サッカーやフットサルをプレーする人なら、一度は耳にしたことがある「アシックス DS LIGHT X-FLY」シリーズ。その中でも最上位に位置づけられる「アシックス DS LIGHT X-FLY PRO 3」は、2024年から2025年にかけて登場した注目の新モデルです。前作からどう進化したのか、どんなプレーヤーに向いているのか。この記事では、実際の構造・素材・履き心地を踏まえて、その違いをじっくり解説します。
Xフライプロ3とはどんなスパイクか
「Xフライプロ3」は、アシックスが展開するスピード系スパイク「DS LIGHT」シリーズのハイエンドモデル。特徴は“素足感覚”と“軽さ”、そして「速さ」を追求した設計です。アシックスが長年培ってきた日本人向けのラスト（木型）をベースにしながらも、グローバルなプレースタイルの変化に対応するため、素材・構造の両面で進化しています。
価格帯はおおよそ2万円台前半。国内ではJリーグ選手や大学サッカー部員など、スピードを武器とするプレーヤーを中心に人気を集めています。
新素材「SILKYWRAP」でフィット感が劇的に進化
アシックス DS LIGHT X-FLY PRO 3最大のトピックが、アッパー素材の刷新です。従来の天然皮革や一般的な人工皮革に代わって採用されたのが、新開発の「SILKYWRAP（シルキーラップ）」。
この素材は、履いた瞬間から足に吸い付くようにフィットし、柔らかく足なじみが早いのが特徴です。試合中の後半まで形状が安定し、シューズの中で足がずれにくいというレビューも多く見られます。
また、天然皮革に比べて水分を吸収しにくいため、雨天や湿ったピッチでも重くならず、常に一定の履き心地を維持できるのも大きなメリットです。
これまで「レザーじゃないとフィットしない」と感じていたプレーヤーも、この素材の滑らかさに驚くはずです。まさに“次世代の人工皮革”と呼ぶにふさわしい仕上がりです。
加速力を高める新ソール構造とスタッド配置
アシックスは今回、アウトソールの構造にも大きな手を入れました。ソール中央部を“N字型”に設計し、接地時のねじれを抑制することで、蹴り出し時の推進力をアップ。これにより、縦方向への加速や切り返し動作での安定性が向上しています。
さらに、スタッド配置も再設計。つま先寄りの列にはブレード形状に近いスタッドを採用し、地面を噛む感覚を強化。瞬時のスプリントや方向転換において、グリップの安定感が前モデルより明らかに高まっています。
軽量性を維持しながらも、地面との接地感をしっかり感じられるバランス設計。スピードを武器にするウィングやサイドバックには、まさに理想的なチューニングといえます。
前作アシックス DS LIGHT X-FLY PRO 2からの主な変更点
前作との比較で特に注目すべきは、以下の3点です。
- アッパー素材：従来の人工皮革からSILKYWRAPに変更。足あたりの柔らかさとフィット感が格段に向上。
- アウトソール構造：フルレングスプレートから前足部中心の設計へ。屈曲性が高まり、地面を掴む感覚が自然に。
- ヒール構造：踵のホールド感を高め、長時間履いても足が浮きにくい構造に改善。
これにより、前作で一部プレーヤーが指摘していた「硬さ」「足なじみの遅さ」「屈曲しづらさ」といった弱点がしっかり解消されています。
特に履き心地の柔らかさと屈曲の自然さは、実際に履いた瞬間に体感できるほどの進化。アシックス DS LIGHT X-FLY PRO 3シリーズの中でも、最も快適性とスピード性が両立されたモデルといえるでしょう。
履き心地とフィット感の印象
インソールの構造やシューレース周りも見直され、足を包み込むような密着感を実現。長時間のプレーでも足の甲や小指の付け根にストレスを感じにくく、シューズ全体が「足と一体化」するような感覚があります。
ヒールカップも柔らかい素材で構成されており、かかとへの食い込みが少ない一方で、ホールド感は十分。足首の可動域を損なわない絶妙な設計です。軽量スパイクにありがちな「安定性不足」も、アシックスらしい作り込みでしっかり補われています。
スピード系プレーヤーに最適な理由
アシックス DS LIGHT X-FLY PRO 3は、アシックスが“スプリント性能”を最優先に開発したモデルです。ソールの剛性バランスやスタッド配置により、加速と減速を繰り返すシーンでのレスポンスが非常に高いのが特徴。
- 縦への突破を得意とするウィング
- 短距離ダッシュが多いサイドバック
- 素早い反転や切り返しを多用するアタッカー
こうしたポジションで、軽さとグリップの両立を求めるプレーヤーには最適です。逆に、フィジカルコンタクトの多いセンターバックやボランチには、もう少し安定感のあるモデルの方が合う場合もあります。
プレースタイル別のおすすめポイント
攻撃型プレーヤー向け
軽さと蹴り出しの速さが最大の魅力。ボールタッチの繊細さも感じられ、トラップやドリブル時の反応が鋭くなる印象。
守備型プレーヤー向け
軽さと屈曲性を重視しつつ、安定性も確保されているため、スピードを生かした守備に適しています。ただし、タックル中心のプレーでは耐久性よりも俊敏性を優先する設計です。
アマチュア〜学生プレーヤー向け
履き始めから足に馴染みやすく、練習用・試合用の兼用にも適しています。履き慣らし期間が不要なので、初めてのスパイク選びにも向いています。
評判と実際の使用感
ユーザーからの評価を見ると、特に「履いた瞬間の柔らかさ」と「軽さ」に関する高評価が目立ちます。天然皮革のような自然なタッチ感を持ちながら、メンテナンスが簡単で耐水性も高い点が好評。
一方で、「軽さ優先ゆえに耐久性がやや心配」という意見もありますが、通常の練習・試合レベルでは問題なく使用できるとの声が多いです。
グリップ感についても、前作に比べて地面を掴む力が増し、スプリントやストップ時の反応がスムーズ。芝・人工芝どちらの環境でも高い安定感を感じるプレーヤーが多い印象です。
購入時に意識したいポイント
- サイズ感：他のアシックススパイクと同様、標準的な日本人足型を基準にしており、普段履きスニーカーとほぼ同サイズで問題ないことが多い。
- グラウンド適性：天然芝・人工芝での使用に最も適している。荒れた土グラウンドではスタッドが刺さりにくく、やや滑りやすい傾向がある。
- 用途別選択：練習用にも使えるが、軽量設計のため、消耗を抑えるなら試合用として使うのがベスト。
また、前作と履き比べる場合は、アッパーの柔らかさと屈曲の自然さを特に注目すると違いが分かりやすいでしょう。
Xフライプロ3が示すアシックスの新方向性
アシックスはこれまで「安定性」や「フィット感」を重視するブランドという印象が強くありました。しかしアシックス DS LIGHT X-FLY PRO 3は、明確に“スピード特化型”へ舵を切ったモデル。グローバルスタンダードな試合展開に合わせ、軽さ・反応性・フィット性を総合的に進化させています。
その結果、国内だけでなく海外プレーヤーにも評価されるようになり、日本ブランドとしての新たな立ち位置を築きつつあります。まさに「日本的な快適性 × 世界基準のスピード性能」を融合した一足です。
アシックス DS LIGHT X-FLY PRO 3の進化を体感しよう
Xフライプロ3は、軽さ・フィット感・加速力のバランスが非常に高く、現代サッカーのスピード志向にしっかり対応したモデルです。
雨天にも強い新素材アッパー、前足部重視のソール構造、柔らかく安定した履き心地。これらすべてが、試合中の瞬発力と安定感を両立させています。
「より速く」「より自然に」プレーしたい人にとって、確かなアップデートを感じられる一足。アシックス DS LIGHT X-FLY PRO 3は、スピードプレーヤーに新しい選択肢を与える革新的なスパイクといえるでしょう。
