ランナーの皆さん、こんにちは。今回は「アシックス ターサーRP2」というレーシングモデルを徹底的に掘り下げます。薄底派にはおなじみのターサーシリーズですが、その中でもRP2は「軽量」「反発」「フィット感」の三拍子を兼ね備えた名作です。厚底シューズが全盛のいま、あえて薄底を選ぶ理由とは何か——その魅力をランナー目線で語っていきます。
ターサーRP2とは?シリーズの中での立ち位置
「ターサーRP2」は、アシックスが2021年末に発売したレーシングモデル。定価は税込15,400円。ターサーシリーズの中でも「スピードと反発」を重視した“RP(Racing Propulsion)系”に属しています。
名前のとおり、ターサーRP2は「Propulsion(推進力)」をキーワードに設計されています。フルマラソンでサブ3を狙うランナーや、スピード練習を重ねる中級〜上級者向け。アシックスのレーシングフラットらしく、余計な装飾をそぎ落としたミニマルな設計が特徴です。
FLYTEFOAMとトラスティック構造が生む“強い蹴り出し”
ターサーRP2の最大の魅力は、軽量でありながらも高い反発性を実現している点です。
ミッドソールにはアシックス独自の軽量素材「FLYTEFOAM」を採用。クッション性を確保しつつ、無駄な沈み込みを抑え、地面からの反力をダイレクトに伝えてくれます。
さらに中足部から前足部にかけて「プロパルショントラスティック」という樹脂製プレートを内蔵。これが走行中のしなりを生み、蹴り出し時の推進力を増幅します。地面を蹴る力をそのまま前進に変える設計は、まさに“脚力を活かすシューズ”と言えるでしょう。
片足170gの軽さがもたらす加速感
26.5cmで片足約170gという軽量設計は、ターサーRP2の大きな強み。前作よりもさらに軽く、足の回転を妨げない自然なスピード感を実現しています。
「履いた瞬間からスピードを出したくなる」──そんなレビューが多いのも納得です。軽いのに頼りなさがないのは、アッパーの剛性とソールの剛性のバランスが優れているから。薄底でも安定感を失わないのが、このモデルの完成度の高さを物語っています。
アッパーの進化:薄く、通気性があり、フィットする
アッパーには新開発のエンジニアードメッシュを採用。軽さと通気性を確保しながら、足を包み込むようなフィット感があります。走行中のズレやブレを抑え、長時間でも安定した履き心地をキープ。
ヒールカップも適度に硬く、踵のホールド性が高いため、スピード走でもブレが少ない。これにより、地面への力の伝達ロスが少なく、蹴り出しの反発を最大限に活かせます。
ASICS GRIPのグリップ力と接地感
ターサーRP2のアウトソールには「ASICS GRIP」という高グリップラバーが採用されています。特につま先部分のグリップが強く、雨上がりの路面やトラックでも安定した traction(接地感)を得られます。
実際に履いたランナーからは、「乾いたアスファルトでも、濡れたタータンでも安心して踏み込める」という声が多く、反発力とグリップ力のバランスが秀逸です。
実際の走行レビュー:反発力の強さとスピード性能
多くのランナーが口をそろえて評価するのが、ターサーRP2の“反発力の強さ”です。
蹴り出した瞬間にプレートのしなりが働き、前へ押し出される感覚が非常に明確。軽量モデル特有の「足を上げる軽さ」と「蹴る強さ」が両立しており、テンポ走やインターバルでは抜群のフィーリングを感じられます。
ただし、反発の強さゆえに、脚力が十分でないランナーにはやや扱いが難しいかもしれません。正しいフォームで地面をしっかり蹴れるランナーほど、RP2の性能を引き出せます。
薄底ゆえの注意点とデメリット
もちろん、ターサーRP2にも弱点はあります。
まず、ソールが薄くクッション性が控えめなため、長時間のランやLSD(ロングスローディスタンス)には不向き。脚や膝への負担が増えやすく、慣れないうちは疲労を感じやすいでしょう。
また、厚底モデルのように「勝手に前へ転がる」ような感覚はなく、あくまで自分の脚力でスピードを生み出すタイプ。脚筋力や体幹がしっかりしていないと、スピードを維持しにくく感じるかもしれません。
TARTHER RP2はどんなランナーにおすすめか
このモデルがフィットするのは、以下のようなランナーです。
- サブ3、サブ3.5を目指す中〜上級者
- フォアフットまたはミッドフット走法のランナー
- スピード練習・テンポ走・インターバル用のセカンドシューズを探している人
- 厚底ではなく“自分の脚で走る”感覚を求める人
一方、初心者やジョグ中心のランナーにはやや負担が大きく、よりクッション性の高い「ゲルカヤノ」や「ノヴァブラスト」などの方が適しています。
TARTHER RP2と他モデルの違い
同シリーズの「ターサーエッジ」や後継の「ターサーRP3」との比較では、RP2はより“レーシングフラット”寄り。厚底化が進む中でも、伝統的な薄底レーシングの感触を残しています。
- ターサーエッジ:クッション性と安定性を重視。RP2よりも柔らかく、初心者にも扱いやすい。
- ターサーRP3:FF BLAST採用でクッション性を強化。反発と快適さのバランス型。
- ターサーRP2:軽量・高反発・薄底。純粋にスピードを出すためのモデル。
つまり、RP2は「自分の脚で地面を蹴りたい」ランナーのためのストイックな一足です。
なぜ今、ターサーRP2が再評価されているのか
厚底やカーボン入りが主流となったいま、ターサーRP2のような薄底レーシングはむしろ新鮮です。厚底の助力ではなく、自分の脚とフォームを鍛える“原点回帰”のツールとして、再び注目されています。
軽さ・反発・路面感覚のバランスが絶妙で、走りの基礎を見直す練習にも最適。厚底を履きこなすための「脚づくりシューズ」として使うランナーも増えています。
購入時のポイントとサイズ感
サイズ感は一般的なアシックスシューズとほぼ同じ。フィット感がタイトなので、厚手のソックスを履く場合やワイドモデル希望の方は「ワイドラスト」仕様を選ぶのがおすすめです。
価格は15,400円(税込)ですが、現在は一部店舗やオンラインショップで割引販売も見られます。耐久性も高く、レーシングモデルとしてはコストパフォーマンスの良い一足です。
まとめ:アシックス ターサーRP2は「脚で走る快感」を取り戻すシューズ
アシックス ターサーRP2は、軽量・反発・地面感覚のすべてを研ぎ澄ませたレーシングモデル。厚底全盛の時代だからこそ、自分の脚でしっかり蹴る楽しさを思い出させてくれる存在です。
地面を感じながら速く走る──そんな原点に立ち返りたいランナーには、このシューズが最高のパートナーになるはずです。
スピードを追求し、自分の限界を超えていく。そのための武器として、「アシックス ターサーRP2」はいまも輝き続けています。


