ランナーの間で話題を集めている「アシックスMAGIC SPEED 4」。シリーズの中でも人気の高いモデルが、2024年に満を持してリニューアルされました。この記事では、前作「MAGIC SPEED 3」との違いや、進化したクッション性、実際の使用感を詳しく紹介します。これから購入を検討している方、またはカーボンシューズに初挑戦したいランナーに向けて、最新の情報をわかりやすくまとめました。
MAGIC SPEEDシリーズとは？
MAGIC SPEED（マジックスピード）は、アシックスが展開するカーボンプレート搭載のランニングシューズシリーズです。上位モデルの「METASPEED EDGE PARIS」シリーズと同様に推進力を生む構造を採用しつつ、価格や使いやすさを重視した“ミドルレンジ・レーシングモデル”として人気があります。
MAGIC SPEED 4（以下MS4）は、スピードトレーニングからレース本番まで幅広く使える「万能型カーボンシューズ」として設計されています。価格は18,700円（税込）。メンズは24.5〜32cm、ウィメンズは22.5〜26.5cmとサイズ展開も幅広く、スタンダードとワイドの2タイプを用意。初めてカーボンシューズを履くランナーにも親しみやすい一足です。
前作MAGIC SPEED 3との違い
新モデルMS4は、前作から大幅なアップデートが施されています。特に注目すべきは、ミッドソール構造、クッション素材、アッパーの改良です。それぞれを順に見ていきましょう。
1. ミッドソールの厚底化
まず目を引くのは厚底化。ヒール高は約43.5mm、フォアフット約35.5mmと、前作より約5mm厚くなっています。これによりクッション性と安定性が向上。長距離ランでも脚への負担が軽減され、10km〜フルマラソンまで対応できる懐の深さが魅力です。
厚底化による恩恵は、単なる“柔らかさ”だけではありません。着地から蹴り出しまでの流れが滑らかになり、走行中の疲労感が減少。特にフルマラソン後半で脚が残りやすくなるという声も多く聞かれます。
2. 新素材「FF TURBO」の採用
MS4最大の進化は、アシックスが上位モデルでも採用している高反発素材「FF TURBO」を搭載したこと。前足部にこの素材を配置することで、蹴り出し時の推進力が一段と高まりました。
前作のFlyteFoam Blast+に比べ、より“弾む”感覚が強調され、スピードに乗りやすい印象。とはいえ反発が強すぎず、コントロールしやすい反応感に調整されています。爆発的なスプリング感よりも、自然な推進をサポートするタイプです。
3. カーボンプレートの配置変更
MS4にはフルレングスのカーボンプレートが内蔵されています。プレートの硬度と配置を最適化することで、スムーズなロッカー形状を形成。蹴り出しの瞬間に前方向への移動エネルギーが効率的に伝わるように設計されています。
結果として、MS3よりも「着地→離地」の流れが自然で、脚の疲労を抑えつつスピードを出せるようになりました。特にテンポ走やビルドアップ走では、この変化を体感しやすいでしょう。
4. アッパー構造の刷新
アッパーは通気性と軽量性に優れたエンジニアードメッシュを採用。タンとサイドを一体化した設計により、フィット感が向上しています。締め付け感を抑えつつも、足全体を包み込むようなホールド感が特徴です。
MS3では一部のランナーから「ややタイトでレーシーすぎる」との声もありましたが、MS4では快適性と安定性のバランスが取れています。夏場のトレーニングでも蒸れにくく、長時間走行でもストレスが少ない設計です。
クッション性と安定性の進化
MAGIC SPEED 4の大きな魅力は、クッション性と安定性の両立にあります。
新素材FF TURBOにより着地時の衝撃が軽減され、地面からの反発がスムーズに伝わるようになりました。加えて、厚底構造と広めの接地面が安定感を生み出しています。
特に中足部から踵にかけてのブレが少なく、足裏全体でしっかり地面をとらえられるため、長距離やロングジョグでも安心して使えます。グリップ性の高いアウトソールパターンもその安定感を後押ししています。
この安定感の高さは、初心者ランナーにも大きなメリットです。フォームが多少乱れても接地が安定し、足の横ブレや膝のねじれを抑えてくれるため、怪我の予防にもつながります。
実際の履き心地と走行レビュー
複数のランナーによる試走レビューを総合すると、MS4の履き心地は「柔らかくも反発のある自然な感触」という意見が多く見られます。
前足部の蹴り出しが軽快で、テンポ走やビルドアップ走などリズムを刻むトレーニングで真価を発揮。クッションが厚くても沈み込みすぎず、スムーズに前へ転がる感覚が得られます。
さらに、足への負担軽減効果も顕著。長時間走っても脚の疲労が少なく、翌日のリカバリーも早いという声も多いです。サブ4前後を目指すランナーからは「レース本番でも十分使える」との高評価。一方、サブ3を狙う上級者からは「反発がマイルド」との意見もあります。
つまり、爆発的な加速を求める上級者よりも、「安定して速く走りたい」中級ランナーに最適なチューニングが施されていると言えるでしょう。
注意点と弱点
万能なMAGIC SPEED 4ですが、いくつか注意点もあります。
- 重量増加
厚底化により重量は前作よりやや増加。26.5cmで約230g前後となり、超軽量レーシングシューズと比べるとわずかに重さを感じるかもしれません。ただし、実走では安定感と反発のバランスが良く、重さはほとんど気にならないという意見が多数です。 - 爆発的な反発は控えめ
ナイキのヴェイパーフライのような“跳ねる感覚”を期待すると物足りなさを感じることも。MS4は安定性重視の設計で、あくまで「自然な推進感」を重視しています。 - 用途の選定が重要
あまりに遅いジョグやリカバリーにはやや硬さを感じるため、テンポ走〜レースペースで使用するのがベスト。ジョグ用にはノヴァブラストなどの柔らかいモデルとの併用がおすすめです。
MAGIC SPEED 4がおすすめのランナー
MS4は幅広い層のランナーに対応しますが、特に次のような人におすすめです。
- 初めてカーボンプレートシューズに挑戦したい人
- サブ4〜サブ3.5を目指している市民ランナー
- レースと練習を1足でこなしたい人
- フルマラソン後半でも脚を残したい人
- クッション性とスピードの両方を求めるランナー
トレーニング、レース、テンポ走といった多様なシーンで活躍する「万能カーボン」として、1足持っておいて損のないモデルです。
他モデルとの比較
より速さを追求するなら「METASPEED EDGE PARIS」や「METASPEED SKY PARIS」が上位に位置します。これらは軽量で反発力も強い一方、扱いが難しく脚への負担も大きめです。
MAGIC SPEED 4はそれらの“弟分”として、扱いやすさと安定性を重視した設計。練習でも気兼ねなく使える耐久性があり、コストパフォーマンスにも優れています。
まとめ：MAGIC SPEED 4は「初めてのカーボン」に最適な万能型レーサー
アシックスMAGIC SPEED 4は、前作から大幅に進化した万能型カーボンシューズです。厚底化と新素材FF TURBOによる快適なクッション性、安定した推進力、そして高い汎用性。これらすべてがバランスよく融合しています。
「速さ」と「やさしさ」を両立したこのモデルは、カーボンプレートシューズを試してみたいランナーにぴったり。日々の練習からレース本番まで、あらゆるシーンで頼れる一足です。
アシックスMAGIC SPEED 4の最新情報まとめ
2025年時点でもMAGIC SPEED 4は、アシックスのカーボンラインの中核モデルとして高評価を維持しています。今後のシリーズ展開にも期待が集まる中、このモデルは“バランス型カーボンシューズ”という新しいスタンダードを築きつつあります。
進化したクッション性、扱いやすい反発、安定感のある走り。アシックスMAGIC SPEED 4は、まさに“速く・楽しく・長く走る”を実現する一足です。
