革靴の世界で「王道」と呼ばれる存在はいくつかありますが、その頂点に立つブランドの一つが**ジョンロブです。
そして、その中でもブランドを象徴するモデルがウィリアム**。
クラシックなダブルモンクストラップのデザインはもちろん、履き心地の良さに惹かれて愛用する人が後を絶ちません。
この記事では、実際の使用感を交えながら、ウィリアムの履き心地を徹底的に掘り下げていきます。
ジョンロブ「ウィリアム」とは？ブランドの象徴的モデル
まず、この靴がどういう背景を持つのかを簡単に整理しておきましょう。
ジョンロブは19世紀半ばにロンドンで創業し、「王の靴職人」と称されるほどの名門ブランド。
現在はパリに拠点を置き、ビスポークと既製靴の両輪で世界中にファンを持っています。
その中でも**ウィリアムは、1930年代にジョンロブ家の三代目「ウィリアム・ロブ」が自身のために作らせた靴がルーツ。
2本のストラップが特徴的なダブルモンクストラップシューズ**で、フォーマルにもカジュアルにも対応できる万能選手です。
そして何より、その「履き心地の完成度」が高く評価され、同ブランドの中でも不動の人気を誇っています。
履き心地の秘密①：木型（ラスト）の設計
ジョンロブの靴は、履き心地の要である木型（ラスト）の完成度が段違いです。
ウィリアムには主に9795ラストが使われており、踵から甲、つま先にかけての立体的なラインが秀逸。
履き口がわずかにくびれており、足を包み込むようにホールドしてくれます。
実際に足を入れると、踵が「ピタッ」と吸い付くような感覚があります。
歩行時も靴の中で足が遊ばず、しっかりと体重移動を支えてくれる。
まるでビスポーク（オーダーメイド）に近いフィット感を感じる人も多いほどです。
特に土踏まずから中足部にかけてのサポートが絶妙で、アーチが自然に持ち上げられるような感覚があります。
この「包み込まれるようなホールド感」が、ウィリアムの履き心地を語る上で欠かせない要素です。
履き心地の秘密②：重厚なのに柔らかいダブルソール構造
ウィリアムの構造的特徴として、多くのモデルがダブルソール＋グッドイヤーウェルト製法を採用しています。
一般的にはダブルソールというと「重い」「硬い」「返りが悪い」といった印象を持たれがちですが、ウィリアムはその常識を覆します。
履き始めこそやや硬さを感じますが、数日履くうちに中底のコルクが沈み、足の形に馴染んでいく。
沈み込むようにフィットしていく過程で、足裏全体を柔らかく支えるような感覚に変わります。
歩行時の返りもスムーズで、革底とは思えない軽やかさを感じられます。
重厚さと柔軟性を両立できているのは、素材の良さと職人の縫製技術があってこそ。
同じ構造でも他ブランドの靴とは、足を通した瞬間の安心感がまるで違います。
履き心地の秘密③：極上のカーフレザーとライニング
アッパーに使われる革は、きめ細やかで張りのあるカーフスキン。
ジョンロブが誇る革質の良さは、見た目の美しさだけでなく、履き心地にも直結しています。
厚みがありながらも柔らかく、履き込むほどに足の形に沿って自然に馴染んでいくのです。
さらにライニング（内側の革）も非常に滑らかで、素足で触れるとシルクのような感触。
履き始めから硬さを感じにくく、特に甲やくるぶし周りの当たりが優しいのが特徴です。
初めて履いた瞬間は「革の密度が違う」と感じるほどの高級感。
この革のしなやかさが、長時間の着用でもストレスを感じさせない理由の一つです。
実際の履き心地レビュー：歩行・長時間使用での印象
実際に一日履いて過ごすと、まず感じるのは「疲れにくさ」です。
ダブルソールの安定感と、踵のホールドが歩行中のブレを抑え、自然と姿勢が整います。
革靴特有の足裏の痛みや疲労感がほとんどなく、1〜2時間の外出なら快適に歩けるレベル。
履き始めは少しタイトに感じても、数回履くうちに驚くほど馴染みます。
土踏まずの部分が沈み込み、足と靴が一体化していく感覚は、他の既製靴ではなかなか味わえません。
特に「踵の浮きがない」「甲がしっかり押さえられる」と感じる人が多く、フィット感の高さが際立っています。
ビジネスで長時間立ちっぱなしの日や、出張などの移動が多い日でも、安心して履ける一足です。
ウィリアムを選ぶ際の注意点とサイズ感
ジョンロブのウィリアムは英国靴らしくやや細めの作りです。
普段同ブランドやチャーチ、クロケット＆ジョーンズなどを履いている人なら、同じサイズまたはハーフサイズ上が目安。
ワイズ（足幅）はEが基本で、甲高や幅広の人は試着を強くおすすめします。
履き口が高めに設計されているため、甲部分に少し圧を感じることもあります。
ただし、革が柔らかいため数回の着用で自然と馴染み、違和感はほとんど消えます。
購入直後はトゥ（つま先）スチールやラバーソールのハーフ貼りを施すことで、滑り防止と耐久性を確保すると良いでしょう。
こうした小さな工夫が、長期的な履き心地にもつながります。
履き心地を長く保つためのメンテナンス
革靴の履き心地は、ケア次第で大きく変わります。
ウィリアムのように上質な革を使った靴ほど、定期的な手入れが欠かせません。
- 履いた後はシューツリーを入れる：型崩れと湿気を防ぎ、フィット感を維持。
- 週に一度のブラッシングと保湿：表面のホコリを落とし、薄く乳化性クリームを塗る。
- ソールの点検を怠らない：ダブルソールは長持ちするが、返りが悪くなったら早めの修理を。
特にバッファローレザー仕様のモデルはスレや色落ちが出やすいため、保湿ケアをこまめに行うのがおすすめです。
丁寧に扱えば10年以上履き続けられ、履き心地もどんどん自分の足に馴染んでいきます。
ウィリアムの履き心地が「王道」と呼ばれる理由
ジョンロブ ウィリアムの履き心地を一言で表すなら、「緻密な設計と革の柔らかさが生む調和」です。
履いた瞬間の高揚感、歩くたびに伝わる安定感、そして履き込むほどに深まる愛着。
これらすべてが積み重なって「革靴の王道」と呼ばれる所以です。
他ブランドのダブルモンクと比べても、履き心地の完成度は明らかに高い。
スーツスタイルにも、デニムやチノとの組み合わせにもマッチし、オンオフ問わず活躍します。
価格は確かに高価ですが、それに見合う快適さと存在感を約束してくれる一足です。
まとめ：ジョンロブ ウィリアムの履き心地は唯一無二
ジョンロブ ウィリアムは、単なる高級靴ではなく「履き心地を追求した工芸品」です。
踵のホールド、アーチのサポート、革の柔らかさ、そして履き込むほどに深まる一体感。
どれを取っても隙がなく、長く付き合うほどに魅力が増していきます。
「本物の履き心地」を求める人にとって、ウィリアムはまさに理想的な選択肢。
履くたびに感じる快適さと風格は、まさしくジョンロブの哲学そのものです。
