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アシックススポーツコンプレックス閉店の理由とは?施設の歴史と今後の展開を徹底調査

アシックスが手がけた都市型フィットネス施設「アシックススポーツコンプレックス(ASICS Sports Complex)」が、2024年3月15日に閉店しました。
「なぜ、あの先進的な施設がわずか4年で幕を閉じたのか?」という疑問を抱いた人は多いはずです。この記事では、施設の歴史から閉店理由、そして今後のアシックスの展開までをわかりやすく整理していきます。


豊洲に誕生した“未来型トレーニング施設”

アシックススポーツコンプレックス(以下ASC)は、2019年11月、東京・豊洲の「Dタワー豊洲」内にオープンしました。
約5,000㎡の広大な空間に、低酸素環境制御装置や50mプール(日本水泳連盟A級公認)、映像演出付きスタジオを完備。アスリートだけでなく一般利用者も「標高3,000m相当」の空気でトレーニングができるという、世界でも珍しい都市型の低酸素ジムでした。

当時のアシックスは、シューズやウェアといった「モノの販売」だけでなく、スポーツ科学を応用した「サービスの提供」へと事業を拡大する狙いを持っていました。
“スポーツで培った知見を社会に還元する”という理念のもと、健康志向の高まりと都市生活者のニーズを捉えた新業態――それがASCだったのです。


短命に終わった理想――閉店は2024年3月15日

そんなASCが閉店を発表したのは、2023年秋。
東京・豊洲の「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」だけでなく、姉妹施設「ASICS Sports Complex OSAKA SUITA」も同時期に営業を終了しました。
開業からわずか4年あまり。多くのファンに惜しまれつつ、その扉は静かに閉じられました。

閉店当日には「会員バンドの返却のお願い」など公式案内が出され、SNSには「信じられない」「通っていたのに残念」といった声があふれました。
なぜ、これほど充実した施設が撤退を余儀なくされたのでしょうか。


アシックスが語った「閉店の理由」

アシックスの株主総会や報道によると、閉店の主な要因は以下の3点です。

1. 想定を下回る会員数と収益性の低下

アシックスは、「新型コロナウイルスの影響もあり、計画していた会員数を確保できなかった」と説明しています。
低酸素室やプールの維持には高額な運営コストがかかるため、会員数が減ると一気に採算が悪化します。
結果として、収益性の確保が難しくなり、事業としての継続が困難になったのです。

2. 高価格・専門特化モデルの難しさ

ASCの月会費は約2万円。一般的なジムに比べて高額でした。
低酸素環境や高規格プールなど、プロ仕様の設備は確かに魅力的ですが、日常的に通う層には“手が届きにくい”価格帯でもありました。
実際、「アスリートには理想的だが、一般ユーザーにはハードルが高い」との口コミも見られます。
結果的に、ターゲットが狭まり、幅広い利用者層を取り込むことが難しかったと考えられます。

3. コロナ禍による利用制限と市場変化

2020年のコロナ禍は、ジム業界全体に大きな影響を与えました。
ASCも例外ではなく、オープン直後から休業・人数制限を余儀なくされ、想定した収益モデルが崩壊。
さらに、感染リスクを懸念してジム通いを控える人が増え、オンラインフィットネスや自宅トレーニングの需要が一気に拡大。
ASCのような“施設型高級ジム”は、時代の変化に対応しにくかったのです。


「挑戦の終わり」ではなく「学びの始まり」

ただ、この閉店を“失敗”と片づけるのは早計かもしれません。
ASCの取り組みは、アシックスにとって次のフェーズへ向かうための「実験場」だったとも言えます。

低酸素トレーニングの研究、データ収集、アスリート支援、そしてユーザーの行動データ分析――
これらの経験は、今後のアシックスのビジネスモデルに生かされるはずです。

また、アシックスはすでにウェルネス関連事業を拡大しており、ヘルスケアアプリやオンライン指導サービス、ライフスタイルブランドとの連携を強化しています。
つまり、「施設運営」という重い形ではなく、“デジタル × サービス × 健康”という軽やかな方向に舵を切り始めているのです。


アシックススポーツコンプレックスの「その後」

閉館後の施設については、居抜きで新しいジムが入る可能性が取り沙汰されています。
豊洲という立地、充実したプール・スタジオ設備を考えると、スポーツ系テナントが引き継ぐのは自然な流れです。
ただ、低酸素環境の維持には専門的な管理技術が必要で、同規模の運営を引き継げる事業者は限られます。
現時点では「後継施設が決まった」との正式発表はなく、今後の動向に注目が集まっています。


アスリートたちにとっての“聖地”が残したもの

ASCは、多くのトップアスリートに愛された場所でもありました。
報道によれば、メジャーリーガーの大谷翔平選手やオリンピック選手が利用していたことでも知られています。
最新設備と静謐な環境が整い、パフォーマンスを高めるには理想的な環境だったといいます。

彼らにとってASCは単なるトレーニングジムではなく、「集中できる場所」「体を知るための研究所」でもありました。
だからこそ、閉店は“時代の節目”を象徴する出来事として、多くの人の記憶に残るのでしょう。


都市型フィットネス市場の変化とアシックスの課題

ASC閉店の背景には、都市型フィットネス市場の変化もあります。
コロナ以降、人々の「健康習慣」は劇的に多様化しました。
大手ジムに通う人、オンラインフィットネスで運動する人、自宅トレーニングに移行した人――。
中でも「短時間・安価・手軽さ」を求める層が増え、ASCのような“高機能・高価格・会員制”モデルは市場の主流から外れつつありました。

アシックスとしては、「ブランド価値の発信」と「収益性の両立」という難題に直面した形です。
しかし、今回の経験をもとに、より多様なニーズに対応するための新しい方向性が模索されていることは確かです。


今後の展望:アシックスはどこへ向かうのか

アシックスは今後、スポーツ用品だけでなく、健康・データ・ライフスタイルを統合した“総合ウェルネスブランド”としての進化を目指すと見られています。
シューズ開発で培った計測技術や運動データ分析を活用し、スマートフォンアプリやウェアラブルデバイスとの連携を強化。
ジムという“場所”に依存しない形で、健康サポートを提供する流れが加速するでしょう。

ASCで培った知見――低酸素環境の活用、トレーニング科学、利用者データ――は、デジタル領域で再び価値を生む可能性があります。
つまり、閉店は「撤退」ではなく「次の挑戦への移行」だったのです。


アシックススポーツコンプレックス閉店の理由と教訓

あらためてまとめると、アシックススポーツコンプレックス閉店の理由は以下の通りです。

  • 新型コロナによる利用減少と市場変化
  • 高コスト運営と会員数の伸び悩み
  • 高価格帯・専門型モデルの需要限界

しかし、そこから得られた経験は、アシックスにとって貴重な財産です。
ASCが目指した「科学 × 健康 × ライフスタイルの融合」は、今後のスポーツビジネスの方向性を示す先駆的な試みでもありました。

閉店は寂しいニュースでしたが、その理念と挑戦の精神は、確実に次のステージへと引き継がれています。
アシックスは、再びスポーツを軸に“人と健康をつなぐブランド”として、未来に向けて歩み続けていくでしょう。

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