「あ、あのベロに顔が描いてある白いスニーカーね」
靴に詳しくない人でも、一度は見かけたことがあるはずです。アディダスの代名詞であり、老若男女問わず愛される超定番モデル、それが「スタンスミス」です。
でも、ふと疑問に思ったことはありませんか?
「このベロに描かれているおじさんは一体誰なんだろう?」と。
実は、このスニーカーの名前は単なる商品名ではなく、実在した伝説のテニスプレイヤーの名前に由来しています。今回は、世界で最も売れたスニーカーとしてギネス記録にも載った「スタンスミス」の正体と、そのドラマチックな誕生秘話、そして今なお選ばれ続ける理由を深掘りしていきましょう。
そもそも「スタンスミス」のモデルになったのは誰?
結論から言うと、スタンスミスはアメリカ合衆国出身の元プロテニス選手、**スタンレー・ロジャー・スミス(Stanley Roger Smith)**氏その人です。
1940年代生まれの彼は、1970年代のテニス界を席巻したまさにレジェンド。身長193cmという恵まれた体格から繰り出される強烈なサーブと、繊細なボレーを武器に、世界ランキング1位にまで登り詰めたスター選手でした。
主な戦績を振り返るだけでも、その凄さがわかります。
- 1971年:全米オープン優勝
- 1972年:ウィンブルドン選手権優勝
- キャリア通算:シングルス48勝、ダブルス61勝
当時のアメリカにおいて、彼はまさに「国民的ヒーロー」でした。誠実で紳士的な振る舞いも相まって、多くのファンから愛された人物だったのです。
現在、スタンスミスを履いている若者の多くが「スタンスミス=スニーカーの名前」だと思っているかもしれませんが、実はスミス氏本人は「私は昔、テニスプレイヤーだったんだよ。今はスニーカーだと思われているけどね」と冗談めかして語ることもあるのだとか。それほどまでに、名前が記号として世界に浸透しているということですね。
意外な真実!最初は別の名前だった?
今でこそ「アディダスのスタンスミス」として不動の地位を築いていますが、実は誕生したばかりの頃は全く別の名前で呼ばれていました。
もともとこのスニーカーは、1960年代にフランス人テニスプレイヤーであるロバート・ハイレット氏のために作られたモデルでした。当時は「ハイレット(Haillet)」という名前で販売されていた、世界初の「レザー製テニスシューズ」だったのです。
当時のテニスシューズはキャンバス地(布製)が主流で、激しい動きですぐにボロボロになってしまうのが悩みでした。そこに登場した丈夫なレザー製の「ハイレット」は、選手たちの間で瞬く間に評判となります。
しかし、ハイレット氏が引退することになり、アディダスは次なる看板選手を探すことになりました。そこで白羽の矢が立ったのが、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったスタン・スミス氏です。
1973年(諸説ありますが1971年頃から移行開始)、モデル名は正式に「スタンスミス」へと変更されました。面白いことに、移行期の数年間は「名前はスタンスミスなのに、ベロのイラストはハイレット」だったり、両方の名前が併記されていたりする、今では考えられないような珍しいモデルも存在していたんですよ。
世界一売れたスニーカーとしてギネスに認定
スタンスミスがどれほど凄いスニーカーなのか。それを証明するのが、誰もが知る「ギネス世界記録」です。
1991年の時点で、スタンスミスは約2,200万足を販売し、「世界で最も売れたスニーカー」としてギネスブックに認定されました。その後も人気は衰えるどころか加速し続け、現在では累計販売数が5,000万足を優に超えていると言われています。
なぜ、これほどまでに売れ続けるのでしょうか?
その理由は、時代に左右されない「完成されたデザイン」にあります。
- 側面にあるのは、3本ラインではなく「パンチング(通気孔)」
- 無駄な装飾を削ぎ落とした、クリーンなホワイトレザー
- どんなコーディネートにも馴染むミニマルなシルエット
stan smithを手に取ってみるとわかりますが、驚くほどシンプルです。デニムにも、チノパンにも、スカートにも、さらにはセットアップのスーツにさえ違和感なく溶け込みます。この「汎用性の高さ」こそが、世界中の人々の足元を支え続けている最大の秘訣なのです。
シュータンに描かれた「顔」の不思議
スタンスミスを象徴するパーツといえば、シュータン(ベロ)にプリントされたスミス氏の肖像画ですよね。実はこのイラストには、ちょっとした「ツッコミどころ」があるのをご存知ですか?
現在のスタン・スミス氏を写真で見ると、立派なヒゲを蓄えた姿が印象的です。しかし、スニーカーに描かれているイラストにはヒゲがありません。
実は、あのイラストの元になった写真は、スミス氏がまだヒゲを剃っていた現役初期のもの。本人は後に「今となってはヒゲがない自分の顔は珍しいよ」と語っています。
また、カラーバリエーションによってこのイラストの色が変わるのも楽しみの一つです。定番のグリーンはもちろん、ネイビーやレッド、時にはゴールドなど、コレクションする楽しさがあるのもファンを惹きつけてやまないポイントでしょう。
2021年の大転換!サステナブルな一足へ
長年「レザー(本革)スニーカーの王道」として君臨してきたスタンスミスですが、2021年に大きな転換期を迎えました。
アディダスは、2024年までにすべての製品にリサイクルポリエステルを使用するという目標を掲げ、スタンスミスのメイン素材を「プライムグリーン」と呼ばれる高機能リサイクル素材に切り替えたのです。
つまり、現在新品で流通しているstan smithの多くは、動物由来の本革ではなく、環境に配慮したリサイクル素材で作られています。
「本革じゃなくなったの?」と残念に思うファンもいるかもしれません。しかし、実際に履いてみると、その進化に驚かされます。
- 見た目は本革と遜色ない質感
- 汚れに強く、手入れが楽になった
- 履き心地がより柔らかく、馴染みやすくなった
地球環境を守りながら、クラシックなデザインを次世代へ引き継ぐ。この姿勢が、サステナビリティ(持続可能性)を重視する現代のユーザーに改めて高く評価されています。
迷ったらこれ!おすすめの選び方
スタンスミスには、実はいくつかの「ライン」が存在します。どれを買えばいいか迷っている方のために、代表的なタイプを紹介します。
1. 定番のオリジナルモデル
最も一般的で、ABCマートなどのショップでもよく見かけるタイプです。リサイクル素材を使用しており、価格も手頃。初めての一足にはこれが最適です。
2. 80s(エイティーズ)モデル
1980年代のシルエットを再現したモデル。現行品よりも少し細身で、ヴィンテージ感のあるオフホワイトのソールが特徴です。ファッション上級者に好まれる「通」な一足です。
3. ラックス(LUX)シリーズ
「スタンスミスを一生モノとして履きたい」という方のために、高級感のあるプレミアムな素材を使用したラインです。細部までこだわり抜かれた質感は、まさに大人のためのスニーカーと言えるでしょう。
stan smith luxコーディネートに迷ったら、まずは「ホワイト×グリーン」のオリジナルカラーを選んでみてください。白のスニーカーは汚れが目立ちやすいですが、こまめに拭いてあげることで、その清潔感があなたのファッションをワンランク引き上げてくれます。
まとめ:スタンスミスは誰?モデルの正体と世界一売れたスニーカーの歴史・人気の理由を解説
いかがでしたか?
「スタンスミス」という名前の裏側には、テニス界のレジェンドであるスタン・スミス氏の輝かしい功績と、時代の変化に合わせて進化し続けてきたアディダスの情熱が隠されていました。
単なる「流行りの靴」ではなく、ギネスに認定されるほどの歴史を持ち、環境問題にも配慮しながら進化を続けるスタンスミス。その正体を知ることで、明日から履く一足に、いつも以上の愛着が湧いてくるのではないでしょうか。
もし、まだ一足も持っていないという方や、新しい靴を新調しようと考えている方は、ぜひこの機会に世界一愛されているスニーカーを試してみてください。
adidas stan smithどんなスタイルにも寄り添い、あなたの歩みを支えてくれる。それこそが、50年以上も世界中で「スタンスミス」が愛され続けている、たった一つの、そして最大の理由なのです。
次のお買い物では、ぜひシュータンに描かれた「彼」と目を合わせてみてくださいね。


