アシックスのスパイクの中でも、とくに「軽さ」と「フィット感」で注目を集めているのが アシックスXフライプロ（ASICS X-FLY PRO）。多くのサッカープレイヤーが愛用し、スピードとテクニックを両立できるモデルとして支持を集めています。
この記事では、その特徴を一歩踏み込んで検証し、なぜこのモデルが“軽いのに足に吸い付くような履き心地”を実現しているのかを解き明かします。
軽量化と剛性を両立する独自ソール構造
アシックスXフライプロの最大の魅力は、やはりその驚異的な軽さにあります。実際に手に取ると「これでスパイク？」と思うほどの軽量設計。アシックスはこのモデルにおいて、ソール（アウトソール）部分を中心に徹底的な軽量化を施しています。
ソール素材には高剛性ナイロンと軽量ウレタンを組み合わせ、必要な箇所のみに厚みを持たせることで、**“軽くてもブレない”**構造を実現。中足部にはN字型の補強構造を導入し、スプリント時のねじれを防止しています。
また、スタッドの配置も地面のグリップと蹴り出し効率を考えた設計になっており、走り出しの一歩が軽く速い。とくに加速局面では、この剛性とグリップのバランスが大きく作用します。
この“ソール剛性の最適化”によって、軽さと安定性を同時に保つことができ、加速時のエネルギーロスを極限まで抑えることができるのです。
新素材「SILKYWRAP」による柔らかなフィット感
アッパーには、アシックスが独自に開発した**SILKYWRAP（シルキーラップ）**という新素材が採用されています。
この素材は人工皮革ながら、まるで天然皮革のような柔らかさと伸縮性を兼ね備え、履いた瞬間から足に馴染むのが特徴。初めての試合でも、まるで長く履いていたかのようなフィット感を得られます。
さらに、SILKYWRAPは通気性と耐久性にも優れており、長時間のプレーでも蒸れにくく、形状が崩れにくい構造です。
従来の天然皮革スパイクにありがちな「水分で重くなる」「硬化する」といった問題を解消し、軽さと柔軟性の両立を実現しています。
ボールタッチ性能と“素足感覚”の関係
フィット感が高いということは、同時にボールタッチの正確さにも直結します。
アシックスXフライプロのアッパーは、足全体に均一に密着するよう設計されており、プレー中のわずかな足の動きもそのままボールに伝えることができます。これにより、ドリブルやパス、シュートの感覚がダイレクトに伝わる“素足感覚”を得ることができるのです。
特筆すべきは、足の甲からつま先にかけての柔軟な屈曲性。ボールを蹴る瞬間の形状変化を自然に追従し、蹴り出しをサポートします。
結果として、軽快さ・タッチの柔らかさ・安定した蹴り出しという3要素が見事に噛み合っています。
モデル進化でさらに磨かれた履き心地 ― Xフライプロ3へ
初代アシックスXフライプロから始まり、2代目・3代目と進化を重ねる中で、フィット感や軽量性はさらに洗練されました。
最新の Xフライプロ3 では、アッパー構造の縫製が見直され、足を包み込むような一体感が増しています。また、ヒール部分には内蔵型カウンターが組み込まれ、かかとの安定性を確保。スプリント中の足のズレを防ぎ、靴と足の一体感をさらに高めています。
これにより、長時間のプレーでも足の疲労が溜まりにくく、終盤でも安定した動きを維持できるようになっています。
スピードプレイヤーのための設計思想
アシックスXフライプロは、明確にスピードを武器にするプレイヤーをターゲットにしています。
ウィングやサイドアタッカー、カウンター重視のフォワードなど、瞬間的な加速と俊敏な切り返しが求められるポジションで真価を発揮します。
一方で、体のぶつかり合いが多いセンターバックやボランチのような守備的ポジションでは、もう少し剛性とホールド力が高いモデルを好む選手もいます。
つまり、アシックスXフライプロは“軽快な攻撃的プレー”に特化した設計思想を持つスパイクと言えるでしょう。
使用環境と注意点
軽量性を優先しているため、アシックスXフライプロのソールは天然芝や柔らかめの土グラウンドでの使用を想定しています。
硬い地面や人工芝ではスタッドが深く刺さりにくく、グリップが過剰になる場合があります。そのため、人工芝用モデルを併用するのが理想的です。
また、軽量スパイク全般に言えることですが、耐久性は高剛性モデルよりやや劣ります。練習・試合を分けて使うことで、シューズの寿命を延ばすことができます。
他モデルとの比較 ― Xフライ4との違い
Xフライシリーズの中でもよく比較されるのが Xフライ4。
両者の違いを簡潔にまとめると次の通りです。
- アシックスXフライプロ：屈曲性と素足感覚重視。軽く、より柔らかい履き心地。
- Xフライ4：剛性・安定性重視。足裏の接地感と反発力が強い。
つまり、軽快さを求めるならプロ、安定性を求めるなら4、という住み分けになります。
どちらもアシックスらしい日本人の足型設計を採用しているため、足へのなじみやすさは共通しています。
プレイヤーのリアルな評価
実際に使用しているプレイヤーのレビューでは、次のような声が多く見られます。
- 「履いた瞬間から柔らかく、すぐ試合で使える」
- 「軽いのにグリップがしっかりしていて、加速がスムーズ」
- 「後半になってもフィット感が変わらず、足が疲れにくい」
- 「ボールタッチが繊細で、感覚がつかみやすい」
一方で、守備的ポジションの選手からは「もう少し剛性が欲しい」「耐久性が控えめ」という意見も。
ただし全体としては、スピード系スパイクとしての完成度が非常に高いと評価されています。
アシックスXフライプロが選ばれる理由 ― 軽量性とフィット感の融合
ここまで見てきたように、アシックスXフライプロの真価は「軽量化」「剛性」「フィット感」「ボールタッチ性能」という4要素の絶妙なバランスにあります。
軽さを追求すれば通常は安定性が失われがちですが、このモデルはソール設計と素材選定の工夫によってそのジレンマを見事に解消しています。
結果として、スピード・技術・快適性をトータルで引き上げる“完成度の高いスパイク”に仕上がっています。
日本人の足型に合わせたアシックスの設計哲学も、この自然なフィット感を支える大きな要因でしょう。
アシックスXフライプロの性能を検証！軽量性とフィット感の秘密をもう一度
最後にもう一度、アシックスXフライプロの魅力をまとめます。
- アウトソールの軽量剛性構造で、圧倒的な軽さと加速力を両立
- SILKYWRAPアッパーが生み出す柔らかいフィット感と素足感覚
- ヒールの安定性や足の一体感も向上し、長時間プレーでも快適
- スピードを武器にするプレイヤーに最適な設計思想
もしあなたが「軽くて速いスパイク」「ボールタッチが自然な一足」を探しているなら、**アシックスXフライプロ**は間違いなく候補に入るモデルです。
その軽量性とフィット感の秘密は、アシックスの長年の研究とプレイヤーへの深い理解に裏打ちされています。
