オニツカタイガーと聞いて、まず思い浮かぶのは「日本生まれのスニーカーブランド」という印象でしょう。その中でもひときわ存在感を放っているのが「ジャパンメイド（NIPPON MADE）」シリーズです。
“メイド・イン・ジャパン”という言葉がこれほどまでに似合うスニーカーは、他にないかもしれません。この記事では、オニツカタイガーのジャパンメイドがなぜ特別なのか、その背景や魅力、実際に感じられる違いを深掘りしていきます。
オニツカタイガーが生まれた背景と「日本製」へのこだわり
オニツカタイガーは、1949年に創業者・鬼塚喜八郎氏が立ち上げた「鬼塚株式会社」がルーツです。
日本のスポーツシューズ発展の礎を築き、後にASICS（アシックス）として発展しました。
2002年に「オニツカタイガー」ブランドとして復活し、クラシックなデザインと現代のライフスタイルを融合させたスニーカーが世界中で人気を集めています。
そんな中で2008年に誕生したのが「NIPPON MADE」シリーズ。
名前の通り、すべての製造工程を日本国内で行う“真のジャパンメイド”です。
革の選定から染色、縫製、仕上げに至るまで、熟練の職人たちが手作業で一足ずつ仕立てています。
このシリーズは、単なる「日本製ブランドのアピール」ではなく、「日本のものづくり文化そのものを体現するライン」として位置づけられています。
職人が支えるNIPPON MADEの製造工程
オニツカタイガーのジャパンメイドは、鳥取県をはじめとする国内の工場で作られています。
大量生産ではなく、ひとつひとつを丁寧に仕上げる少量生産体制。
作業の多くは今でも職人の手に委ねられ、ミシンの縫い目、革の厚み、ステッチの角度など、細部まで徹底して品質管理が行われています。
使用されるレザーも厳選された日本製。
やわらかく、経年変化を楽しめる上質な天然皮革を採用し、履くほどに足に馴染むのが特徴です。
また、染色や加工も手作業で行われるため、同じモデルでも一足ごとに微妙な風合いの違いがあります。
それがNIPPON MADEならではの“唯一無二の表情”を生み出しています。
定番モデル「MEXICO 66 DELUXE」に見る完成度の高さ
ジャパンメイドを代表するのが「MEXICO 66 DELUXE」です。
オリジナルのMEXICO 66をベースにしながら、素材や仕上げをすべて日本製で統一。
シルエットはクラシックなのに、足を通した瞬間に分かる柔らかさと包み込むような履き心地が魅力です。
ステッチは細かく均一で、革靴のような精密さ。
靴の内側まで丁寧に処理され、長時間履いても疲れにくい設計になっています。
スニーカーというより、“革の工芸品”と呼ぶほうがふさわしい完成度です。
ほかにも、伝統的な藍染を取り入れた限定モデルや、手作業でエイジング加工を施したバージョンなど、NIPPON MADEラインには多彩なバリエーションが揃います。
「量産では生まれない個性」こそが魅力
NIPPON MADE の魅力は、見た目の美しさだけではありません。
それぞれの靴に、職人の手仕事が生み出す“わずかな違い”があります。
同じモデルでも革の表情や色の濃淡が異なり、まるで一点物のような存在感を放ちます。
これは機械による大量生産では決して再現できない味わいです。
オニツカタイガーが掲げる「タイムレスな美しさ」という言葉は、まさにこの個体差にこそ宿っています。
履き込むほどに革が柔らかくなり、足の形に馴染み、色艶が深まる――。
時間とともに変化していく過程そのものが“ジャパンメイドの魅力”です。
高価格帯でも支持される理由
ジャパンメイドのスニーカーは、一般的なオニツカタイガーのモデルと比べると価格が高めです。
しかし、それを補って余りある価値があります。
単に「日本で作られている」からではなく、品質・デザイン・履き心地のすべてがプレミアムラインとして確立されているからです。
また、修理やメンテナンスも国内で対応可能なため、長く愛用しやすいのもポイント。
一度購入すれば数年単位で履ける耐久性を備えており、使い捨てではなく“育てていく靴”としての魅力があります。
最近では海外のスニーカーファンの間でも「Made in Japanのスニーカー」として注目されており、特にヨーロッパ市場ではコレクターアイテムのような扱いを受けています。
「日本のものづくり」を世界に発信するブランド戦略
オニツカタイガーは、NIPPON MADEシリーズを単なる商品ラインではなく、ブランドの哲学として展開しています。
“日本の職人技を現代に継承し、世界に届ける”という明確なコンセプトのもと、東京・表参道にはNIPPON MADE専門のコンセプトストアを設置。
ここでは限定モデルや特注カラーなど、他では手に入らないモデルも展開されています。
グローバル化が進む中で、多くのブランドがコスト重視で海外生産へ移行する一方、オニツカタイガーはあえて「日本製」にこだわり続けています。
この姿勢こそが、世界中のファッションユーザーやスニーカーファンから信頼を集める理由です。
ジャパンメイドを選ぶときの注意点
一方で、ジャパンメイドは高級志向ゆえにいくつかの注意点もあります。
- 天然素材を使用しているため、革の質感や色味に個体差がある
- メンテナンスを怠ると革が硬化する場合がある
- サイズ展開が限られているモデルも多い
- 在庫が少なく、再入荷まで時間がかかることがある
これらは“手仕事の証”でもあり、個性として楽しむのがジャパンメイドを愛するコツです。
また、購入の際は正規販売店や公式オンラインストアを利用し、品質保証を受けられるルートで手に入れるのがおすすめです。
オニツカタイガーが描く「次のジャパンメイド」
2025年には、アシックスグループの国内生産拠点が再編され、「オニツカ イノベーティブファクトリー株式会社」が設立される予定です。
これは、今後も日本での靴づくりを継続し、より革新的な技術を取り入れながら生産体制を強化していくための新しい一歩。
つまり、ジャパンメイドは一過性のプロジェクトではなく、ブランドの中核として進化し続ける存在なのです。
これにより、品質や供給体制がさらに安定し、より多くのファンが日本製スニーカーの魅力を体感できるようになるでしょう。
まとめ：オニツカタイガーのジャパンメイドが示す本物の価値
オニツカタイガーのジャパンメイドは、単なる高級スニーカーではありません。
日本の職人が素材と向き合い、技術を磨き、一足一足を丁寧に仕上げる――。
そこには“靴を作る”という行為を超えた、文化と哲学があります。
履き心地、質感、見た目、どれを取っても特別。
そして履くほどに愛着が湧き、自分だけの一足に育っていく。
それが、オニツカタイガーが世界に誇る「ジャパンメイド」の真価です。
今、スニーカーを選ぶ基準が“流行”から“本物”へと移り変わりつつある時代。
そんな中で、オニツカタイガーのジャパンメイドは「日本のものづくりの美しさ」を象徴する存在として、これからも多くの人の足元を彩っていくことでしょう。
