ブーツ好きの間で長年支持され続けている「アイリッシュセッター」。レッドウィングの定番として知られるこのモデルは、見た目の無骨さだけでなく、履き心地の良さにも定評があります。この記事では、実際の着用感や構造の特徴をもとに、アイリッシュセッターの履き心地をじっくりと掘り下げていきます。
アイリッシュセッターとは?レッドウィングを代表する伝統の系譜
アイリッシュセッターは、アメリカ・ミネソタ州で1905年に創業したレッドウィング社が1950年代に開発したハンティングブーツが原点です。
赤みを帯びたブラウンレザーが、猟犬“アイリッシュセッター”の毛色に似ていたことからその名がついたと言われています。
当初は狩猟用として誕生したこのブーツが、やがて労働者やファッション愛好家にまで広がった理由は、その丈夫さと快適性にあります。実用性を重んじるアメリカの現場で磨かれた構造が、今日では街履きとしても高く評価されているのです。
履き心地を支える構造と素材のこだわり
アイリッシュセッターの履き心地の秘密は、革の質とソール構造にあります。アッパーにはオロラセット・レザーと呼ばれる独特の赤茶色の本革を使用。厚みがありながらも柔軟で、履くほどに足になじむのが特徴です。
また、ソールはフラットな「トラクション・トレッドソール」。いわゆるウェッジソール構造で、ヒールの段差がなく、足裏全体で地面をとらえる設計です。このソールが長時間の立ち仕事や歩行でも疲れにくい理由となっています。
グッドイヤーウェルト製法による縫製も見逃せません。耐久性が高く、ソール交換も可能なため、長年履き続けることができます。革とステッチがしっかりと一体化しているため、足のブレを抑え、安定した履き心地を実現しているのです。
実際の履き心地レビュー:最初から快適という声も多数
ブーツといえば「履き慣れるまで痛い」というイメージを持つ人も多いでしょう。
しかしアイリッシュセッターの場合、「買ったその日から履きやすかった」というレビューが少なくありません。
特に人気の「6インチモックトゥ(8875など)」では、クッション性のあるソールと柔らかいレザーが相まって、ブレイクイン(慣らし)期間が短いと評判です。
一方、ややゆとりのあるラスト(木型)を採用しているため、足幅が狭い人は少し大きく感じることもあります。サイズを選ぶ際には、やや小さめを選ぶか、インソールで調整するのがおすすめです。
長時間履いても疲れにくい理由
履き心地において、多くのユーザーが評価しているのが「長時間履いても疲れにくい」という点です。
その理由は、ソールの構造とフィット感のバランスにあります。
ウェッジソールは歩行時に体重を均等に分散させ、かかとへの衝撃を軽減。加えて、インソールのクッション性が足裏をしっかり支えるため、硬いコンクリートの上でも安定して歩けます。
さらに、履き口のパッド入りデザインや足首を包み込む形状が、長時間の作業や移動でも足の疲労を最小限に抑えます。これはもともとハンティングやワーク用途で鍛えられた構造ゆえの強みと言えるでしょう。
モデルによる履き心地の違い
アイリッシュセッターにはさまざまなモデルがありますが、履き心地にもそれぞれ個性があります。
代表的なモデルを挙げると、
- 8875(モックトゥ):クラシックな見た目と軽快な履き心地で、タウンユースに最適。
- Wingshooter ST:ハンティング用途に開発され、防水性とグリップ力に優れる。
- Ashby:ワークブーツながら軽量で、履き心地を重視する人に人気。
このようにモデルによって構造や素材が異なるため、使用目的に応じて選ぶことが大切です。
たとえば、アウトドア中心なら防水仕様のWingshooter ST、街履きなら8875がおすすめです。
サイズ選びと慣らしのコツ
快適な履き心地を得るには、正しいサイズ選びが欠かせません。
アイリッシュセッターはアメリカサイズ表記のため、日本サイズよりやや大きめに感じる人が多いです。特にDワイズやEワイズなど、足幅もモデルによって異なるため、可能であれば実店舗で試着するのが理想です。
購入後は、いきなり長時間履くのではなく、短時間の使用から始めると革がスムーズに足になじみます。
また、レザーブーツは日々のケアも履き心地に直結します。クリームやオイルを適度に塗ることで革が柔軟性を保ち、長く快適に履けるようになります。
デザインと機能性が両立する魅力
アイリッシュセッターのもう一つの魅力は、クラシックなデザインと機能性の共存です。
無骨でありながらも丸みのあるモックトゥのフォルムは、デニムやチノパン、カーゴパンツとも相性抜群。カジュアルにもワークスタイルにも自然になじみます。
さらに、耐久性と快適性を両立させた構造は「一生もののブーツ」と呼ぶにふさわしい存在感を放っています。
履き込むほどに自分の足に合わせて変化するレザーの風合いは、時間とともに愛着が深まる要素でもあります。
注意点とメンテナンスのポイント
どんなに履き心地が良いブーツでも、手入れを怠れば快適さは失われます。
特にアイリッシュセッターのようなオイルドレザーは、乾燥や水濡れに弱いため、定期的なケアが欠かせません。
使い終わった後はブラッシングで汚れを落とし、数週間に一度はレザークリームで保湿を。雨の日に履いた場合は、陰干しで完全に乾燥させてからオイルを薄く塗ると良い状態を保てます。
また、ソールの摩耗が進んだら早めの交換を。グッドイヤーウェルト製法なので、リペアを繰り返しながら長く愛用することができます。
レッドウィングの伝統が息づく「履き心地の良さ」
最終的に、アイリッシュセッターの履き心地を一言で表すなら「安心感」です。
長時間の作業や歩行でも足をしっかり支え、レザーのぬくもりが自然と伝わる。見た目のタフさに反して、実際の着用感は柔らかく包み込むよう。
レッドウィングが100年以上培ってきたブーツ作りのノウハウが、快適性という形で表れていると言っていいでしょう。
履けば履くほど自分の足になじみ、世界に一足しかない“自分だけの相棒”に育っていく――それこそがアイリッシュセッターの真の魅力です。
アイリッシュセッターの履き心地を体感してみよう
アイリッシュセッターの履き心地は、スペックや構造だけでは語り尽くせません。実際に履いて歩いたときに感じる安定感や安心感は、他のブーツにはない独特の魅力があります。
最初の一歩から快適で、長く履くほど味が出る。その体験こそ、レッドウィングが生み出した伝統の証です。
もし“履き心地のいい本格ブーツ”を探しているなら、アイリッシュセッターは間違いなく候補に入れてほしい一足です。


