「世界で一番売れたスニーカー」としてギネス記録にも認定されているアディダスのスタンスミス。誰もが一度は目にしたことがある超定番モデルですが、最近スニーカーファンの間で「スタンスミスのヴィンテージ」が改めて熱い注目を浴びているのをご存知でしょうか?
おしゃれな人の足元を見ると、なんだか自分の持っているスタンスミスよりシュッとしていたり、独特の質感があったり。実は、私たちが今ショップで見かける現行モデルと、ヴィンテージ(あるいはヴィンテージ復刻モデル)には、驚くほどの違いがあるんです。
今回は、スタンスミスのヴィンテージがなぜこれほどまでに愛されるのか、その歴史や現行品との見分け方、そして気になるサイズ感まで、その魅力を余すことなくお届けします。
なぜ今、スタンスミスのヴィンテージが選ばれるのか
最近のスタンスミスを巡る大きな変化をご存知の方も多いかもしれません。2021年、アディダスはサステナブルな取り組みの一環として、すべてのスタンスミスをリサイクル素材(合成皮革)に切り替えると発表しました。
もちろん地球に優しいのは素晴らしいことですが、長年のファンからは「あの本革特有の質感が恋しい」という声が上がったのも事実です。そこで注目されたのが、かつて生産されていた天然皮革の「スタンスミス ヴィンテージ」や、当時のディテールを再現した復刻モデルです。
ヴィンテージモデルには、現行の合皮モデルにはない「育てる楽しみ」があります。履き込むほどに自分の足に馴染み、シワが入り、色が深まっていく。まさに自分だけの一足を作り上げる感覚が、本物志向の大人たちを惹きつけて止まないのです。
知っておきたいスタンスミスの歴史と名作モデル
スタンスミスのルーツは1960年代にまで遡ります。もともとはフランスのテニスプレーヤー、ロバート・ハイレットの名を冠したモデルでしたが、1971年にアメリカのスター選手であるスタン・スミスが愛用したことで現在の名称になりました。
ヴィンテージ市場で神格化されているのは、やはり「フランス製(Made in France)」のモデルです。80年代頃までに作られていたフランス製は、シルエットが驚くほど細身で、つま先がクイッと上を向いた美しいフォルムが特徴。レザーの質も非常に高く、数十年経った今でも独特の光沢を放ちます。
また、2014年にスタンスミスが一時的な販売休止を経て復活した際の「2014年復刻版」も、今ではヴィンテージ的な価値を持ち始めています。品番で言うと「S75074」などが有名で、この時期のモデルはまだ上質な天然皮革が使われており、現行品よりもヴィンテージに近い風合いを楽しむことができます。
現行品とヴィンテージの決定的な違い
では、具体的に「普通のスタンスミス」と「スタンスミス ヴィンテージ」系モデルは何が違うのでしょうか。ポイントは大きく分けて3つあります。
まずは「アッパーの素材感」です。現行のリサイクル素材は均一で美しい白さが魅力ですが、ヴィンテージモデルの天然皮革は、よく見ると動物固有の毛穴やシボ感があります。履き込むと出る「深いシワ」は本革ならではの特権。また、ヴィンテージ風モデルは最初から少しクリーム色がかったオフホワイトを採用していることが多く、これがこなれた雰囲気を演出してくれます。
次に「シルエット」の違いです。ABCマートなどで見かける廉価版のモデルは、日本人の足に合うようややポッテリとした広めの作りになっています。対してヴィンテージやその復刻版は、シュッと細長い「ナローシルエット」。スラックスや細身のデニムに合わせた時の上品さが段違いです。
そして「ディテール」です。シュータン(ベロ)に描かれたスタン・スミス氏の似顔絵の線の細さ、ヒールロゴの「adidas」の文字の有無、ソールの厚みなど。細かすぎるこだわりかもしれませんが、この小さな積み重ねが全体の「オーラ」を作り出しています。
後悔しないためのサイズ選びと履き心地のコツ
スタンスミスのヴィンテージ系モデルを手に入れる際、最も注意すべきなのがサイズ感です。先ほどお伝えした通り、ヴィンテージモデルは現行品よりも「細身」に作られています。
普段、幅広のスニーカーに慣れている方がいつものサイズを選ぶと、小指が当たって痛くなってしまうことがよくあります。基本的には、普段履いているスニーカーよりも「ハーフサイズ(0.5cm)アップ」を選ぶのが定石です。
もしあなたが足幅の広い「幅広・甲高」タイプなら、思い切って1.0cmアップして、紐をギュッと絞って履くのがおすすめ。スタンスミスは紐の間隔が狭く(羽根が閉じた状態)見える方が、ヴィンテージらしい美しいシルエットが強調されます。
履き心地に関しては、最初は少し硬く感じるかもしれません。しかし、本革モデルであれば数週間履き続けるうちに、自分の体温と体重でレザーが伸び、驚くほど足にフィットしてきます。この「自分の足の形に変わっていく過程」こそ、ヴィンテージモデルを履く醍醐味と言えるでしょう。
ヴィンテージの質感を守るお手入れの極意
せっかく手に入れたスタンスミス ヴィンテージや本革モデル。長く愛用するためには、合皮モデルとは少し違ったケアが必要です。
天然皮革は乾燥に弱いため、汚れを落とした後は定期的に「保湿」をしてあげてください。靴用のデリケートクリームを薄く塗るだけで、レザーのひび割れを防ぎ、しなやかさを保つことができます。
また、ヴィンテージ感を大切にしたいなら「白くしすぎない」のも一つの手です。真っ白な消しゴムで汚れを落とすのも良いですが、ソールの少しの黄ばみやアッパーの履きジワを「味」として捉え、あえて過剰なクリーニングを控えることで、より深みのある表情に育っていきます。
雨の日はなるべく避けるのがベストですが、もし濡れてしまった場合は、中に新聞紙などを詰めて風通しの良い日陰でじっくり乾かしてください。急激な乾燥は革を傷める原因になります。
まとめ:スタンスミスのヴィンテージで足元に深みを
スタンスミスは、シンプルだからこそ奥が深いスニーカーです。誰にでも似合うけれど、ディテールにこだわることで、周りと一歩差がつく圧倒的な個性を放つことができます。
現行のリサイクルモデルのクリーンさも素敵ですが、歴史の重みを感じさせる本革の質感や、年月を経て自分だけの一足に育ったヴィンテージの佇まいは、やはり格別なもの。もし古着屋やネットショップで状態の良い「スタンスミス ヴィンテージ」を見つけたら、それは運命かもしれません。
一度その魅力に取り憑かれると、もう普通のスタンスミスには戻れなくなる。そんな魔力を持ったヴィンテージの世界を、ぜひあなたの足元で体感してみてください。大切に手入れをしながら履き続ければ、その一足は5年後、10年後、もっと素敵な表情を見せてくれるはずです。
最後になりますが、スタンスミスのヴィンテージを探す際は、ソールの減りだけでなく、革の状態やライニング(内側)の劣化もチェックすることをお忘れなく。あなたにとって最高の一足に出会えることを願っています。



