「アシックスが野球から撤退したらしい」と聞いて驚いた人も多いのではないでしょうか。長年、アシックス 野球 スパイクやグラブ、バットを手がけてきたアシックス。その名をグラウンドで見ない日はないほど、プロから学生まで幅広く支持されてきました。
しかし、2024年に報じられた「野球事業の撤退」は、多くの野球ファンに衝撃を与えました。この記事では、その真相と背景、そして今後のスパイク販売状況について丁寧に解説していきます。
「撤退」は本当?どこまでが対象なのか
まず最初に整理しておきたいのは、「アシックスが野球事業から完全撤退する」というのは誤解です。
実際には、野球用具のうち「グラブ」「バット」「ウェア」「手袋」などの販売を終了するという発表が行われました。一方で、アシックス 野球 スパイクやアシックス トレーニング シューズは今後も継続して販売されると明言されています。
つまり、アシックスの“野球撤退”とは、「用具部門の撤退」であって、「シューズ部門は継続」という“選択と集中”の戦略です。
この発表は2024年8月末に報道され、2025年9月をめどに販売終了となる予定。多くの販売店では在庫限りの対応になるため、「今のうちに確保しておきたい」というユーザーが増えています。
なぜアシックスは野球用具から撤退を決めたのか
アシックスの撤退には、いくつかの明確な理由があります。
1. 収益性の低下と事業ポートフォリオの見直し
同社はランニングやライフスタイル分野で世界的に好調な一方、野球用具分野では収益性が低く、競争も激化していました。
国内の野球用品市場ではミズノやSSK、ローリングスなどが根強いシェアを持ち、後発組のアシックスは市場で存在感を発揮しづらい状況が続いていたのです。
「利益率の低い分野に経営資源を割くより、成長分野に集中する」——これが経営判断の背景です。
2. 野球人口の減少という構造的問題
もうひとつ大きいのが、野球人口の減少。
少年野球や高校野球の競技者数は年々減少しており、若年層のスポーツ嗜好も多様化。サッカーやバスケットボール、陸上など他競技に流れる傾向が強まっています。
結果として、用具の市場規模は縮小し続けており、メーカーにとって事業維持のコストが負担になっていました。
3. 素材・製造コストの上昇
原材料費や人件費、物流コストの高騰も見逃せません。特にグラブやバットのような製造工程の多い製品は、コスト増が直撃します。
アシックスは全社的に環境負荷の低い素材やサステナブルな生産へ転換を進めていますが、これも一定のコストを伴います。その中で採算の取れない分野を整理するのは自然な流れでした。
「アシックス=野球」の時代が築いた信頼と功績
アシックスの野球用具といえば、「品質」と「技術力」で多くのファンを惹きつけてきました。
グラブの柔軟性、スパイクのフィット感、そしてウェアの通気性――どれを取っても日本らしい職人技が息づいていました。
かつては多くのプロ野球選手もアシックス製のグラブやスパイクを愛用。特に投手用グラブの仕上げや軽量スパイクの完成度は高く、トッププレイヤーからの評価も厚かったのです。
今回の撤退発表に対して、「あのフィット感がなくなるのは寂しい」「学生時代からアシックス一筋だった」という声がSNS上でも多数見られました。
現場の反応と業界への影響
小売店や野球関係者の間では、「ついに来たか」という冷静な反応もあれば、「寂しい」「残念」という声も聞かれます。
野球専門店では、既にアシックスのグラブやバットが“在庫限り”扱いになっており、人気モデルは早くも品薄。コレクションとして確保する動きも出ています。
一方で、業界全体を見渡せば、これは“時代の流れ”と受け止める声も多いです。
競技人口の減少、他社ブランドとの価格競争、そしてネット通販の拡大による流通構造の変化。これらが重なり、国内メーカーが野球用品を続けるには厳しい環境となっていました。
今後もスパイクは継続販売、アシックスの強みは足元に残る
朗報として、アシックスの**アシックス 野球 スパイクとアシックス トレーニング シューズ**は今後も販売が続きます。
これは、アシックスが長年培ってきた「シューズ開発力」を軸に事業を再構築するためです。
アシックスのスパイクは、軽量性とフィット感に定評があり、特に「走る」「踏み込む」動作を支える機能性において他社を凌駕してきました。
プロ・アマ問わず「足に合うスパイクはアシックスだけ」という声も根強く、撤退発表後もスパイク愛用者の支持は続いています。
これからは「アシックス=野球スパイクのブランド」という形で存在感を保ち続けるでしょう。
野球用具市場は今後どう動く?再編の兆し
アシックスの撤退により、野球用具市場には大きな変化が起こると見られています。
まず考えられるのは、他ブランドへの移行加速です。ミズノやSSK、ZETT、ローリングスなどの大手が需要を取り込み、販売シェアを拡大する可能性があります。
特に学生や社会人チームなど、まとめて発注する層にとって、供給体制の整ったブランドが選ばれやすくなります。
一方で、中小メーカーや職人ブランドの再評価も進むかもしれません。
既製品の選択肢が減ることで、「自分に合ったグラブを作りたい」という需要が高まり、オーダーメイドや少量生産ブランドへの関心が増しているのです。
また、アシックス撤退による「在庫品のプレミア化」も起こりつつあります。
特にプロモデルや限定仕様のグラブなどは、今後中古市場で価値が上がる可能性が高いと見られています。
アシックスが今後注力する分野
アシックスは今後、ランニング・トレーニング・ライフスタイル分野を中心に事業を強化していく方針です。
特にマラソンシューズや日常履きのスニーカー、さらには健康・ウェルネス領域でのブランド拡大を狙っています。
「野球用具撤退=縮小」ではなく、「成長分野への再集中」と捉えるのが正確です。
グローバル市場で競争力を持つのは、やはりシューズ開発。アシックスが長年積み重ねてきた技術力を最大限に活かす方向へと舵を切ったと言えるでしょう。
ファンとしてどう受け止めるべきか
野球ファンにとって、アシックス撤退のニュースは寂しいものです。
長年の信頼や思い出が詰まったブランドが姿を変えるのは、まるで時代の節目を見ているようでもあります。
とはいえ、スパイク事業の継続は希望でもあります。
“足に合う靴をつくる”というアシックスの哲学は変わりません。これからも選手の足元を支えるブランドとして残り続けるでしょう。
そしてこの変化は、野球界全体が次の時代へと移行していくサインでもあります。
野球というスポーツのあり方が変わっても、アシックスが築いた技術と精神は、確実に次の世代に受け継がれていくはずです。
アシックスの野球事業撤退は本当?背景や今後のアシックス 野球 スパイク販売状況まとめ
・撤退は「シューズ以外」の野球用品が対象で、スパイク販売は継続。
・背景には収益性の低下、野球人口の減少、コスト高騰がある。
・スパイクは今後も販売され、履き心地や機能性の高さは変わらない。
・用具市場は再編が進み、他ブランドやオーダー製品が台頭する可能性がある。
アシックスの野球撤退は、単なる終わりではなく、新しい始まりの合図かもしれません。
これからもアシックスは「走る」「動く」「挑む」人たちのそばにあり続けるでしょう。


