革靴を選ぶときに一番気になるのは、見た目よりもむしろ「履き心地」ではないでしょうか。今回は、多くの革靴好きから支持を集めるブランド「ジャランスリワヤ（JALAN SRIWIJAYA）」の履き心地について、実際の使用感やサイズ選びのポイントをもとに詳しく解説していきます。ビジネスからカジュアルまで活躍する一足を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ジャランスリワヤとは？本格仕様を手頃に楽しめる革靴ブランド
ジャランスリワヤは、インドネシアにルーツを持つ老舗の靴メーカーが2003年に立ち上げたブランドです。創業者一族はもともと軍靴製造を手がけており、その後ヨーロッパで靴作りの技術を学び、本格的な製法を取り入れてきました。
最大の特徴は、ハンドソーンウェルテッド製法を採用している点。これは高級英国靴でも使われる伝統的な手縫い製法で、堅牢さとしなやかさを両立しています。本格的な製法ながら3万円台〜という価格で手に入ることから、「コスパ最強の本格革靴」と評されることも多いブランドです。
ジャランスリワヤの履き心地が「良い」と言われる理由
履き心地の良さを語るうえで欠かせないのが、靴内部の構造です。ジャランスリワヤの多くのモデルでは、インソール下にコルクが敷かれています。このコルク層が履くたびに少しずつ沈み、使用者の足型に合わせて形を変えていく仕組みです。履き込むほどに足に馴染み、まるでオーダー靴のようなフィット感が生まれるのが大きな魅力。
さらに、ハンドソーンウェルテッド製法の柔軟性により、足の屈曲に合わせて靴底が自然に曲がるため、長時間歩いても疲れにくいという声も多く見られます。レザーソール仕様は足あたりが柔らかく、ダイナイトソール仕様は滑りにくさとクッション性があり、用途や好みに応じて選べる点も人気の理由です。
履き始めは少し硬い？「馴染むまで」のリアルな体験談
ただし、ジャランスリワヤの靴は新品の状態ではやや硬めです。特に足の甲やワイズ（横幅）に“あたり”を感じるという声が少なくありません。これは革が厚く、しっかりとした作りだからこそ起こる現象です。
実際のレビューでも「最初の1週間は甲が痛かった」「足を入れるのに時間がかかった」という体験が多く語られています。しかし、この“硬さ”は履き続けることで徐々に解消されていきます。数週間から数か月ほどで革が柔らかくなり、コルクが沈んで足型に沿うようになると、ぐっと履きやすくなります。
この“育てる過程”こそ、革靴好きにとってはジャランスリワヤを選ぶ醍醐味でもあります。
フィッティングとサイズ感：初めはタイトが正解？
ジャランスリワヤのサイズ感については、「やや小さめ」「タイトめ」と言われることが多いです。普段スニーカーで履いているサイズより、ハーフ〜ワンサイズ下げて選ぶ人が多い傾向にあります。
ただし、注意が必要なのは“馴染み”の存在です。履き込むにつれてコルクが沈み、革が伸びてくるため、購入時に「ちょっときついかな」と感じるくらいがベストフィットになることが多いのです。最初から楽に履けるサイズを選ぶと、馴染んだ後に緩くなり、かかとが浮くなどのトラブルが起こる可能性があります。
一方で、甲高や幅広の足型の人は注意が必要です。ジャランスリワヤのラスト（木型）は全体的にシャープな形をしており、ワイズが細めに設計されています。甲部分が圧迫されるように感じた場合は、無理せずハーフサイズアップを検討しても良いでしょう。
モデル別に見る履き心地の違い
ジャランスリワヤには、クラシックなストレートチップからローファー、Uチップ、プレーントゥなど多様なモデルが展開されています。モデルごとに履き心地やフィット感も微妙に異なります。
- ジャランスリワヤ 98651（プレーントゥ）
ダイナイトソール仕様で、グリップ力と安定感が高いモデル。最初は硬めだが、3か月ほどでしっかり馴染むというレビューが多い。オン・オフ両方で使える万能選手です。 - ジャランスリワヤ 98998（ローファー）
履き口が狭めで、最初は甲の締め付けを感じることも。馴染むと快適なフィット感に変わる。サイズを上げすぎると踵が浮くため、ジャスト〜ややタイトめが推奨されています。 - ジャランスリワヤ 98317（ストレートチップ）
レザーソール仕様でドレッシーな印象。足あたりが柔らかく、ビジネスシーン向き。フォーマル寄りの一足を探す人に人気があります。
モデルによってラスト（木型）が異なるため、過去に履いたジャランスリワヤがジャストだったとしても、他モデルでは微調整が必要になる場合があります。
長く履くほど「味」が出る。経年変化とメンテナンス
ジャランスリワヤの魅力は、履き心地が時間とともに変化していく点にあります。履き始めの硬さを乗り越えたあとは、足に吸い付くようなフィット感へと進化。革の表情も徐々に深みを増し、色艶や皺の入り方に個性が出てきます。
また、ハンドソーンウェルテッド製法の靴は修理・オールソール交換も可能です。長く履き続けたい人にとって、この構造は大きなメリット。純正修理は費用がやや高めですが、信頼できる修理店を利用すれば、何年も現役で使い続けることができます。
一方で、使用者によっては中底のコルクが減りやすい・ソールからコルクが少し漏れるといった報告もあります。これは構造上の個体差によるもので、早期にメンテナンスすれば問題ありません。定期的にクリームで保湿し、湿気の多い日は連続着用を避けるなどのケアを心がけましょう。
こんな人におすすめしたいジャランスリワヤ
- 初めて本格革靴を購入したい人
- コストパフォーマンス重視で長く使いたい人
- 履き始めの硬さよりも、馴染んだ後の快適さを重視する人
- レザーの経年変化を楽しみたい人
逆に、「最初から柔らかく履きたい」「足入れの瞬間の快適さを求めたい」という人には、もう少しソフトなグッドイヤー製法の靴やイタリア系ブランドの方が合うかもしれません。
ジャランスリワヤは、手間をかけて育てるタイプの靴。最初は少し頑固でも、時間とともに応えてくれる一足です。
ジャランスリワヤの履き心地まとめ：硬さの先にある快適さ
ジャランスリワヤの履き心地は、「育てるほどに快適になる」という言葉に尽きます。最初はタイトで硬くても、履き込むうちに革が柔らかくなり、自分の足型にぴったりと馴染んでいく。その変化こそが、このブランドの最大の魅力です。
本格的な製法と上質な素材を備えながら、手の届く価格帯を維持している点も高く評価されています。サイズ選びに少し注意を払えば、長く愛用できる相棒になること間違いなし。
革靴を「履く」楽しみだけでなく、「育てる」楽しみも味わいたい人に、ジャランスリワヤの履き心地はぴったりです。
