ランニングやウォーキング、通勤スニーカーとして人気の高い「アシックス」と「ニューバランス」。どちらも世界的に信頼されるブランドですが、実際に履いてみると、フィット感やクッション性、価格の傾向には大きな違いがあります。ここでは両ブランドをさまざまな角度から徹底比較し、自分に合った一足を見つけるためのヒントを紹介します。
アシックスとニューバランスの履き心地の違い
両ブランドの最も大きな違いは「履き心地の方向性」にあります。
アシックスは「安定性」と「ホールド感」、ニューバランスは「柔らかさ」と「ゆったり感」を重視する傾向があります。
アシックスのシューズは日本人の足型に合わせた設計が多く、やや細めのラスト（木型）で踵をしっかりホールドします。足のブレを抑え、長時間走っても疲れにくい構造が特徴。たとえば「GEL（ゲル）」シリーズや「FlyteFoam」など、衝撃吸収と安定性を両立させた素材を採用しており、マラソンランナーにも高い支持を得ています。
一方、ニューバランスはワイズ展開（幅広さの種類）が豊富で、D、2E、4Eなど足幅や甲高に合わせて選びやすいのが魅力。前足部にゆとりを持たせた構造が多く、指先の圧迫感が少ないため、外反母趾の人や幅広の足にもフィットします。
特に「Fresh Foam」や「FuelCell」といった柔らかく反発性のあるソール素材が特徴で、歩くたびにクッションが沈み込むようなソフトな履き心地が得られます。
クッション性・ソール構造の比較
アシックスの代名詞ともいえる「GEL（ゲル）」は、着地の衝撃を吸収する特殊なシリコーン素材です。これに軽量フォーム材の「FlyteFoam」や「FF Blast」を組み合わせることで、反発性と安定性を両立。特に長距離ランニングでは足の疲労を軽減し、膝や腰への負担を抑える効果が期待できます。
代表的なモデルには「GEL-KAYANO」「GEL-NIMBUS」「NOVABLAST」などがあり、それぞれクッション性と安定性のバランスが異なります。とくにGEL-KAYANOシリーズは足のブレを防ぎ、長時間走行でもフォームが崩れにくい安定系シューズとして定番です。
ニューバランスは、クッション素材の進化により「まるで枕の上を歩くような柔らかさ」と評されるほど。Fresh Foamシリーズは足全体を包み込むようなソフト感があり、FuelCellシリーズは反発力と推進力を両立した走り心地が特徴です。
軽やかなステップを好む人や、ウォーキング・通勤など長時間の立ち仕事をする人に向いています。
ただし、柔らかいクッションは安定性を犠牲にすることもあり、着地のブレが気になる人やオーバープロネーション（内側に傾く傾向）のある人は、アシックスの安定性モデルのほうが安心です。
デザイン性・ファッション性の違い
ニューバランスは「ファッション性」において圧倒的な人気を誇ります。
スポーツだけでなく、ストリートファッションやカジュアルスタイルにも自然に馴染み、特に「990」「574」「327」などは日常スニーカーの定番として世界中で愛用されています。カラーバリエーションや素材展開も多く、年齢や性別を問わずコーディネートしやすいのが魅力です。
アシックスは従来、スポーツ寄りの機能的デザインが中心でしたが、近年はライフスタイルライン「ASICS SportStyle」が急成長しています。「GEL-1130」や「GEL-NYC」「GEL-KAYANO 14」などは、レトロランニングをベースにしたデザインがファッション界でも注目され、海外ブランドとのコラボモデルも続々登場。
機能性とデザイン性の両立が進んでおり、今では“履き心地の良いおしゃれスニーカー”として評価されています。
ファッション用途で選ぶなら、クラシックで幅広いコーデに合わせやすいニューバランス。
機能性を活かしつつスポーティで洗練された印象を狙うならアシックスがおすすめです。
サイズ感・フィットの特徴
サイズ選びでは、ブランドごとに“実寸フィーリング”が異なります。
アシックスは全体的にタイトな作りで、足幅が細めの人や甲が低い人に向いています。
踵から中足部までのホールド感が強く、足が靴の中で動きにくいため、スポーツや長距離ランニングでも安定します。サイズは通常のスニーカーより0.5cmアップして選ぶと快適に履ける場合が多いです。
ニューバランスは幅広設計で、同じサイズでもゆとりを感じやすいです。
ワイズ展開が多いため、フィッティングの自由度が高く、試し履きで自分に合うワイズを選ぶことが重要。特に日本人に多い「甲高幅広」タイプでも、快適に履けるのが魅力です。
耐久性・品質面の比較
アシックスは耐久性において非常に高い評価を得ています。
アウトソールには「AHAR（エーハー）」と呼ばれる高耐摩耗ゴムが使われ、長期間の使用でも削れにくく、グリップ力も安定しています。
ランニングシューズの場合、平均寿命は約700〜800kmとされ、長距離ランナーにも安心の品質です。
ニューバランスは「N-Durance」という耐摩耗ラバーを採用するモデルが多く、耐久性も十分。ただし、ファッション性を重視したモデルでは軽量化のためにソールが柔らかめな場合もあり、ランニング用途では寿命が短めになることがあります。
日常使い中心なら耐久性に問題はなく、靴底の減りも穏やかです。
価格帯とコストパフォーマンス
価格帯は両ブランドとも幅広く、入門クラスからハイエンドまで揃っています。
アシックスのランニングシューズは1万円前後から、トップモデルは2万円前後。耐久性と機能性を考えると長く使えるため、コストパフォーマンスは高めです。
一方、ニューバランスはファッションスニーカーが中心のモデルでは1万円以下でも購入可能。上位モデル（990シリーズやFuelCellなど）は2万円台〜と価格帯が広いですが、履き心地とデザイン性を両立しており、満足度は高いです。
「長く走る」「日常でも履き倒したい」ならアシックス、
「柔らかく快適に歩きたい」「ファッション重視」ならニューバランスがコスパ良好といえます。
用途別のおすすめブランド
- ランニング・スポーツ用途：アシックス
→ ホールド感と安定性に優れ、フォームを維持しやすい。長距離や練習に最適。 - ウォーキング・普段履き用途：ニューバランス
→ クッション性が高く、柔らかく軽い。通勤や長時間の立ち仕事にも快適。 - ファッション・街履き用途：ニューバランス
→ 豊富なカラー・素材展開でコーデに合わせやすい。 - 機能重視・疲れにくさ重視：アシックス
→ 膝や足裏の負担を減らす設計で、毎日履いても疲れにくい。
アシックスとニューバランス、どちらを選ぶべき？
どちらが「良い」というよりも、目的や足の特徴によって最適なブランドは変わります。
・安定した走行感やサポート力を重視したい → アシックス
・柔らかい履き心地やファッション性を重視したい → ニューバランス
・長時間歩く仕事や旅行で疲れにくい靴を探している → どちらも目的に応じたモデルあり
自分の足の形（幅広・甲高・アーチの高さ）を知り、試し履きをして感覚を確かめるのが最も確実です。ブランドイメージよりも、実際のフィット感を基準に選ぶことで失敗しません。
まとめ：アシックスとニューバランスの魅力を理解して、自分に合う一足を選ぼう
アシックスは「安定感・ホールド感・耐久性」、ニューバランスは「柔らかさ・デザイン性・幅広対応」が強み。
どちらも信頼できるブランドですが、履き心地の方向性は対照的です。
足の形や使うシーンに合わせて選べば、どちらも長く愛用できる相棒になります。
あなたのライフスタイルに寄り添うスニーカーが「アシックス」なのか「ニューバランス」なのか、ぜひ実際に履いて確かめてみてください。
