「ジャンプ力をもう一段階引き上げたい」「打点を高く安定させたい」。そんな願いを持つバレーボールプレーヤーに向けて登場したのが、アシックスのハイエンドモデル「アシックス メタライズ 2」。
この記事では、前作「アシックス メタライズ」からどのように進化したのか、どんな選手におすすめなのかを、実際の技術構造や着用者の声をもとにわかりやすく解説していく。
メタライズシリーズとは?高く跳ぶための特化設計
アシックスの「アシックス メタライズ」は、バレーボールの中でも特にジャンプが勝負を分けるポジション、たとえばアウトサイドヒッターやミドルブロッカー向けに開発された“ジャンプ特化型シューズ”。
軽さよりも「高さ」を優先する構造が特徴で、初代モデルは登場当初から「これまでにないジャンプサポート力」と話題になった。
その秘密は、ミッドソールに搭載された高反発素材「FLYTEFOAM PROPEL」と、踏み込みの力を垂直方向に逃さず伝える「RISETRUSS」構造。
この組み合わせが、ジャンプのエネルギーロスを抑え、まるでトランポリンのような反発感を生み出していた。
ただし、初代モデルは剛性が高く重量もあり、扱いには筋力と体幹の強さが必要とされた。「高く跳べるが、脚力がないと扱いづらい」という声もあり、上級者向けの印象が強かったのも事実だ。
メタライズ 2で進化したポイント
1. 反発とクッションの両立 ― FF BLAST PLUS ECO フォーム
アシックス メタライズ 2で最も大きく進化したのがミッドソール素材。
新たに「FF BLAST PLUS ECO」フォームが採用され、反発力とクッション性が両立された。
従来よりも軽く、着地時の沈み込みが減少。跳躍後の衝撃を柔らかく吸収しつつ、踏み込み時のエネルギーを素早く上方向へ返す構造になっている。
このフォームはアシックスのランニングシューズにも採用されており、環境負荷を抑えつつ高性能を実現した最新素材。エコ素材ながら性能面では妥協がなく、より快適なジャンプ動作を支える。
2. カーボン樹脂プレートの搭載 ― 垂直方向への力を最大化
アシックス メタライズ 2には新たにカーボン樹脂プレートが内蔵された。
このプレートは、踏み込み時に発生するエネルギーを効率よく分散し、垂直方向の推進力へ変換する役割を果たす。
ジャンプ直前の一瞬の力を逃さず、無駄なく上へ押し出す設計だ。
さらに、つま先部分のカーブ形状も最適化。重心移動がスムーズになり、「踏み切る→浮く」までの流れがより自然に。
ジャンプの“タイミングが合いやすい”という感覚を得やすい仕様となっている。
3. MONO-SOCK構造によるホールド性の向上
アッパーには「MONO-SOCK構造」を採用。
靴下のようにフィットする一体型アッパーが、足首からかかとまでをしっかり包み込む。
これにより、ジャンプ時や着地時に足がブレにくくなり、安定した姿勢をキープしやすい。
また、動作中のねじれや横ブレを防ぐことで、パワーロスを抑え、安心して全力ジャンプできる環境を整えている。
激しいスパイク動作や着地を繰り返すプレーヤーほど、このホールド感の違いを実感しやすいだろう。
4. 実証された“ジャンプ力+2cm”の成果
アシックススポーツ工学研究所によるテストでは、男子大学バレー選手を対象に検証を実施。
その結果、前作アシックス メタライズに比べて平均約2cmのジャンプ高が向上したというデータが公開されている。
もちろん個人差はあるが、設計上の改良が実際のパフォーマンス向上につながったことを示す興味深い結果だ。
前作との違いを整理すると?
アシックス メタライズ 2は、初代の“尖った特化性”を維持しつつ、快適性とバランスを強化したモデルだ。
ざっくり言えば、「跳躍力+扱いやすさ」を両立させた進化版といえる。
主な違いをまとめると次の通り。
- ミッドソール素材が「FLYTEFOAM PROPEL」→「FF BLAST PLUS ECO」に刷新。
より軽く、柔らかく、反発レスポンスが速くなった。 - 新たにカーボン樹脂プレートを内蔵。
ジャンプの推進力と安定性が向上。 - MONO-SOCK構造により足首ホールド性が強化。
ブレが減り、着地後の安定感が増した。 - 実証テストでジャンプ力+2cmの向上。
数値的にも進化を裏付けるデータが得られた。
このように、性能面での進化は明確。
特に「高く跳ぶ」だけでなく「安定して跳び続ける」ための改良が目立つ。
メタライズ 2が向いているプレーヤー像
アシックス メタライズ 2は誰にでも合う万能シューズではない。
むしろ“ジャンプ特化”ゆえに、プレースタイルによってはオーバースペックになることもある。
おすすめできるのは、次のようなプレーヤーだ。
- 高さと打点で勝負するアウトサイドヒッターやミドルブロッカー。
- 繰り返しジャンプするプレースタイルを持つ競技志向の選手。
- 脚力があり、反発をしっかり活かせる中〜上級者。
- 着地の衝撃を軽減しつつ、安定した跳躍を続けたいプレーヤー。
一方で、以下のようなプレーヤーは別モデルを検討するのもおすすめだ。
- 素早いステップやクイックな動きを重視するポジション。
- 軽量性を最優先したい人。
- バレーを始めたばかりの初心者やジュニア層。
アシックス メタライズ 2は、全方向に優れた万能型ではなく、上級者向けの「特化型ハイエンドシューズ」である点は理解しておきたい。
デメリットや注意点も把握しておこう
アシックス メタライズ 2は性能面で確かな進化を遂げているが、当然ながら完璧ではない。
実際の使用者のレビューでは、次のようなポイントも指摘されている。
- クッション性と反発力が強く、動き出しがわずかに遅く感じることがある。
- 重量感があり、軽快なフットワークには不向き。
- 定価が約2万7,500円と高めで、コスト面ではハードルが高い。
- 脚力が弱い人は、ソールの反発を使いこなせない可能性がある。
こうした点を踏まえ、プレースタイルと目的を明確にしたうえで選ぶことが大切だ。
「高く跳ぶことに特化した武器」として捉えると、このシューズの真価が理解しやすい。
価格・サイズ・カラーバリエーション
アシックス メタライズ 2の販売価格は税込27,500円前後。
サイズは26.0cmから30.5cmまで幅広く展開されており、男女問わず選びやすい。
2025年には新色モデルも登場しており、白ベースや赤黒など、チームユニフォームとの相性を意識したカラーリングも人気だ。
高価ではあるが、耐久性・素材品質・設計思想を考えると、トップレベルのパフォーマンスを支えるための“投資”といえる。
メタライズ 2を選ぶ理由
バレーボールにおいて「ジャンプ」は最も重要な動作のひとつ。
アシックス メタライズ 2は、単なる跳躍サポートにとどまらず、「跳んで・着地して・また跳ぶ」という連続動作を支える総合性能を備えている。
初代で課題だった硬さや重さが改善され、反発・安定・フィット感が高次元で融合。
繰り返しのジャンプでも疲れにくく、安定したフォームを維持しやすいのが大きな強みだ。
ジャンプの質を高めたい中〜上級者、あるいは大会で自分の打点をさらに上げたい選手にとって、アシックス メタライズ 2は確かな選択肢になるだろう。
アシックス メタライズ 2の進化が示す未来
アシックス メタライズ 2は、「高く跳ぶ」ことに特化しつつも、「安定して跳び続ける」ことを重視した設計に進化した。
FF BLAST PLUS ECOフォームやカーボンプレートの導入は、スポーツシューズの新しい方向性を示しているといえる。
単なるジャンプサポートを超え、着地衝撃や疲労を抑えながら繰り返しパフォーマンスを発揮できる。
それは、技術面だけでなくプレーヤーの安心感や持続力にもつながる進化だ。
もしあなたが「あともう少し高く跳びたい」と感じているなら、この一足がその限界を超えるきっかけになるかもしれない。


