「アシックスとNBAって関係あるの？」
ランニングシューズの印象が強いアシックスですが、実はブランドの原点は“バスケットボールシューズ”にあります。創業当時からNBAのスター選手とも関わりを持ち、バスケットボールカルチャーに深く根ざした歴史を築いてきました。この記事では、アシックスとNBAの関係、その歴史や選手着用モデル、さらに限定コラボの魅力までを一気に紹介します。
アシックスの原点はバスケットボールシューズだった
アシックスの歴史を語る上で欠かせないのが、創業者・鬼塚喜八郎氏が1949年に立ち上げた「鬼塚商会」。
この会社が後のアシックスの前身であり、最初に作ったのがバスケットボールシューズでした。
当時の日本ではまだバスケットシューズがほとんど存在せず、鬼塚氏は「若者を健全に育てたい」という理念のもと、足に優しく動きやすい靴を研究。これが後に「ファブレ（FABRE）」シリーズなどへと発展し、アシックスがスポーツシューズブランドとして名を広めるきっかけとなりました。
つまり、アシックスにとって“バスケットボール”は創業の原点なのです。
NBAとの接点が生まれた1990年代 ― 伝説の選手との契約
アシックスがNBAの舞台に初めて足を踏み入れたのは1990年。
当時、デトロイト・ピストンズのスーパースターであるアイザイア・トーマス（Isiah Thomas）と契約を結びました。
トーマスはNBAを代表するポイントガードで、スピードと機動力が武器。そんな彼に向けて開発されたのが、アシックスの象徴的バッシュ「GEL-SPOTLYTE（ゲル・スポットライト）」です。
衝撃吸収素材αGELを搭載し、軽量かつ柔軟な履き心地で、当時のNBAプレーヤーから高い評価を受けました。
さらに同時期にはロサンゼルス・クリッパーズのチャールズ・スミスもアシックスと契約。
短い期間ではありましたが、NBAのトップ選手がアシックスのシューズを履いてコートを駆ける姿は、ファンの記憶に強く残っています。
NBAでの存在感が薄れた理由 ― それでも消えなかった“アシックスらしさ”
1990年代前半、アシックスは確かにNBAで存在感を放ちました。
しかし、時代が進むにつれ、ナイキやアディダス、ジョーダンブランドといった巨大メーカーが台頭。
選手ごとのシグネチャーモデルが次々と登場し、NBAは“ブランド競争”の時代へ突入します。
この波に乗り切れなかったのがアシックスでした。
日本発のブランドとして技術力は世界屈指でしたが、派手なマーケティングよりも「足を守る・動きを支える」という職人気質な姿勢を重視。
その結果、NBA市場では静かにフェードアウトしていきます。
しかし、アシックスの哲学は途絶えることはありませんでした。
軽量性、安定性、フィット感――。これらの要素を徹底的に磨き上げ、バスケットボールに限らず、ランニング、トレーニング、ライフスタイルといった多分野で高い信頼を得続けています。
現代のNBAにおけるアシックス ― 新たな挑戦の兆し
一度はNBAから姿を消したアシックスですが、ここ数年で再び注目され始めています。
きっかけとなったのは、日本人バスケットボール選手・河村勇輝との契約です。
アシックスは彼に向けて「UNPRE ARS Low 2（アンプレ アルス ロー2）」を提供。俊敏な動きと安定したステップをサポートする設計で、まさに“現代型ガード”のためのシューズといえます。
このモデルは国内外のファンから高い評価を受け、アシックスが再び“バスケットボールブランド”として脚光を浴びるきっかけとなりました。
NBAの舞台でアシックスを履く選手はまだ少ないものの、こうした動きは「原点回帰」と「未来への挑戦」の象徴です。
レトロモデルの復刻とストリートでの再評価
アシックスとNBAの関係を語る上で、もう一つ見逃せないのが“レトロバッシュの復刻”です。
90年代に登場したGEL-SPOTLYTEは、近年ストリートファッションの文脈で再評価されています。
スニーカーヘッズの間では、「NBA黄金期を象徴する一足」として人気が再燃。
当時のクラシックなシルエットとGELテクノロジーの組み合わせが、ファッションとスポーツの垣根を越えて支持されています。
特にアシックスの「Sportstyle」ラインでは、過去のバスケットシューズを現代的に再構築したモデルを多数展開。
ランニングやトレーニングの枠を超え、“カルチャーとしてのアシックス”が世界中で再評価されているのです。
限定コラボが示すアシックスの多面性
アシックスは近年、NBAチームや選手との直接的なコラボこそ少ないものの、ストリートブランドやデザイナーとのコラボでバスケットカルチャーを再解釈しています。
たとえば「Kiko Kostadinov」や「Awake NY」との協業モデルは、90年代のバッシュを現代の感性で再構築した代表的な例。
バスケットボールのエネルギーをファッションの文脈に溶け込ませ、ブランドの新しい魅力を発信しています。
また、海外では「NBA×アシックス復刻プロジェクト」の噂も浮上しており、レトロバッシュを軸にしたコレクション展開が期待されています。
もし実現すれば、再びNBAのコートでアシックスのロゴが輝く日が訪れるかもしれません。
なぜ今、アシックスとNBAが再び注目されているのか
ここ数年、NBAでは“パフォーマンス重視”から“個性重視”へと潮流が変わりつつあります。
選手たちはより自由にブランドを選び、ファッションとしてのシューズ表現を楽しむようになりました。
その中で、アシックスのように「履き心地」「安定性」「軽さ」を徹底追求するブランドが再評価されているのです。
さらに、アシックスは日本発のグローバルブランドとして、アジア市場での存在感を急速に拡大中。
日本人選手のNBA挑戦や、オリンピック・ワールドカップを通じて、世界の舞台に再び名を刻もうとしています。
アシックスとNBAが紡ぐこれからの物語
アシックスとNBAの関係は、決して一過性の話ではありません。
創業期から続く「バスケットボールへの情熱」と「人の動きを科学する技術力」は、今もブランドの根幹にあります。
Isiah Thomas が履いたGEL-SPOTLYTE、そして現代を代表する河村勇輝のUNPRE ARS Low 2。
時代を超えて、“プレーヤーの力を最大限に引き出す靴”を作り続けているのです。
これから先、もしNBAのコートで再びアシックスのロゴが光る日が来れば――
それは単なる復活ではなく、ブランドの歴史がひとつの輪を描いてつながる瞬間になるでしょう。
アシックスとNBAの関係とは？今こそ知っておきたいブランドの原点と未来
アシックスとNBAの関係を振り返ると、そこには創業から変わらぬ理念と技術の結晶が見えてきます。
NBAスターとの契約、伝説のバッシュ「GEL-SPOTLYTE」、現代のUNPRE ARS Low 2シリーズ。
それらすべてが、アシックスが単なるランニングブランドではなく、“バスケットボールから始まったブランド”であることを物語っています。
そして今、その物語は再び動き始めています。
NBAという世界最高峰の舞台に、アシックスが再び挑む日を楽しみに待ちましょう。
