冬のランニング、滑るのが怖くて外に出るのをためらったことはありませんか?
そんな雪道でも安心して走れる一足として知られているのが、アシックスの「アシックス スノーターサー(SNOWTARTHER)」です。名前のとおり、アシックスの名作レーシングモデル「TARTHER(ターサー)」シリーズの血統を継ぎながら、雪上仕様にカスタマイズされた特別なモデル。
この記事では、その魅力と実際の使用感、注意点や代替モデルまで、冬ランを快適にするためのリアルな情報をまとめます。
スノーターサーとは? ― 雪道仕様のターサー系ランニングシューズ
アシックス スノーターサーは、冬のランナーにとっての救世主ともいえる存在です。
雪国や寒冷地でのランニングを想定し、通常のターサーと同様の軽量・高反発設計を保ちつつ、アウトソールを「雪道仕様」に改良したモデル。
「スピードを出したいけど、滑るのは怖い」そんな矛盾を解消してくれるのが、このシューズの最大の価値です。
アッパーは合成繊維と人工皮革の組み合わせで、雪が付着しにくく防水性にも配慮。
ソールにはアシックス独自の「スノーコンパウンドラバー」を採用し、凍結まではいかない圧雪路や湿雪でもしっかり路面をつかみます。
25.5cmで片足約260g前後という軽量さは、冬用モデルとしては異例。厚手の靴下を履くことを考慮し、ワイド(3E)設計のサイズ展開もあるなど、雪国仕様としての完成度が高い一足です。
冬ランで感じるスノーターサーの実力
雪道で滑りにくい安心感
アシックス スノーターサー最大の強みは、雪上での安定性です。
ソールのV字型パターンと低硬度ラバーが、雪面を「掴む」ようにグリップ。除雪後の圧雪や踏み固められた雪道でも、普通のランニングシューズでは味わえない安心感があります。
実際のランナーからは「雪を噛むような感触」「雪の上でもしっかり蹴り出せる」といった声が多く、冬でもスピード練習をしたい人に好まれています。
冬でも“ターサーらしい走り”
通常、雪用の靴は重く、走るというより歩く感覚になりがちです。
しかしアシックス スノーターサーは、ターサーシリーズ譲りの軽快さと反発力を備えています。
ミッドソールには反発性を高めるプレート構造が入り、キレのある走りが可能。ジョグだけでなく、雪上スピード練習にも対応できるほどの安定感があります。
雪道でも「走っている感覚」を失いたくないランナーには、この軽さと反発力がたまらないでしょう。
防水・防寒も意識した設計
雪道ランでは、濡れや冷えも大敵。
アシックス スノーターサーのアッパーは撥水性が高く、シャーベット状の雪や雪解け水が靴内に染み込みにくい構造です。
さらに、素材の通気性を抑えることで冷気を防ぎ、保温性にも優れています。
厳冬期の朝ランや夜ランでも、足先が冷えにくいという声も多く、冬季のトレーニングに適しています。
注意すべき点 ― スノーターサーにも“限界”はある
万能に見えるアシックス スノーターサーですが、すべての路面で完璧に滑らないわけではありません。
特に注意すべきは「アイスバーン(氷結路)」です。圧雪や湿雪には強いものの、凍った路面ではグリップが効きにくく、スパイク付きシューズには及びません。
また、深雪や新雪ではソールに雪が詰まりやすく、安定感が低下することも。
つまり、「雪が踏み固められている道」や「除雪後の路肩」など、限られた環境で最も性能を発揮するモデルと言えます。
もう一つの弱点はソールの硬さ。
路面の状態によっては反発が強すぎて足裏に負担がかかる場合があります。慣れるまでは短い距離から試すのがおすすめです。
流通と入手難 ― いま“幻のシューズ”に?
アシックス スノーターサーは近年、オンラインショップでも在庫が減少しており、一部では「生産終了」との情報も出ています。
実際、アシックス公式サイトでは販売ページが見当たらず、スポーツ店や通販サイトでも残りサイズのみの取り扱いが多い状態。
そのため、「見つけたら即買い」が鉄則です。雪国ランナーの間では“スノーターサー難民”という言葉が出るほど、冬の定番として愛されています。
中古市場でも一定数流通していますが、状態やサイズの選択肢は限られています。新品が手に入るうちに確保しておくことが、冬の備えになるでしょう。
代替候補 ― スノーターサーが手に入らないなら?
もしアシックス スノーターサーが入手困難な場合、同じくアシックスの「GEL-SNOWRIDE(ゲルスノーライド)」が有力な選択肢です。
こちらもスノーコンパウンドラバーを採用し、雪上でのグリップと防水性を重視。スノーターサーよりやや重いものの、ジョグやLSD(ロングスローディスタンス)中心のランナーには向いています。
また、雪道対応のトレイルシューズも選択肢の一つ。
例えば、アシックスのトレイルライン(ゲルソノマやフジライトなど)は、滑りやすい未舗装路にも強く、氷点下の舗装路にも対応できます。
ただし、これらはアシックス スノーターサーほどの軽快さはないため、「冬もスピード練習をしたい人」にはやや物足りないかもしれません。
ランナーのリアルな声
実際に使用しているランナーのレビューを見てみると、アシックス スノーターサーは評価が二極化しています。
良い点としては「雪上で滑らない」「足が取られにくい」「雪でも走れることがうれしい」といった感想。
一方で、「氷には弱い」「ソールが硬く感じる」「もう少しクッションが欲しい」といった意見もあります。
総じて、“雪道を安全に走りたい人”にとっては高評価で、“氷上を完全に制覇したい人”には物足りない、というバランスです。
用途を明確にすれば、これほど信頼できる冬用ランシューは他に多くありません。
冬ランニングを快適にするためのポイント
アシックス スノーターサーを最大限活かすためには、シューズ以外の装備も大切です。
防寒タイツや手袋、ネックウォーマーなどで体温を保つこと。ソックスは厚手で吸湿速乾タイプを選ぶと、冷えやすい足元の快適さが格段に上がります。
また、夜間ランでは視認性も重要。雪面の反射で眩しい場面もあるため、反射材入りウェアやヘッドライトを併用するのが安全です。
こうした小さな工夫を重ねることで、アシックス スノーターサーの防滑性と軽さを活かしつつ、冬でも快適に走ることができます。
まとめ ― アシックス スノーターサーは冬ランの定番にして“名残惜しい名作”
雪道でも安心して走れる「アシックス スノーターサー」は、冬ランナーにとって特別な存在です。
圧雪路でのグリップ力、軽さと反発性、防水性、そして「走る楽しさ」を両立した希少なシューズ。
ただし、氷結路や深雪などには向かないため、環境を選んで使うことが大切です。
近年は在庫も減り、“幻のシューズ”になりつつありますが、それでもなお支持され続ける理由は明確です。
「冬でも走り続けたい」「雪国でもターサーの走りを味わいたい」――そんなランナーにとって、アシックス スノーターサーは他には代えがたい相棒です。
もしあなたがこの冬、雪道でも走りたいと思っているなら。
アシックス スノーターサーを手に入れる最後のチャンスかもしれません。


