレッチやマッサージで筋肉の柔軟性を保つ
小さな工夫の積み重ねが、長期的にはかかとの健康を守ります。
まとめ:スニーカーのかかとが痛いときは「靴・足・歩き方」の3点を見直そう
スニーカーのかかとが痛いとき、多くの場合は「靴のフィット感」「素材」「歩行バランス」に原因があります。
まずはサイズや形状を見直し、インソールやパッドなどで調整を行いましょう。
それでも改善しない場合は、無理せず専門医に相談することが大切です。
お気に入りのスニーカーを長く快適に履き続けるためには、「正しい選び方」と「日々のケア」が欠かせません。
自分の足に合った一足を見つけて、かかとの痛みのない快適なスニーカーライフを楽しんでください。


