スポーツ用品メーカーとして世界的に知られるアシックス。
「聞いたことはあるけど、どんな会社なの？」と思う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、アシックスの会社概要をわかりやすく紹介しながら、その企業理念や事業内容、歴史や今後の展望までをじっくり掘り下げていきます。
アシックスってどんな会社？
アシックスは、兵庫県神戸市に本社を置く日本のスポーツ用品メーカーです。
正式名称は「株式会社アシックス（ASICS Corporation）」で、東京証券取引所プライム市場に上場している国内屈指のグローバル企業。
創業は1949年。戦後間もない神戸で、創業者の鬼塚喜八郎氏が「青少年の健全な育成」を願って立ち上げた小さな会社「鬼塚株式会社」がその原点です。
やがて1977年に、鬼塚株式会社・ジィティオ・ジェレンクの3社が合併して現在の「アシックス株式会社」が誕生しました。
社名の「ASICS」はラテン語の “Anima Sana In Corpore Sano（健全な身体に健全な精神があれかし）” の頭文字から取られたもの。
この理念は今も企業の根幹にあり、スポーツを通じて人々の心と身体の健康を支えたいという想いが脈々と受け継がれています。
「健全な身体に健全な精神を」──アシックスの企業理念
アシックスが掲げる企業理念は、創業当初から一貫しています。
それが「スポーツを通じて、より健全で豊かなライフスタイルを提供する」という考え方。
単に靴やウェアを販売するメーカーではなく、「スポーツを通して人々の生活の質（QOL）を高めること」を使命としているのがアシックスの大きな特徴です。
この理念は、同社の行動指針「ASICSスピリット」にも明文化されています。
そこには、「正しいことをする」「チームワークを大切にする」「イノベーションを恐れない」「誠実に行動する」といった価値観が示されており、世界中の社員が共通の指針として共有しています。
アシックスが70年以上経った今もなお、世界中で愛され続けている理由のひとつは、こうした理念の一貫性にあると言えるでしょう。
アシックスの事業内容
アシックスの主な事業は、スポーツ用品の製造と販売です。
扱うアイテムは非常に幅広く、次のようなカテゴリに分かれます。
- スポーツシューズ：ランニング、バスケットボール、バレーボール、テニス、野球など多岐にわたる競技向け
- スポーツウェア：トレーニングウェア、Tシャツ、タイツ、ジャケットなど
- アクセサリー類：バッグ、キャップ、ソックス、タオルなど
- アウトドア・ライフスタイル製品：街中でも履けるカジュアルなスニーカーやアウトドアウェア
中でも特に強いのが「ランニングシューズ」です。
アシックスの代名詞とも言える「GEL」テクノロジーをはじめ、衝撃吸収性と安定性を兼ね備えたシューズは、世界中のランナーから高い支持を得ています。
また、競技スポーツだけでなく「日常生活の健康を支える」分野にも力を入れており、ウォーキングシューズやオフィスで使える快適スニーカーなど、幅広い層にアプローチしています。
世界で戦うグローバルブランドへ
アシックスは今や、日本国内だけでなく世界中に拠点を持つグローバル企業です。
売上の約8割が海外から生まれており、欧米やアジアを中心に世界120か国以上で事業を展開しています。
海外では特にランニングシューズ分野での評価が高く、マラソンやトレーニング分野ではナイキやアディダスと並ぶ世界的ブランドとして知られています。
さらに、アシックスは地域や競技に応じて最適な製品を開発しており、たとえばテニスではクレー・オムニコート用のモデル、バスケットボールでは軽量性を重視したモデルなど、専門的なニーズにも応えるラインナップを展開しています。
このような「細分化された需要への対応力」と「高い技術開発力」が、グローバル市場での競争優位性を支えています。
研究開発と技術力の高さ
アシックスのもう一つの強みが、技術開発に対する徹底したこだわりです。
同社は神戸に「アシックススポーツ工学研究所」という自社研究拠点を設け、シューズ開発のための膨大なデータ解析や人体計測を行っています。
ランナーの足の動き、着地の衝撃、走行中の重心移動など、科学的な視点から最適な構造や素材を研究し続けているのです。
この研究成果から生まれた代表的な技術が「GEL」シリーズ。
衝撃吸収性を高めつつ、反発力も維持する構造は、多くのランナーにとって“アシックスを選ぶ理由”となっています。
さらに最近では、サステナブル素材の採用や3Dプリント技術の導入など、環境配慮型のモノづくりにも積極的。
機能性と地球環境の両立を目指す姿勢が、今の時代のアシックスらしさを象徴しています。
ファッション・ライフスタイルへの展開
アシックスは長らく「競技用シューズの会社」という印象が強かったですが、ここ数年はファッション性を取り入れたライフスタイル路線にも力を入れています。
「ASICS SportStyle」や「Onitsuka Tiger（オニツカタイガー）」といったブランドラインを通じて、ストリートファッションや日常使いにもマッチするデザインを展開。
アスリートだけでなく、ファッション感度の高い若者層にも人気が広がっています。
特にオニツカタイガーは、海外セレブやデザイナーとのコラボレーションを通じて、スポーツとファッションの融合を体現。
アシックス全体としても、「スポーツから生まれる美しさ」をテーマに、ライフスタイルと文化をつなぐブランドへと進化しています。
サステナビリティへの取り組み
アシックスは、スポーツを通じて人々の健康を支えるだけでなく、地球環境の持続可能性にも配慮した経営を進めています。
例えば、製品素材のリサイクル化、製造工程でのCO₂排出削減、環境負荷の少ない梱包材の導入など、さまざまな施策を実践。
また、2030年までにCO₂排出量を大幅に削減する目標を掲げ、再生素材の比率を高めるなど、企業としての責任を果たそうとしています。
さらに、社会的な取り組みとして「スポーツを通じた地域貢献活動」や「子どもたちの運動教育支援」も行っており、単なるビジネスを超えた社会価値の創出にも注力しています。
アシックスの今とこれから
グローバル市場では、新興ブランドとの競争や、消費者の価値観の変化など、スポーツ業界を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
そんな中でアシックスは、「スポーツ × 健康 × サステナビリティ」を軸に、単なるモノづくり企業から“ライフスタイル提案企業”への進化を進めています。
ランニング、トレーニング、ファッション、ウェルネス――。
それぞれの分野で、アシックスが持つ技術力や理念を活かしながら、より幅広い人々に“心と体の健康”を届けていくことが目標です。
これからのアシックスは、スポーツ用品メーカーを超えた存在として、「健康と幸福の総合ブランド」としての確立を目指していくでしょう。
まとめ：アシックスの会社概要を通して見えるブランドの本質
アシックスの会社概要を改めて整理すると、単なるスポーツブランドではなく、70年以上にわたって「健全な身体に健全な精神を」という理念を貫いてきた企業であることがわかります。
創業者の想いから始まり、技術革新・グローバル展開・サステナブルな取り組みへと発展を続ける姿勢。
その一貫した信念こそが、アシックスが世界で愛され続ける理由です。
これからもアシックスは、スポーツと健康、そしてライフスタイルの架け橋として、私たちの毎日に寄り添い続けるはずです。
