日本発のスニーカーブランド「オニツカタイガー」。国内でも根強い人気を誇りますが、近年はむしろ“海外での評価”が急上昇しています。
では、なぜ今、オニツカタイガーが世界中で注目されているのでしょうか？
この記事では、ブランドの歴史やデザインの特徴、海外ファンが魅了される理由をグローバルな視点で掘り下げていきます。
長い歴史とストーリーが生む“信頼と本物感”
オニツカタイガーの始まりは1949年。創業者・鬼塚喜八郎氏が「スポーツを通じて青少年を健全に育成したい」という理念から立ち上げたのが原点です。
当時はバスケットボールシューズの製造から始まり、その後は陸上競技用、ランニング用など、多様なスポーツシューズを開発。
オリンピック選手にも愛用され、戦後日本を代表するスポーツブランドとして名を広めました。
この“スポーツの実績”という土台が、海外での信頼を強く支えています。
単なるファッションブランドではなく、実際にアスリートが認めた機能性を持つという事実が、「本物を選びたい」海外ユーザーの心をつかんでいるのです。
レトロで洗練されたデザインが世界に刺さる
オニツカタイガーのスニーカーは、細身でシャープなシルエットが特徴。
クラシックでありながら、どこかモダンな印象を与えるデザインは、レトロブームが再燃するファッションシーンにもぴったりです。
特に人気モデル「MEXICO 66」は、1960年代のトレーニングシューズをベースにしており、オニツカタイガーを象徴する一足。
海外のセレブやファッショニスタの間でも、“レトロなのにスタイリッシュ”と高い評価を受けています。
色使いも絶妙です。ホワイトやベージュなどのベーシックカラーから、ビビッドなイエローやブルーまで、服装や性別を問わずコーディネートしやすい。
この“シンプルだけど個性的”なデザインが、ファッションの多様性を尊重する海外カルチャーに自然に溶け込んでいます。
“機能美”という日本らしさが支持される理由
世界のファンが口をそろえて言うのが、「履き心地がいい」という点。
薄底で軽量、それでいて耐久性が高い。長時間歩いても疲れにくく、旅行や通勤にも最適です。
この機能性の背景には、日本の職人技があります。
ソールや縫製など、細部まで丁寧に作り込まれており、“Made in Japan”の信頼を体現している存在。
海外では「日本製＝高品質」「繊細で壊れにくい」というイメージが定着しており、オニツカタイガーはその象徴的存在となっています。
また、過剰な装飾を排したデザインは、日本の美学「引き算の美」に通じます。
華美ではないけれど、使い込むほどに味わいが増す。
この静かな美しさこそが、海外のファッション愛好家が“日本らしさ”として感じ取っている部分です。
世界のトレンドと共鳴するブランド戦略
2000年代以降、世界では“クラシックスニーカー回帰”が進行。
厚底やハイテク系とは対照的に、シンプルで軽やかなスニーカーが見直されるようになりました。
このトレンドに完璧にマッチしたのが、オニツカタイガーです。
さらに、ブランド自体もスポーツブランドからライフスタイルブランドへと進化。
スニーカーだけでなく、アパレルやバッグ、アクセサリーまでを展開し、ファッション全体を提案する存在になりました。
ファッションウィークへの参加や、海外アーティストとのコラボなど、グローバルなブランディングも積極的に行っています。
結果として、“スポーツブランド”から“カルチャーブランド”へと印象を変え、幅広い層から支持を集めています。
SNS時代に広がる“さりげないおしゃれ”の象徴
海外での人気を後押ししているのが、SNSの存在です。
InstagramやTikTokなどでは、オニツカタイガーのスニーカーを使ったコーデ投稿が急増。
派手ではないけれど、街に馴染む“リアルなおしゃれ”の象徴として注目を集めています。
特にZ世代やミレニアル世代にとって、「人と被らない」「ブランドロゴが主張しすぎない」という要素は重要。
オニツカタイガーの控えめなデザインは、まさにその感覚にフィットしています。
加えて、海外観光客が日本で購入したスニーカーを帰国後に紹介するケースも多く、インバウンド需要が自然な口コミ拡散につながっています。
“日本で買った本物のブランド”という体験が、ブランドロイヤリティをさらに高めているのです。
売上が物語る、グローバルでの存在感
2024年には、オニツカタイガーの世界売上が前年比50％以上も伸び、過去最高を記録しました。
この数字は、単なる流行ではなく、ブランドが本格的に世界市場に定着しつつあることを示しています。
欧米やアジア各地で直営店が増加しており、特にパリ・ロンドン・バンコクなどの都市部では、ファッションブランドとしての地位を確立。
海外のファッション誌でも“Japanese Heritage Brand（日本の伝統的ブランド）”として特集されるなど、文化的価値としての認知も高まっています。
“控えめな強さ”こそ世界が惹かれる理由
オニツカタイガーが海外で愛される理由を一言で表すなら、“控えめな強さ”です。
主張しすぎないデザイン、確かな品質、そして誠実なブランド姿勢。
それらが国や文化を越えて共感を呼んでいます。
「履いている人の個性を引き立てる靴」であること。
それが、オニツカタイガーが他のスニーカーブランドと一線を画すポイントです。
大量生産・大量消費の時代にあっても、丁寧に作られた一足を長く愛用するスタイルは、今の時代にこそ響きます。
オニツカタイガーが海外で人気の理由とは？まとめ
オニツカタイガーが海外で人気を集めている背景には、いくつもの要素が重なっています。
- 戦後から続く長い歴史と信頼
- レトロで洗練されたデザイン
- 日本製ならではの高品質と機能美
- 世界のトレンドと調和したブランド戦略
- SNSやインフルエンサーによる自然な拡散
- “さりげないおしゃれ”を好む若い世代との親和性
派手な宣伝や奇抜なデザインではなく、“静かな存在感”でファンを増やしてきたオニツカタイガー。
これからも世界中で、“日本の美意識を纏うスニーカー”として歩み続けることでしょう。
